硬式野球部の高橋善正監督と選手5人が6月18、19の両日、東日本大震災の被災地の福島県小野町といわき市を訪れ、夏の甲子園出場を目指す福島県立高校3校の連合チームを激励するとともに、少年野球チームを慰問して野球教室を開いた。
被災地を訪ねたのは、高橋監督と渡邊洋平(商4=日大東北高校出身)、西銘生悟(法3=沖縄尚学高校出身)、飯田大祐(商3=常総学院高校出身)、島袋洋奨(商1=興南高校出身)、慶田城開(商1=興南高校出身)の選手5人。
野球部OBの依頼に、監督が快諾
野球部OB会東北地区の佐藤文孝会長から高橋監督に、被災地の球児たちへの激励の依頼があり、監督が快諾した。当日は野球部の全体練習初日だったが、福島・相馬市出身の渡邊選手はじめ5人が被災地訪問に参加した。
高橋監督ら一行が18日に訪ねたのは、小野町の県立小野高校で、グランドでは双葉翔陽、富岡、相馬農の3校連合チーム「相双連合」が練習を行っていた。3校は福島第一原発の警戒区域などにあり、部員の転校などで選手が足りなくなったため、日本高野連の特例措置で連合チームの結成が認められた。
この日は、夏の甲子園全国大会に出場する福島県代表を決める県大会が7月13日に開幕するのを控え、連合チームが全体練習を行っていた。「遠いところから、ありがとう」と感謝の言葉で迎えられた高橋監督と選手5人は、シートノックに参加するなどして練習を手伝った。
連合チームは慣れないチームメイトがいるなかで懸命に練習に取り組んでいた。投手の島袋選手は、先発投手の心構えなどをアドバイス。渡邊選手は「ちょっとでも上手になって欲しいと思って助言した。高校生たちの反応は素直で、アドバイスをよく聞いてくれた」と話す。
グランド周りに残る瓦礫の山
渡邊洋平選手
19日はいわき市で、市内の小中学生の野球チームを相手に野球教室を開いた。海の近くにあるグランドの周りには、津波で流された瓦礫が山になっており、大震災の爪痕が残っている。
渡邊選手と島袋選手はピッチングを教え、飯田選手と西銘選手は、それぞれキャッチャーと内野手の守備についてアドバイス。高橋監督も直々に熱っぽく指導。小中学生は元気いっぱいで、嬉しそうに応えていた。
「子供たちが頑張っている姿をみて、満足な生活ができていることを当たり前と感じないようにしようと思いました。好きな野球ができるのは、環境を整えてくれる人がいるからで、周りへ気配りを忘れないようにしたい」
こう語る渡邊選手は、被災地での球児との交流を体験して、野球に取り組む気持ちを新たにしていた。
(学生記者 渡辺紗紀=法学部2年)