国際機関資料室入口
中央図書館の入館ゲートを通って、右に向かって歩いていくと前方に『国際機関資料室』という文字が見える。一見、「敷居が高いな」という感じのガラス扉を抜け、資料室を取材した。国際機関資料室副課長の須田由加利さんから説明を受け、室内を案内していただいた。
『国際機関資料室』は、1979年12月に指定された『EC資料センター』(2006年10月から『EU情報センター』に名称変更)と、1994年6月に指定された『国連寄託図書館』、それに2つの機関以外の国際機関資料も収集するようにして、1995年4月に開設された。
『EU情報センター』は、欧州委員会によって設置された資料室で、ルクセンブルグにある欧州委員会出版部が発行する官報、条約、年次報告書、月例報告書、統計資料などのEUの公式資料や各政策分野についての広報資料を所蔵している。
受け付け
世界中に約500ヵ所設置されており、日本国内では、19校の大学に設置されている。中央大学の『国際機関資料室』も認可を受けて指定され、その中の1校となった。
一方、『国連寄託図書館』は、国連の文書や刊行物を収受、所蔵して、地域の方々に開放している図書館で、日本では14の図書館、そのうち大学図書館は中央大学を含む9校が国連 寄託図書館としての許可を得ている。
EU情報センターと国連寄託図書館の両機能を併せた中央大学の『国際機関資料室』に近い形の資料室があるのは、東京大学、北海道大学、西南学院大学、日本大学、琉球大学など全国でも僅かな数しかなく、とても貴重な資料室なのだ。
現在、書庫や書棚に蔵書されている資料数は、CHOIS(中央大学図書館蔵書検索システム)に登録している資料だけでも約26000点にも及ぶ。毎日のように自動的に送られてくる国連やEUの資料をはじめ、WB(世界銀行)、ILO(国際労働機関)、IMF(国際通貨基金)、WHO(世界保健機関)、ASEAN(東南アジア諸国連合)などの国際機関が発行する資料も収集している。
資料が詰まった書棚
その他、国連のドキュメントやILOの会議資料・委員会資料など、CHOISに登録していない資料も所蔵している。WBとIMFの資料が特に利用が多いそうだ。
資料室は、中央大学の学生や研究者だけではなく、一般市民も利用することができる。資料室では資料の閲覧やコピー、それに一部資料を除いて6冊まで館外貸し出し(15日間)している。国際機関のホームページ閲覧もできる。
また、数多くある国際機関の資料の探し方が分からなければ、スタッフがレファレンスサービスで教えてくれる。探している資料が資料室にない場合は、「他大学に相談して必要箇所のコピーを取り寄せたり、場合によっては所蔵のある他機関をご紹介して直接行っていただくこともあります」(須田さん)という。
新着資料コーナー
昨年度の資料室の利用者数は814人。2005年度には1220人の利用者がいたことを考えると近年は減少傾向にある。この原因について須田さんは「多くの国際機関資料のオリジナルを入手できるようになってから、わざわざ来室する方は減ってしまいました」と話す。
資料室では、国際機関の資料を提供するサービス以外に、毎年5月から6月にかけて、日・EUフレンドシップウイークイベントとして「EUクイズ」を行っている。簡単なクイズに答えると、EUのオリジナルグッズを入手できるもので、こうしたイベントを通して、資料室の活用を促している。
資料室の開館時間は9:30~17:00(土曜日は9:30~12:00)で、中央図書館とは異なるので注意が必要だ。
須田さんは、「お探しの統計や文書があれば、まず窓口にご相談ください。お探しの資料が100%見つかるとは断言できませんが、最大限の努力をもってお探しいたします」と語り、「この記事を読んで、『国際機関資料室ってどんなところだろう』と思われたら、是非一度来室してください」と資料室の利用を呼びかけている。
学生記者 上田雄太(大学院文学研究科修士1年)