昨年12月、藤井さんは日本とハワイの学生交流のため、約1週間、ハワイに滞在。現地の大学のアメリカンフットボールと、バスケットボールの試合の応援に参加し、初めて応援のチアを披露した。
「この時がはじめて、スポーツの試合で踊るチアでした。今までは、ダンスのみでしたが、本来のチアを意味するスポーツの応援でのチアの醍醐味も味わうことができました」
藤井さんが、大学生活で取り組んだのが「ソングリーディング」という競技だ。ソングリーディングは、チアリーディングから派生した競技で、チアリーディングでみられる組み体操などのアクロバティックさよりも、ダンスが専門で、ヒップホップからジャズまで幅広いダンスが競技に取り入れられている。
幼い頃からバレエや新体操を習っていた藤井さんは、大学1年生の頃は、経験を活かしてして、新体操クラブで小さい子に新体操を教えていた。そして、2年生の春、中大附属高校の後輩とソングリーディングサークル『Garnet Girls』を立ち上げた。
発足当初、10人ほどの部員が集まったが、未経験者が多く、附属高校時代からの部活のコーチを招き、メンバー同士でもお互いを見合いながら活動がスタートした。
「新しいサークルだったので前例もなく、最初は大変でした。それに2年生は私1人だったので、1年生とコミュニケーションの取り方に少し戸惑いましたが、年上だからと気にせず同期として1年生と接していきました」
そんな苦労もあったが、「みんなが上手になっていくのが感じられて、やっていて楽しく無我夢中の日々でした」と当時を振り返る。
初めて競技大会に出たのは、2年生の11月。結果は「下から数えた方が早かった」という。しかし、次の幕張メッセで行われたチアリーディング・スポーツ普及団体USA(ユナイテッド・スピリット・アソシエーション)主催の大会では、地区予選から全国大会へ勝ち進み、ファイナルまで進んだ。
その後も好成績を残し、昨年に有志団体から学友会傘下のサークルとして認められた。
同時に8月に行われた全国大会で、見事に優勝。その結果、大会を主催したUSAの団体からの誘いで、12月にハワイに赴き、チアを披露したのだった。
藤井さんは、4月から都内の銀行に勤務する。最後に「大学時代には、やりたいことをできるチャンスも時間もあります。私は、Garnet Girlsの仲間と出会い、信頼し、成長できる良い関係が築けました。思いやるということをこんなに感じたことはと初めてで、仲間と数え切れないほどの思い出は私の一生の宝物です」と後輩達にエールをおくった。
(豊福)