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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年早春号】>【群像 それぞれの春】人一倍の練習量で自立心 培う愛されるプロサッカー選手に

Hakumonちゅうおう一覧

群像 それぞれの春

人一倍の練習量で自立心培う 愛されるプロサッカー選手に

小野 博信さん/商学部

小野 博信

 「小野ちゃんがプロになれなくて、誰がプロになれるんだ、っていうくらい練習していた」。小野さんの努力家ぶりを、こう紹介するのは、サッカー部の同僚で主将を務めた村田翔さん。二人は、今春からともにJ2の水戸ホーリーホックに所属し、プロサッカー選手の道に入る。

 小野さんはGK(ゴールキーパー)。MF(ミッドフィルダー)の村田さんとはポジションは違うが、「プロでも同じチームでやれるのは、ものすごく心強い」と話す。

 「サッカー選手として自分自身に正面から向き合い、自立心をもって練習に励んだ。チームメイトを大切にし、みんなからフィールドに立つことが認められる選手になれるように心がけた」。サッカー漬けだった大学生活を小野さんは、こう振り返る。

 高校はサッカー強豪校として全国的に有名な山梨県立韮崎高校。だが、高校3年次には、県大会で思わぬ敗退を喫し、目標にしていた全国高校サッカー選手権大会に進むことができなかった。その悔しさは「大学入学後もひきずっていた」という。

 大学入学後1年から試合に出場し、ゴールを守ったが、大学2年次にはチームが連敗していった。自身の不調が重なり、試合のメンバーにも選ばれなくなってしまい、悩む時期が続いた。それまでは、ただ「試合に出ていればいいや」と軽く考えていた小野さんだったが、その時に「練習しなくちゃだめだ」と自分自身の甘さを痛感した。

 これを機に練習に臨む姿勢がかわった。自主練習では、課題を克服するための練習メニューをこなした。GK専門コーチがいないため、自分自身が監督・コーチとなり、試行錯誤を重ねながら、ひとつひとつの練習にこだわって取り組んだ。

 自主練習の量はチームの中で一番多かった。ランニングや筋力トレーニング、ボールを使ったメニューなど、5時間の練習をこなした。これに全体練習が加わった。黙々と練習に励む小野さんの姿は、同じ志を持つチームメイトの刺激となった。

 一方、「私生活で適当なことをすると、プレーに影響する」と日常生活にも気をつけた。疲労を回復させるため、きちんと休息時間をとり、食事メニューにも気を配った。

 「頑張っているか。人としてだらしない姿をみせていないか。寝る前に自分自身に問いかける日もある。プレーできる人数は1チーム11人だけで、試合に出られない人もたくさんいる。精一杯責任あるプレーをし なければ、申し訳ない」

 やわらかな笑顔と誠実な口調が印象的な小野さん。「サッカー選手は体を使って感動を与えられる仕事。ファンを大切にし、みんなに愛される選手でありたい」と話す。人としての成長を、サッカー人生の飛躍にかける小野さんの活躍が待ち遠しい。

(山岸)