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トップ>Hakumonちゅうおう【2011年夏季号】>【特集 Campus Now】『東日本大震災と向きあって』

Hakumonちゅうおう一覧

【特集 Campus Now】『東日本大震災と向きあって』

「自分に何かできることはないか」―大震災と真摯に向き合った中大生たち

「大震災後の復興とアジアの協力関係を考える」
日本人学生と東アジアからの留学生が座談会

 「大震災後の復興とアジアの協力関係を考える」をテーマに、永井和之総長・学長をコーディネーターにした東日本大震災の被災日本人学生と、東アジアからの留学生との座談会が6月18日、多摩キャンパス「虚白庵」で開かれた。

 出席者は安原元樹さん(総合政策学部1年、仙台市出身)、阿部志穂美さん(経済学部2年、石巻市出身)と、ユ・イチイさん(商学部4年、中国出身)、コウ・テンイさん(経済学部3年、台湾出身)、ファン・サンウォンさん(商学部2年、韓国出身)の5人。

 冒頭、永井学長は「今回の震災では海外から義援金や救援隊など多くの支援をいただいた。これは戦後初めて」と述べ、その認識に立って今後のアジアの協力関係について話を進めた。

海外からの多くの支援に感謝

 はじめに永井学長が、東アジアの国々が今回の大震災をどう受け止めているかと質したのに対し、ユさんは「中国では2年前の四川省の大地震の際に、日本から多くの支援をいただいたので、今回は日本に物心ともに応援したいという強い気持ちがある」と紹介。コウさんは昨年、台湾を襲った台風被害を取り上げ、「真っ先に日本が救援隊を出してくれた。(台湾は)日本に親近感があり、友達が大変な時だから応援したいという気持ちが社会に広がっている」と台湾の人の気持ちを伝えた。

熱心に学長の話に耳を傾ける5人

 またファンさんは「最近、日韓の文化交流が盛んで、若者は日本が好きだし、人道的にも助けるべきであると思っている」と語った。

 これを受け、家族が津波被害にあった安原さんは「震災以前は日本人の団結力や思いやりに疑問を抱くこともあったが、震災で多くの国々から支援が集まった日本の魅力を再度学んでみたいと思うようになった」と述べ、津波で実家が全壊した阿部さんは「支援に対する感謝の気持ちを忘れずに、復興を果たしたら恩返しをしたい」と多くの支援に対する感謝の気持ちを示した。

東アジアの新たな友好、発展を

 続いて永井学長が「今回、日本に対し様々な国民感情のある東アジアの国々から多くの支援が集まったことは、今後の東アジアを考える上で大きなポイントになると思う」と問題提起。これに対し、出席者は「東アジアもEUのように文化・経済交流がより強まるのではないか。その時には日本と韓国の間で活躍できるようになりたい」(ファンさん)、「私達、戦争を知らない世代が新しい関係を作れるはずで、友好を深め、発展していきたい」(阿部さん)、「今回の大地震で、中国の若者に日本と仲良くする傾向が出ている。共に大きな貿易相手国である日中関係はもっとよくなると思う」(コウさん)などと語った。

 さらに永井学長が「隣国の国々の善意は新しい未来を予感させる」と指摘したうえで、20年後のアジアを見据え、出席者の未来像について問いかけたのに対し、ユさんは「日本の医療関係の企業に就職し、日本と中国の架け橋になりたい。今回の経験で、人生を大胆に、勇気を持って行動すべきだと考えるようになった。現在、中国留学生会の会長を務めているが、社会に出ても留学生を支援し、両国の関係を支えていきたい」と将来を見据えた。

共存意識もてる未来に

 コウさんは「商社など国と国の架け橋となるような仕事に就きたい。東アジアの交流を深め、様々な国で活躍できる人材になりたい」と20年後を展望した。

 阿部さんは、「可能であれば学生のうちに留学をして、国際的な職業に就きたいと思う」と語り、ファンさんは「日本企業に就職し、将来的には起業したい。今までは利益という視点で考えがちだったが、震災をきっかけに社会貢献についても考えるようになった。いろんな人を助けたい」と述べた。

 安原さんは「人に必要とされる仕事、NPOなどを考えている。海外を知ることで日本についても再確認し、アジアがまとまって共存意識を持てるような未来を希望します」と語った。

 最後に浜野茂事務局長が「20年後、中央大学は創立150周年を迎える時期になるので、是非、みなさんの活躍で世界に存在感のある中央大学としてほしい」と激励し、座談会を締めくくった。

虚白庵をバックに 左から阿部さん、安原さん、ファンさん、ユさん、永井学長、コウさん、浜野事務局長

(広報室)