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トップ>Hakumonちゅうおう【2011年早春号】>【群像 それぞれの春】全日本卓球の混合ダブルスで見事初優勝 主将として部をまとめ、成長した精神力

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群像 それぞれの春

全日本卓球の混合ダブルスで見事初優勝 主将として部をまとめ、成長した精神力

瀬山 辰男さん/経済学部(私立青森山田高校出身)

瀬山 辰男

 「まさか優勝できるとは思っていなかったので、びっくりしました」と素直に初優勝を喜ぶ。その表情に高揚感はなく、口調はいたって穏やかだ。

 瀬山さんは、1月に行われた全日本卓球選手権大会の混合ダブルで、坂本夕佳さん(文学部3年)とコンビを組み、見事初優勝した。全日本選手権の混合ダブルスで、中央大学の学生ペアが優勝したのは初めてという快挙だ。

 決勝の相手は、前年覇者の松平健太(早大)、石川佳純(ミキハウスJSC)組の強豪ペア。松平、石川両選手は、いずれも男子、女子シングルスを制した日本チャンピオン。瀬山さんが「優勝はまったく考えていなかった」というのは、もっともだが、試合は「勢いにのっていた」という瀬山・坂本の中大組が3セット連取するという“完勝”だった。

 瀬山さんが坂本さんとのコンビを結成したのは、昨年10月。大会までの練習期間は短かったが、中大卓球部の先輩・後輩だけに、密度の濃い練習はできた。練習でも試合でも1年先輩であり、全日本学生の男子ダブルスで2連覇した瀬山さんが、坂本さんをリード。決勝でも、女子シングル2回戦で小学4年生に敗れ、落ち込んでいた坂本さんを瀬山さんが、「気持ちを切り替えて戦おう」と励まし続けた。

 両親が卓球の指導者という環境で育った瀬山さんは、物心ついたときから卓球をしていた。中学、高校は親元を離れ、青森県の卓球強豪校で寮生活。「高校時代は周りが強い人たちばかりで、団体戦でも『自分がどうしても勝たないと』という意識はあまりなかったです」という。中央大学への進学は周りのアドバイスで決めた。

 「大学生活では、技術的にというよりは精神的に成長したと思います」と謙虚に4年間を振り返る。「もともと自分だけで、『試合に出たい。勝ちたい』と思うほうではないので、シングルスよりはダブルスが好き」という。ただ、大学での競技生活で、積極的に「強くなろう」と考えるようになった。「一番成長したと感じるのはその点です」と自己分析する。

 4年生になり、キャプテンになったことで周囲をみるようにもなった。それまでは「上の代(先輩)に恵まれていたので、自由にやらせてもらっていた」が、卓球部をとりまとめる責任を負ってからは、「周りを強くするためには、どうしたら良いか考えるようになった」。

 卓球部の部員間のつながりは強い。なかでも同期生の存在は大きく、「同期がいなかったらここまでできてなかった。勉強でも生活の面でも助け合ってきたので、何でも話せて、一生付き合える仲です」と感謝する。

 瀬山さんは、卒業後は一般企業に入社、卓球部に所属して社会人選手として競技する。ただ、今までのように卓球だけに専念するのではなく、将来を展望し、「仕事をメインにして働く」と新しい生活を見据えている。

(渡辺)