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トップ>Hakumonちゅうおう【2011年夏季号】>【ニュースPlus】産経EX第1回「Campus新聞大賞」を受賞 学生記者がブラインドサッカーを体当たりルポ

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【ニュースPlus】

産経EX第1回「Campus新聞大賞」を受賞
学生記者がブラインドサッカーを体当たりルポ

第1回「Campus新聞大賞」の表彰式(写真・産経新聞社提供)

 産経新聞の兄弟紙「SANKEI EXPRESS」(通称EX)編集部が半年に一度、優秀作を選ぶ「Campus新聞大賞」の初の受賞作に、中央大学有志学生記者3人が書いたブラインドサッカーをテーマにした記事が選出され、4月25日、東京都千代田区の産経新聞東京本社で表彰式が行われた。

 第1回「Campus新聞大賞」に輝いたのは、「ブラインドサッカー日本代表選手に迫る」(3月8日掲載)の記事で、企画をたてて取材し、記事を書いたのは、有志学生記者の清水恵美さん(文学部4年)、坂井悠紀子さん(総合政策学部3年)、地紙裕子さん(経済学部3年)の3人。

 記事は視覚障害のある人たちのスポーツのひとつ、ブラインドサッカーに焦点を当て、体当たりルポと二人の日本代表選手へのインタビューで構成。

 アイマスクをつけて体験イベントに参加した学生記者が、「真っ暗な闇の中、唯一頼れる光は、仲間の声だった」の見出しで、ボールの音源を頼りにゴールを狙うブラインドサッカーをルポ。選手へのインタビューでは、高校生になってから視力を失った選手が「人生には見えていた人生、見えなくなった人生の2つがある」と自らを振り返りながら、ブラインドサッカーと出会い、パラリンピックに出てメダルをとることを夢見ていることを紹介し、「視力を失って、夢や希望が見えてきた」との見出しで記事を飾った。

 選考対象となったのは、昨年10月の「Campus新聞」創刊から今年3月までの半年間に掲載された15大学の23のテーマで、その中から本学学生記者の記事が「視力を失ったことで夢や希望という光を得た選手たちの人生を描き、読者に感動を与えた」(鈴木裕一EX編集長)と評価され、栄えある第1回大賞に輝いた。

 表彰式には、十数の大学から約40人の学生記者が出席。EX編集部から大賞受賞作が発表されると、清水さん、坂井さん、地紙さんの3人は目を丸くしてびっくり。信じられない表情でお互いに顔を見合わせながらも、すぐさまにこやかな表情に変わり、素直に喜びを表していた。

 大賞のほか、優秀賞に法政大学の「恋愛ゲームの『魅力』と『魔力』」、特別賞に同志社大学の「外国人観光客の皆様 そうだ 京都、行こう」がそれぞれ選ばれた。

 表彰式後は、会場を移して交流会が開かれ、各大学の学生記者が産経新聞の記者を交えて和やかに歓談、友好を深めた。

 「Campus新聞」は大学生に新聞づくりを実体験してもらおう、と、EXが昨年10月にスタートさせた企画で、毎週火曜日にフルカラーのタブロイド紙、見開き2ページで掲載。大学生や大学院生が自由にテーマを決めて取材、写真を撮って記事を書いており、本学では大賞受賞作のほかに、これまでに在学生が書いた「『取材拒否』の舞台裏を探る」、「若い世代が育む都市型農業の未来」が掲載されている。

感動させる側に立てた喜び

喜びの大賞受賞者。左から地紙裕子さん、清水恵美さん、坂井悠紀子さん(写真・産経新聞社提供)

文学部4年 清水恵美さん(宮城県立宮城第一女子高校出身)

 感動の連続だった。しかし最後に大賞受賞という感動が待っているなんて予想していなかった。1年半前にブラインドサッカーを初めて見た時に感動し、いつか世間に発信したいと思っていた私にとって、この企画はチャンスだった。

 実際の取材では、選手をはじめ様々な方から話を伺うことができた。そこからどれを記事にするかを考えるのが、1番辛かった。どんなにがんばっても全てを記事にはできない。そして、ようやくできた原稿を担当者に送ると返信が返ってきた。件名は「感動しました」。そのメールに私は感動した。ようやく形になるのだと思うと心が震えた。そこが私たちにとってのゴールでもあった。

 だから大賞受賞の瞬間は驚いた。そして喜びが全身に溢れてきた。自分たちが悩み抜いた上で紡いだ言葉が、伝わったことに感動した。私たちも今回の記事で、感動させる側に立てたということが何より嬉しい。共に記事を書いた2人、そして支えてくださった多くの方に感謝と喜びを伝えたい。

社会とのつながりを体験

総合政策学部3年 坂井悠紀子さん(福岡県立東筑高校出身)

 2年次からFLPジャーナリズムプログラムを履修し、何か自分のやってきたことを形にできるようなことをしたい、と思っていた時、学生記者募集を知り、思い切って応募しました。

 軽い気持ちで応募したものの記事にするまでは順調にはいきませんでした。企画段階から、誰をどのようにどういった視点で取材し、記事にしていくのか何度も話し合いました。取材に行った時もなかなか自分の思うような話ができず苦労しました。

 しかし、自分の書いた記事が産経EXに載った際の充足感は何物にも代えがたいものでした。しかも大賞をいただくこともでき、真摯に仲間たちと取材を行ってきてよかった、と感じました。このような社会とつながりを持てる機会を作ってくれた産経新聞社と大学の担当者、そして取材に応じてくれたブラインドサッカー日本代表の二人の選手には感謝の気持ちでいっぱいです。今回の経験で培ったものを、大学生活で活かし、さらなる成長を目指したいと思います。

活字の素晴らしさを知る

経済学部3年 地紙裕子さん(香川県立高松高校出身)

 私は新聞を読むことが苦手でした。文章を書き、人に何かを伝えることも昔から苦手でした。しかし今回、Campus新聞づくりに参加したことで、活字の素晴らしさに触れることが出来ました。

 新聞を読むのを避けていた私でしたが、ブラインドサッカーの取材、記事づくりに携わって、活字に対して「食わず嫌い」であったことが分かりました。新聞の記事の一つ一つに記者の愛が詰まっていることに気が付きました。ただ文章を書くだけなら誰だって出来ます。大事なのは、その文章には届ける相手がいて、その相手に、伝えたいことを分かるように伝えなければいけない、ということです。今回、それを痛感しました。

 自分には出来ないと思っていたことをやりきったとき、自分の可能性は広がりました。しかも、大賞をいただき、次もがんばりたいと自信をつけることが出来ました。自分には出来ない、向いてないものなど、誰にとってもひとつもないと思います。自分の可能性を信じていきたいです。

(編集室)