大ベストセラーとなった単行本を受け、漫画やアニメ、今度は映画にと「女子マネージャー」が注目されるなか、宇野澤さんは、大学4年間をアメリカンフットボール部のマネージャーの活動に懸けた。
高校時代はバレー部に所属し、選手として活躍したが、引退後、選手以外で自分が必要とされるポジションを探すうち、「プレーはできなくても私にできることがきっとある」と、マネージャーに興味が湧いたという。
アメフト部マネージャーの活動に飛び込んだのは、マネージャーの教育がきちんとしているとの評判を聞いたからで、入部のきっかけを「感覚です」と語る。入部当初、「何をするのか全く知らなかった」というマネージャーの仕事は、驚くほどに多岐に渡っていた。試合のビデオ撮影にはじまり、ホームページの作成・運営、応援グッズの製作、チームの紹介冊子づくりなど実に幅広い。
時には、活動の場はグラウンドを飛び出した。サポーターや選手の保護者へのインタビュー、広告スポンサー探しにまわるなど大学外の社会人と関わる機会も多く、「コミュニケーション能力が身についた」と活動を振り返る。
なかでも、力を入れたのは、3年生から責任を担ってきた「ホームページの作成・運営」だ。パソコンを使ったこともない状態からはじめたが、製作しながら次第にノウハウを身につけていった。創意工夫を凝らしたページには、「アメフトを多くの人に知ってほしい」という宇野澤さんの思いが形となって表現されている。「ホームページをみて興味を持ち、入部してくれる人もいる。情報を発信するだけではなく、ホームページはひとつの繋がりでもあるんです」と思い入れを語った。
『愛されるチーム』が中大アメフト部の目指すチーム像だ。「関東制覇~日本一」という目標を掲げ「勝ち」に強くこだわる。
「選手がVICTORYの“勝ち”なら、マネージャーはVALUEの“価値”。あなたたちにできることは価値を上げること。“勝ち”と“価値”のベクトルが合ってこそ愛されるチームになる」。マネージャーコーチから、こう教えられたことが、強く印象に残っているという。
「勝ちたい気持ちと周囲の環境、全てが上手くはまってくれたからやってこられた。本気で頑張る仲間と切磋琢磨したこと、そして毎日を支えてくれた周囲の人々へ、本当にありがとうという気持ちです」と笑顔で話す。
「自分で考えて自分で行動すれば、やれることは無限大にある。なにをするにも限界はないと思う」と後輩達に力強くメッセージを送る宇野澤さん。チームの夢がかなう日を、グラウンドの外から楽しみにしている。
(三島)