「中央大学のバリアフリーを考える」シンポジウム(創立125周年記念企画実行委員会主催)が12月18日、多摩キャンパスCスクエア小ホールで開かれた。シンポジウムには、経済学部の濱岡剛教授、文学部の田中暢子兼任講師、それにボランティアサークル『ほのぼの』、社会福祉サークル『青い鳥』のメンバーがパネリストとして参加した。
シンポジウムに参加したボランティアサークルのメンバー
まず、『青い鳥』の河本圭敬さんと横山朝里さんが、授業で聴覚障害学生をサポートするノートテイクの人員不足や車椅子学生に対する支援不足など現実に抱える課題を指摘し、「大学の障害学生支援の部署がバラバラで、縦割りになっている」と問題提起した。
そのうえで、早大に『障害学生支援室』、東大には『バリアフリー支援室』といった窓口が設置されていることを紹介し、「中大にも統一的、総合的に障害学生をサポートする部署ができれば、より一層のバリアフリー推進になると思う」と強調した。
これに関連し、田中先生は「スペシャリストが各部署にアドバイスしていくのがよい」とし、濱岡教授は「新しい組織が必要なのはわかるが、具体的にどういう形にするかを考えていかないといけない」と指摘した。
続いて、参加者らが視覚障害者を疑似体験するゲームを行った後、『ほのぼの』の奥山陽さん、石山英美子さん、小島友里さんが、現状報告。この中で小島さんは、視覚障害学生に対するサポート態勢について「現状は対象者がいないため無くなっている。視覚障害者は本学の門を叩くことに気が引けてしまうだろう」と対策の必要性を訴えた。
この中で、とくに広報態勢が問題点としてあげられ、石山さんは「聴覚障害学生にとっては、各事務室に掲示されている告知のポスターだけでは、情報が足りません」と指摘し、ホームページでの情報拡充を求めた。
対策として学外広報については、ホームページに『障害をお持ちの方へ』というバナーをつくったり、大学案内のパンフレットに障害学生支援のページをつくったりすることなどが提案された。
またノートテイクに関し、石山さんが「先生方の協力も必要です」と述べたのに対し、濱岡教授は「もしノートテイクが必要なら、レジュメを用意し、早口にならないようにする。それは他の学生のためにもなる」と紹介した。
この後、会場に集まった人も交えたディスカッションが行われ、参加者からは「総括的な大学の支援よりも、学生が主体となった組織に大学を取り込んでいくことが大事」などの意見が出された。
最後にパネリストが一言ずつ感想を披露。田中先生は「バリアフリーに絶対的な答えはない。関心を持たない社会こそ障害をもつ方の学生生活のバリアをつくる。一人でも多くの関心をもつ人を増やしていくことが重要です」と強調。また濱岡教授は「障害者の声を汲み上げていくことは、活気のある大学に繋がっていく」と語り、シンポジウムを締めくくった。
(学生記者 堀滝登=文学部4年)