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トップ>Hakumonちゅうおう【2011年早春号】>【群像 それぞれの春】やる気応援奨学金での体験が転機に 社会に触れ、生活範囲の狭さを知る

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群像 それぞれの春

やる気応援奨学金での体験が転機に 社会に触れ、生活範囲の狭さを知る

磯田 芙美さん/法学部(神奈川県立厚木高校出身)

磯田 芙美

 「法学部の学生なら、やる気応援奨学金をぜひ受けてください」。磯田さんは、こう強調する。というのも、自らこの奨学金を利用して2度、海外を訪れたことが、大学生活を実りあるものにしたからだ。

 磯田さんは入学当初から、男子ラクロス部のマネージャーをしていた。朝早くから大学近くのグラウンドに集合し、選手と同様に練習に参加、多忙な生活を送っていた。しかし、大学4年間にもっといろいろなことに触れたい、知らない世界を見たいと思い、2年生の10月に退部した。

 転機となったのは、2年生の夏に1カ月ほど、法学部のやる気応援奨学金を活用してアイルランドと北アイルランドを訪れたことだった。「高校まで海外経験は全くないです。親にも1人で行くことを心配されました」というほどのチャレンジだった。

 最初の3週間はアイルランドの首都ダブリンにホームステイをして、語学学校に通った。その後、12年前までカトリックとプロテスタントの間で紛争があった北アイルランドに入り、1週間滞在。「ユースホステルで寝泊まりして、各地の民間の調査機関をまわり、ミサにも参加しました」と北アイルランド紛争を肌で感じることができた。

 この経験がその後の磯田さんの学生生活を大きく変えた。「帰国して、それまで漠然とあった国際紛争や宗教への興味を確信しました。ちょうど専門演習の試験もあり、やるからには徹底的に勉強しようと思い、厳しいと噂の滝田賢治先生のゼミに入りました」。滝田ゼミは2年生の後期から週に1回、3時間続きのプレゼミが始まる。3年生ではゼミ長を務め、一層勉強に力を注いだ。

 3年生の夏、今度はやる気応援奨学金の国際インターンシップでインドを訪問した。「人や車が街に溢れていて、経済が成長しているというのはこういうことかと思いました」と日本にはないインドの熱気を体感した。

 4月からは医療機器関連会社の仕事に就く。「就活を通して自分の生活範囲がいかに狭いかがわかりました。就活では自己分析や、業界研究を行いますが、1人でやるよりもみんなでやる方が、自分のことを相対的に判断してもらえ、効率も良いです」と就活を振り返る。

 こうした体験を活かし、友人らとキャリア支援チーム『tip』を結成、4年生の秋に、就活を控えた3年生を対象に「自分自身と社会のつながり」をつくる企画として業界研究発表会を催した。この企画には4年生、OBも参加、無事に成功を納めたという。

 後輩達に対しては、「今しかできないことを満喫してください。インターンシップでも留学でも、なんでも良いです。ぜひ社会に触れてください」と強調。「中大のなかだけでなく、外にも良い出会いを探して欲しい。もちろん良い本や映画との出会いも大事です」とアドバイスを送った。

(荻原)