「自分からアクティブに行動していくことです」。大学生活で心掛けたことは? とうかがって、即座に返ってきた答えが、これだった。「大学では、たっぷりある時間を有効に活用してできるだけ多くの人と出会い、交流を深める。そして色々な経験を積むことでした」。
大学生活をおくるうえでの山本さんのモットーは、「行動し体験する」と明確だった。第一志望の中大にはAO入試で合格。2年生から教職を取りはじめ、1限から7限まで授業があるという毎日を送っていた。
そんな中、教職の講義のゲストティーチャーであった中学校の教師から、女子バスケットボール部コーチのボランティアを紹介される。小・中・高で8年間培ってきたバスケットボールの経験を生かし、紹介された中学校でのコーチのボランティアを2年生の後半から始めた。
「生徒たちに教えるというのは初めてで、貴重な経験でした」というこのボランティアで得た教訓は大きかった。「社会に出たら様々な世代の人と関わることになるから、学生のうちから幅広い世代の人と関わって、コミュニケーションを取れるようにしておくことが大切だと感じました」というのがひとつ。また、「中学生の気持ちになって考える場面も多くなり、そのことは自分の価値観を広げることにも繋がりました」という。
3年の夏休みには、中大に留学しているミャンマー人の友人と一緒にミャンマーへ旅行し、現地の人と交流した。「ミャンマーという国に触れて自分と違った立場の人がいることを知りました」。ここでも、人との出会いを通し、異文化に触れることで、山本さんは世界観を広げた。
3年秋からは、本格的に就職活動を始めた。「人と関わるのが好きで、人の話を聞くのも好き」というだけあって、就職先も営業職に絞り、4年生の5月にはJR東日本商事の営業職に内定を得た。「就職活動では大学生活で自分がやってきたことについて自信を持って、自分の言葉で語ることが大切だと実感しました」という。
就職直前の今年3月下旬、学生時代に培ってきた人脈をもとに、語学力を磨くためシドニーへ2週間ほど短期留学。この留学が実現したのも、色々な人との出会いがあったからこそだった。「出会いの数ほど人生豊かになるといいますが、大学生活でまさにその通りだと学びました」と強調する。
「学生時代から社会に目を向けて、興味のあることに自分からアクションを起こすことが大切。経験したことは、そのまま自分の価値になり、就活でも強い味方となってくれるはずです」という山本さんのメッセージには、自らの体験に基づいているだけに力強さがあった。
(熊谷)