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トップ>Hakumonちゅうおう【2011年春季号】>【シリーズ】『志』を高く!~炎(も)える中大生~キャリア支援チーム『tip』

Hakumonちゅうおう一覧

【シリーズ】『志』を高く!~炎(も)える中大生~

キャリア支援チーム『tip』

社会と関わり、視野を広げよう、と業界研究企画
参加した就活生に不安消え、意識変革が芽生える

 「中大生は社会との関わりが薄い。もっと自分の視野を広げる活動が必要なのではないか」―。こうした問題意識から、キャリア支援チーム『tip』は昨年、立ち上がった。メンバーは当時4年生の磯田芙美さん(今春、法学部卒)、山岸怜奈さん(今春、総合政策学部卒)、渡辺千尋さん(今春、法学部卒)の3人。

社会とのつながりを意識

左から山岸さん、渡辺さん、磯田さん

 その3人が昨年、就職活動を終えて取り組んだのが、就活を迎えた後輩の3年生を対象にした「自分自身と社会とのつながり」をつくる企画。就活生を対象に参加を呼びかけ、業界研究を通して、就活する学生同士や社会人と関わることの大切さを知って、キャリアデザインに生かしてもらおうというねらいで、活動をはじめた。

 3人は、渡辺さんと磯田さんが英語の授業をきっかけに知り合い、渡辺さんと山岸さんは『特定非営利活動法人アイセック・ジャパン(AIESEC in Japan)』という海外インターンシップを通じて、国際経済社会を牽引するリーダーの輩出を目指す学生団体で知り合った。そして、渡辺さんを仲介に、磯田さんと山岸さんが出会った。

 渡辺さんは、磯田さんと山岸さんを引き合わせた理由を次のように話す。「私たち3人は、中大生は社会との関わりが薄く、視野が狭い、という共通の問題意識を持つようになっていたからです」。

海外インターンで目覚める

 渡辺さんは高校までクラシックバレエを続け、プロになること夢見ていた。しかし、その世界は厳しく、夢をあきらめて、大学に進学した。ただ、入学してからもバレエ以上にやりたいことが見つからずにいた時、先輩から「インドにいけば考えが180度変わる」と言われ、インドに行った。

 しかし、そこでわかったのは、「人間ってそんなにすぐに変われるものじゃない」ということであり、「必ずしもベストな選択ができなくても、自分でその選択をベストなものにすることはできる」ということだった。

 そうした考えに立って、渡辺さんが関わったのがアイセック・ジャパンであり、2009年度にはアイセック中央大学委員会の委員長を務めた。また、法学部の「やる気応援奨学金」を積極的に活用し、行動範囲を広げていった。社会人や海外の人々など様々な人と出会ったことで、「自分が社会の中でどこにいるのか。自分はどうしていくべきなのか、に気づくことができた」という。

 社会と関わる楽しさと大切さを知った渡辺さんは、3年生の後期になり就職活動をする中で、中大生には社会との関わりが薄い学生が多いと感じるようになっていった。

等身大の自分を知る

 他方、山岸さんもまた、ゼミで地域社会と関わったことや、『Hakumonちゅうおう』の学生記者の活動を通し、「いろいろな人と積極的に出会うことが大事」であることを体感。「社会と関わることは、社会の中での等身大の自分を知ることになる」と強く自覚するようになった。

 一方、磯田さんは「就職活動の際に社会との関わりをもつようになった。大学生活の中でもっと多くの人と出会えばよかった」と振り返る

 3人は、それぞれ異なる大学生活を過ごしながらも、社会と関わることの大切さを知り、多くの中大生にもそのことを知ってもらいたいと考えるようになった。

 それを実現させるために立ち上げたのが、キャリア支援チーム『tip』であった。

 3人は、大学のキャリアセンターと連携し、キャリア支援の対象となる就活を迎えた3年生と、内定を得て就活を終えた4年生に参加を呼びかけるとともに、キャリアコンサルタントや就職支援業務に携わる社会人にも協力を依頼した。

社会と交わり、意識に変化

 その結果、集まったのは、3年生(就活生)が18人、サポートの4年生(内定者)が13人、社会人が6人。3年生はメーカー、商社、金融、マスコミ、サービスの5つの業界のグループに分かれ、昨年9月下旬から2ヶ月にわたって、4年生、社会人のサポートを得ながら、OB訪問やセミナーを開催するなどして、それぞれの業界を研究。この間、情報を共有するためにmixiコミュニティも利用した。

 グループミーティングや計6回の参加者同士の交流会と中間報告会を経て、11月19日に企画参加者と聴講生も交え、43人が集まって業界研究発表会を開き、研究の成果を披露し合った。

 これを企画した3人が、イベント終了後に参加した3年生を対象に行ったアンケートでは、「自分の譲れないもの、価値観を人生で初めて見つめ直すようになった」「やらなきゃいけないことが見えた」「視野が広がった」などの意見が寄せられた。

 山岸さんは、この結果から、「参加した3年生には就職活動に対する不安が軽減され、前向きに活動したいという意欲が読み取れる」と説明。「参加した学生の多くは、社会と関わる大切さを知ってもらえたと思います」と語り、イベントの成果に手応えを感じとっていた。

(学生記者 宮寺理子=法学部2年)