大学3年次の9月から4年次の6月まで、交換留学でフランスに留学した。入学当初はアメリカかイギリスへの留学を考えていたが、大学でせっかく勉強し始めたフランス語を試してみようと、フランスへの留学を決めたという。出発前のフランス語のレベルは「片言程度でしたね。本当にボンジュールくらいしか話せませんでした」というから一大決心だったに違いない。
留学先はマルセイユ大学の応用経済学部。「日本の経済学の授業に比べ、より実践的な内容だった」という。フランス語での授業には、「内容が日本で学んでいたことが多かったので、なんとかついていけました」と屈託がない。
現地では留学生で固まるのを嫌い、「フランス人しかいない授業を進んで取った」というから何事にもアグレッシブだ。
「フランス人と組んでメディア経済学のプレゼンテーションをしたのをよく覚えています。準備は大変でしたが、とてもいい経験になりました。半年くらい経つとフランス語もすらすら出てくるようになっていました」
勉強に積極的に取り組むとともに、世界各国の学生と触れ合ったことで、「視野が広がった」と強調する。「レバノンの友達は、『学校が戦争でよく休学になる』と言っていました。アフリカの友達は、『兵役が終わってから学校に来た』と話していました。戦争はまだまだ過去のものではないと感じました」と厳しい国際情勢についても学んだ。
「日本で普通に暮らしていたら、こうした学生と触れ合う機会はまずないので、このような話を聞くこともなかったでしょう」と述懐する。 この留学経験を踏まえて周さんは、「学生はもっと旅をするべきです」と強調する。「老若男女さまざまな人に会って見識を広めることができました。例えばヨーロッパは一見すると華やかなイメージがありますが、案外、質素な部分も多かったです。実際に行ってみて初めて分かることがたくさんあります」と旅の効能を説き、「何でも自分の目で、見てほしいです」と声を強めた。
周さんは今春、中央大学大学院の商学研究科に進学し、保険のルーツである海上保険について研究する。留学から帰国後、海上保険に関する勉強会に参加するうちに、もっと勉強したいという気持ちが起こったそ うだ。将来も海上保険に携わる仕事を希望している。
周さんには夢がある。数年後、留学先で出会った友人3人とそれぞれの夢を叶えて南フランスで再会することだ。留学で一生涯の友を得た周さんは、再会を楽しみに、これからもチャレンジ精神で夢路をたどる。
(駒田)