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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年早春号】>【群像 それぞれの春】フランス交換留学で体得した自主性 目的持って行動する大切さに気づく

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群像 それぞれの春

フランス交換留学で体得した自主性 目的持って行動する大切さに気づく

三田 詩子さん/文学部

三田 詩子

 一昨年8月から昨年7月まで1年間、休学してフランスへ交換留学した。「フランスに行ってから、よく話すようになった、元気になったね、って周りから言われます」と照れくさそうに笑う。フランス留学は、大学生活のなかで自分を大きく変えた1年になった。

 交換留学を決意した理由は二つ。「フランスの文化がどのようなものなのか見てみたかった」というのが、一つ目の理由だ。フランス文化に関心を持ったのは、ジャグリングが好きで中学3年のときに3ヶ月間、当時スペインに本部があった平和を訴える『子どもサーカス』に参加したときだった。

 この子どもサーカスは「ベンポスタ子ども共和国」といって、「強い者は下に、弱い者は上に、子どもはてっぺんに」という理念を掲げ、子どもによる自治を実現させた生活共同体である。その時、フランスに動物を使わずに人間だけで表現する現代サーカスがある話を聞いて、「そのようなサーカスが生まれるフランスは、一体どんな文化なのだろうと思った」という。

  そんな疑問を抱きながら臨んだフランス留学では、「フランスには国立のサーカス学校があったりして、しっかり芸術に対して政府が援助しているんです」と日本との違いを感じた。また、交換留学先のリヨン第二大学には、アート・マネジメント・コースがあって、ピエロの練習をする授業があり、「自国の芸術を大学の授業内で実践的に教えるフランスは、芸術を大事にする文化が根付いている」という答えに行き着いた。

 学生の積極的な姿勢にも刺激を受けた。「日本では先生が前に立って大勢に向かって講義し、それを生徒が座って聞くという授業が多いと思うんです。でも、留学先では生徒が主体でした。自分たちが動かなければ進まないんです」と話す。

 また、「フランス人は自己主張が強い。だけど、日本人は対立をできるだけ避けようとして主張しない」と指摘され、「その通りだなと思った」こともあった。こうした留学体験を通して、「何事も自主的に行動する」ことを体得した。

 留学を決めた二つ目の理由は、「フランス語の習得を大学での勉強の目的にしていた」からだった。目的をはっきり持ったことで、「現実的に具体的に考えてみるようになったと思う」と話す。そこで感じたのは、出会いの大切さだった。

 「1年間留学をしようと思った時に、実際に経験した人に聞いてまわったんです。人とのつながりを広げてみたことで、たくさんの良いア ドバイスをもらえたので、人とのかかわりが大事なんだということに気づきました」と振り返る。

 卒業後は塾講師として働く。「働きながら勉強をして幼稚園教諭の資格をとりたい。そして青年海外協力隊として中東に行きたい」と三田さんはすでに次の目標を定めている。

(野村)