「高野先生から声をかけていただきました」と、感激した表情で話す。高野先生とは、高野進・日本陸連強化委員長(東海大学コーチ)だ。飯塚さんからみれば、バルセロナオリンピックの400mで、日本人として60年ぶりにファイナリストになった高野さんは、憧れの人に違いない。
関東インカレ200mで優勝
その高名な高野さんの目にとまったのも当然だった。飯塚さんは、5月に国立競技場で行われた関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)の100mで2位、200mではルーキーながら1位に輝いた。
さらに、中央大学チームのアンカーとして出場した4×100mリレー(一走・畠山純さん=総政2年、2走・川面聡太さん=法3年、3走・河合元紀さん=文3年)で、38秒54の日本学生新記録を樹立して優勝し、その立役者のひとりとなり、一躍注目を集めたのだった。
いまや有望選手がそろった中大の短距離は、全国の大学から注視される存在で、なかでもルーキーへの関心は一段と高まっている。
「高校とは違って、周りの選手が速そうに感じました」と、飯塚さんは大学生になって初の大きな大会となった関カレを振り返るが、好結果を残しただけに自信がみなぎる。「今ある大会は、世界の選手と対等に走ることができるようになるための積み上げです」と話す。
高校時代にも輝かしい記録
陸上競技との出会いは小学校3年生の頃。小学6年生で初めて全国大会の切符を手にし、中学生では全国大会の100mで優勝を果たした。藤枝明誠高校時代は、2009年度のインターハイ200mで優勝、同じく国体100mで優勝し、輝かしい記録を残した。「結果がモチベーションかな」と言うとおり、自己ベストをどんどん更新していった。
「ケガに気をつけて生活をしています。高校2年生の頃に肉離れをして、そのときにケガの辛さに気づいたんです」。監督をはじめ周りが面倒をみてくれた高校と違って、大学では自主性が重んじられるだけに、気を抜かずに自己管理を徹底している。身長184cmと、短距離選手としては長身で体躯がある。外国人選手にも引けを取らない。伸びしろは大きく、周囲の期待も大きい。「人それぞれの走り方があるので、自分に合った走りを自分なりに考えています」。それには筋力アップが課題と自分を見据える。
ロンドンオリンピックも視野に
初の関カレで華々しくデビューを飾った飯塚さんには、ひとつ大きな目標がみえてきた。2012年のロンドンオリンピックだ。北京オリンピックで銅メダルに輝き、日本が期待する有望種目である4×100mリレーの出場も夢ではない。
学生記者 加藤静香(文学部1年)