理工学部数学科で学び、教員試験を突破した関根さんは、今春から念願だった中学校の教師になる。数学科では教職を取る学生が多いが、実際には「教員ではなく別な仕事に就職する人が多い」なかで、関根さんは、入学以来、終始一貫して教師を目指してきた。
教師が「小さいころからの夢だった」関根さん。他の職業に就く気持ちのブレは、これまで一切なかった。逆に、「『なぜ教師を目指すのか』と聞かれても明確な答えが出てこないくらい、自分では教師を目指すことが当たり前になっていた」という。
教師へのこだわりは、思い返してみると、一人の先生との出会いだった。高校の時の体育の先生であり、所属していた野球部の顧問でもあった先生との出会いが、運命のはじまりだった。
父親の影響を受けて始めた野球で関根さんは、高校時代にいろいろなことを学んだ。その先生の野球に対するモットーが、「『技術よりも精神』という考え方で、それに非常に影響を受けた」と振り返る。そして、先生に教えられた礼儀作法や挨拶は、今でも関根さんの体に染みついており、「社会人になる上で、とても大事なことを教えてくださいました」と実感している。
関根さんは、中学の教師になったら「是非、野球部の顧問になって、自分が野球部で学んだものを生徒たちに教えたい」と思っている。
また、人に教えることの醍醐味を、アルバイトを通して体験した。大学1年から2年にかけてアルバイトしていた塾で、一度だけ生徒に怒ったことがある。その時は、怒ってしまったことに申し訳なさを感じていた関根さんだったが、その生徒が合否の報告を一番に自分にしてくれたのを知って、慕っていてくれたのだと実感した。
この経験から、「時には怒ることも必要で、教える側が真剣であれば、それは相手にも伝わるということを学んだ」という。
関根さんは、「将来は数学教育の全体に関わっていきたい」と考えている。そのためには、まず中学の教師として数学教育の現状を把握し、その後、高校の教師になって数学の専門的な教育を体験し、最終的には数学の教育全体をみるような役職について、数学教育を見直していきたいと考えている。
関根さんが大切にしている言葉は、「感謝」。両親はじめ先生、仲間があってこその自分だと感じているからで、「良い環境を与えてくれた中央大学にももちろん感謝している」。これからも周囲への感謝の気持を忘れずに、中学校教師として社会人生活のスタートを切る。
(橋本)