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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年早春号】>【群像 それぞれの春】商学部論文大会のプレゼンで優勝 途上国への郵便貯金制度導入を論ず

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群像 それぞれの春

商学部論文大会のプレゼンで優勝 途上国への郵便貯金制度導入を論ず

塚本 悟史さん/商学部

塚本 悟史

 『発展途上国における郵便貯金制度導入について』をテーマに卒業論文を書いた。それを商学部演習論文大会でプレゼンテーションしたら、見事、商学部長賞を受賞した。プレゼンの経験はそれまでにもあった。3年生のとき、学内プレゼンテーションにゼミのチームで出場し、地域金融機関について発表した。それがきっかけで、途上国で広まっているマイクロファイナンスに関心を持つようになった、という。

 「マイクロファイナンス」とは?と聞くと、「『マイクロ』というのは、極小、最も小さいという意味。だから『マイクロファイナンス』とは、小さい額を取り扱う金融ということです。自営業者や零細企業のほかに、信用がない個人や一般家庭にも担保無しでお金を貸したりします」と、明確な答えが返ってきた。

 つまり「マイクロファイナンス」とは、低所得者層向けの小口金融サービスである。

 塚本さんは、研究を進めるうちに、「マイクロファイナンスは一時的な貧困解決にはなるけれど、根本的な解決にはならない」と考えるようになり、根本的な貧困解決のために郵便貯金制度の導入を思いつく。

 「貧困解決には、産業発展が必要だけれど、そのためには機械などに投資するお金が必要になる。現状ではそのお金がない。お金を集めるためには郵便貯金制度が役に立つと考えました」 根本的な貧困の解決方法である郵便貯金制度と、一時的な貧困の解決方法であるマイクロファイナンス機関が提携し、相互に補い合って国家の発展、貧困解決を目指すべき、というのが卒業論文の論旨だ。

 プレゼンテーションについては、3年間、塾の講師のアルバイトをしていたため、「人前で説明することに抵抗はない」という。

 論文をまとめることについても、「自分の考えを形にしていくのは面白いし、そのために勉強しなければいけないので、自分の成長にもなる」と能動的に考えている。「自分の考えを発表することで、人が認めてくれたり、それによって何かが変われば意義のあることだと思う」。こう話す塚本さんは、4年生の夏にも外部の懸賞論文に応募した。

 「政策提案や制度づくりにかかわりたい」ということで、卒業後は、日本医師会の事務局で仕事をする。「医者や医学生の友達と話をしたり、医師会に興味を持って勉強するうちに、医者の労働環境や医者不足をはじめとした問題に興味をもつようになりました」という。

 公務員の勉強もしていた塚本さん だが、公務員は通常、数年ごとに異動があるため、それよりは「医療という一つの分野に集中していける日本医師会の事務局で、経験を蓄積し、専門性を高めたい」と考え、医療のスペシャリストを目指すことにした。卒業後を見据え、「日本の医療をよくしたい」と決意を新たにしている。

(武田)