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講演会、民族楽器演奏など多彩なイベント開催
中央大学の国際化を進め、学生の知的好奇心を喚起するとともに、より活気あるキャンパスの実現を目指して、イギリスをテーマにしたインターナショナル・ウィーク(10月17日~21日)が多摩キャンパスで開かれた。インターナショナル・ウィークは今年6月のフランスに続いて2回目。期間中、ディビッド・ウォレン駐日英国大使講演会はじめスコットランド民族楽器演奏や国際シンポジウムなど、多彩なイベントが行われた。
演奏する大塚清一郎氏(左)と清輔さん(右)
スコットランド民族楽器バグパイプの演奏会が10月21日、多摩キャンパス8号館8204号室で行われた。演奏したのは、バグパイプ演奏家の大塚清一郎氏(元駐スウェーデン大使、初代エジンバラ総領事)と子息の法学部4年、清輔さん。珍しい楽器に加え、親子の共演とあって、会場には多くの学生が駆け付け、重厚なバグパイプ演奏に聴き入った。
身体を揺さぶるような音響が会場の教室を包み込み、キルトと呼ばれるスコットランドの民族衣装を身にまとった大塚さん親子が、入場曲「Green Hills of Tyrol」を演奏しながら登場した。
バグパイプは、バッグと呼ばれる空気をためる袋、3本のドローンという音管、チャンターという縦笛からなり、大きな音が特徴的な楽器だ。紀元45年頃、ローマ軍がイングランドを侵略したときに持ち込んだのがバグパイプの始まりと言われている。当時は、音管が1本だったが、スコットランド人は更に2本(ベース1本とテナー1本)追加して大きな音が出せるように工夫した。クランと呼ばれる部族の戦いのときに、敵を威嚇、味方の士気を鼓舞するために戦場でも演奏されるようになったと言われている。
こうした清一郎氏の解説を織り込みながら、清輔さんの「Steam train to Malaig」のソロ演奏、親子そろってのデュエット曲「Highland Cathedral」ト「Amazing Grace」、そして退場曲「Scotland The Brave」まで全5曲が演奏され、会場は盛大な拍手に包まれた。
演奏終了後、お二人に話を聞いた。清一郎氏は「バグパイプは日本の侍スピリットを感じさせます」と説明し、バグパイプにまつわるジョークも紹介してくれた。
昔、100歳近くになる、すでに虫の息の老人が病院にかつぎこまれ、医者に「死ぬ前にもう一度バグパイプの音色を聴きたい」と訴えた。そして、医者は急いでバグパイパーを呼び、ひと晩中バグパイプの勇壮な曲を聴かせると、老人は翌日にはすっかり元気になり、退院出来ることになった。老人が医者に「有難うございました。バグパイプのお陰でワシはすっかり元気になり退院出来ることになりました。他の患者さん達にくれぐれもよろしくお伝えください」と言った。医者は渋い顔をして、「他の患者は、バグパイプの騒音のせいで皆死んじまった」と言った。
バグパイプの魅力について、清一郎氏は「哀愁を帯びた音色と勇壮な音色」と語り、清輔さんは「大きな音で吹く爽快感が一番の魅力」という。
バグパイプを吹くにはかなりの肺活量が必要で、最初はなかなか音が出せずに苦労するそうだ。特に、空気袋の押さえ方や息を入れるタイミングが難しいという。始めは楽器をすべて組み立てず、縦笛から始めて、徐々にパイプを増やして練習していく。バグパイプを吹きこなすのはとても難しく、曲が吹けるようになるには一年くらいかかるという。
清一郎氏がバグパイプを始めたのは「スコットランドの首都のエジンバラ城で夕日に向かってバグパイプを吹く老人の姿に感動し、その音色を身近に聴いて胸に響くものがあった」のがきっかけ。自らバグパイプの先生を探し、今までにエジンバラ、ニューヨーク、ボストン、スウェーデンで4人の先生について練習してきた。
一方、清輔さんは8歳のときにバグパイプをはじめ、ニューヨークにいた9歳のとき、東京バグパイプバンドがニューヨークにやってくるというのを知り、これに出演するために1年間練習を積み、パレード用の全15曲をマスターし、親子二人で参加した。東京バグパイプバンドは、そのパレードに参加した100位のバンドの中で最優秀バンドとして表彰されたという。
清一郎氏は「東日本大震災の後、絆という言葉をよく耳にするようになりました。私達親子にとっては、このバグパイプが絆です」と語る。清輔さんは「スコットランドでは、良いバグパイパーが育つには7世代くらいかかるそうです。まだまだこれからですね」と言う。
現在、日本では東京バグパイプバンドと関西にあるバンドの2団体が活動している。東京バグパイプバンドは、1975年にエリザベス女王が来日されたときに結成された日本人有志のバグパイプバンドで、清一郎氏と清輔さん親子は、このバンドに所属している。
(学生記者 棈松あかり=商学部1年/山口莉奈=経済学部1年)