昨年10月上旬、横浜文化体育館で行われた第76回全日本学生卓球選手権大会で、森田さんはペアを組む瀬山辰男さん(経3)と男子ダブルスの決勝に勝ち上がった。準々決勝で、優勝候補の水谷隼選手、甲斐義和選手の明大ペアを下し、勢いに乗っていた。
決勝の相手はやはり明大ペア。3ゲーム先取の試合で第1セットを取ったが、第2、第3セットは連取され、追い込まれた第4セットはマッチポイントを握られた。だが、デュースを繰り返した末、見事逆転でセットを取ることができた。森田さんは、この勝利を「4年間の集大成が出た。人生が変わった瞬間だった」と振り返る。第5セットも競り合いながらも、勝利し、見事優勝を果たした。中大にとって24年ぶりの快挙だった。
その勢いで森田さんは、今年1月の全日本卓球選手権大会では男子ダブルス3位という結果も残した。中大の選手が全日本で表彰台に上がったのは40年ぶりだ。 卓球は中学校の部活で始めた。担任の先生が卓球部の顧問で、入部を勧められたのがきっかけだった。「卓球の世界では中学から始めるというのは遅すぎるんです」という。でも熱心な両親の応援、協力もあって、毎日休み無く練習し続け、メキメキ上達していった。中学卒業の頃にはシングルスで石川県大会優勝、北信越大会優勝、全国大会でベスト8に入る結果を残した。しかし、全国大会前日、常に支え続けてくれた母親が亡くなった。当時を振り返って、「辛い経験を決意に変え、卓球への熱意がさらに強まりました」と語る。
高校は、卓球名門校の東山高校(京都)に入学を決めた。「地元の高校でも良かったのですが、強い選手達の中に身を置くことによって全国で勝てる選手になりたかった」という。
高校では2年次にインターハイ男子ダブルスでベスト8、3年次には近畿大会でシングルス、ダブルス、団体で優勝し、三冠を飾った。インターハイは中国人選手に破れ、良い成績は残せなかった。
「高校時代はやり残した気持ちがあった」という森田さんは、その思い晴らすため中央大学に入学。1年生で、関東学生新人選手権大会のシングルスで優勝し、すぐに結果を出した。その後も1年生で全日本学生選手権大会の男子ダブルス3位、2年生では全日本学生選抜卓球選手権大会でシングルス4位、3年生では同大会シングルス2位など好成績を収めた。
3年生の秋、卓球部主将になった森田さんは「それまでは自分のことだけ考えていればよかったが、他の メンバーが勝つにはどうしたらよいか、周りに中大は強いと思わせたい」と思うようになった。しかし、これがプレッシャーとなってプレイに影響が出たこともあり、「自分の弱さだった」と自戒する。
卒業後は実業団のシチズン時計で競技を続けていく。次の目標は「社会人日本一」だ。
(堀)