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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年春季号】>【連載企画】ボランティアと私-何かを求めてー 児童養護施設

Hakumonちゅうおう一覧

連載企画 ボランティアと私-何かを求めてー

児童養護施設

遠藤 惇さん/経済学部3年

遠藤 惇さん

 東京都小平市にある『社会福祉法人・東京都むさしが丘学園』は、保護者のいない児童や虐待されている児童などの養護・自立支援を目的としている児童養護施設だ。学園では、2歳から18歳までの約60人の子供たちが共同で生活していて、地元の幼稚園や学校に通いながら、園内では、職員やボランティアの学生らに生活指導・学習指導を受けている。

 中央大学の社会福祉サークル『青い鳥』に所属する経済学部3年の遠藤惇さんは、その『むさしが丘学園』で、サークル仲間とともにボランティア活動を行っている。

毎週日曜、夕方まで6時間
遊んだり、勉強を教えたり

 遠藤さんら『青い鳥』のメンバーが活動するのは、毎週日曜日の午前10時から午後6時ごろまで。幼児や小学生と遊んだり、午前中の約2時間、小学校高学年や中学生にマンツーマンで勉強を教えたりするのが主な活動内容だ。また、遠足やスポーツ大会などの行事にも参加し、子供たちとの交流を深めている。

 「最初の半年ぐらいは、自発的にというよりサークルの一員としての役割意識から活動をしていました」という遠藤さん。でも、今ではすっかり活動にも慣れ、子供たちに人気のお兄さんだ。「他のメンバーや子供たちと親しくなるにつれて、主体的に活動できるようになりました」という。

 遠藤さんは、学園でボランティアをするメンバーの責任者として、活動にはほぼ毎回参加している。「入園当初、学園の職員さん以外には全然なついてくれない女の子がいたんですが、次第に僕たちにも心を開いてくれるようになりました。そういう子供の様子を見ていると、もっとサポートやアドバイスをしてあげたいと思うようになりました」と活動に熱が入る。

お兄さんとして心の支えに
時には児童を叱ることも

 児童にとってのお兄さん役でもあるので、お兄さんとして「子供たちの不満に目を向け同感してあげる」ことを常に考えているという。「命令やしつけはしたくないんです。年上の立場から、心の支えになってあげたいと思っています」。そのために、いつも自然体で子供たちに接するように心がけている。「過剰に優しく子供と接する人がいますが、自分はそうじゃないです」と語尾を強めた。

 「すごくやんちゃで、なかなか言うことを聞いてくれない子もいます」と一人の児童の例を挙げた。「小学生の男の子ですが、小学生では許されることがあっても、中学生になると許されないことがある。そう考え、その子には強く叱るようにしています。そういう子はよけいにかわいく思えるんですけどね」と笑う。

園児の手をとって一緒に散歩する遠藤さん

 ボランティアサークル『青い鳥』には1年生の時から所属している遠藤さん。「特に子供が好きだというわけではありませんでした。大学に入ってやりたいことを探すうちに、人の役に立つことをしたいと考えるようになりました。人の役に立つことは自分にもプラスになると思い、サークルに入ることを決めました」という。

 『むさしが丘学園』でボランティア活動するようになったのは、施設の見学会で、「担当した部屋に男のボランティアが来るのは久しぶりだったので、子供たちがとても喜んでくれた」こともあり、「自分に合っていそうだ」と感じたからだった。

前向きに生きること教わる
出会いが人生を豊かに

 施設で生活する子供たちは、虐待を受けた経験があるなど、みんな複雑な事情を抱えている。しかし、遠藤さんは、「そうした子供たちと接する難しさは感じたことがありません」という。「みんな、施設で生活している境遇に不満を言うことなく、いつも明るく元気に、前向きに生きています」。そういう子供たちを見ていると、「自分も大学生活を前向きに生きなければ、と思えてくる」と教えられることも多い。

 海外でのボランティア活動も経験したことがある遠藤さんは、「人との出会いで、いろいろなことを学びます。人と出会うことで、人生が楽しく豊かなものになると思っています」と、これからもボランティア活動を通して多くの人と出会い、学び、そして視野を広げていく考えだ。

学生記者 廣瀬功一(文学部3年)