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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年早春号】>【群像 それぞれの春】マスコミ志望で選んだ中大進学 テレビ局でFLPの体験活かす

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群像 それぞれの春

マスコミ志望で選んだ中大進学 テレビ局でFLPの体験活かす

葛西 友久さん/経済学部

葛西 友久

 「高校生の頃からマスコミに興味がありました」という葛西さん。中央大学への進学を決めたのもFLPジャーナリズムプログラムの松野良一ゼミに入るためだった。希望通り中大に入学したが、すぐに思い通りの学生生活が始まったわけではなかった。

 サークルに入ったものの馴染めなかった。「何かしなくては」という気持ちが募るが、なかなか見つからず、その気を紛らわすように週5日、アルバイトに精を出した。そんな生活も、目標にしていた松野ゼミに合格したことで変わっていった。

 松野ゼミは、主に映像を作ることを通してジャーナリズムについて学ぶゼミだ。複数のプロジェクトがあり、そのひとつひとつを学生主体で運営している。葛西さんが最初に携わったのは「多摩探検隊」プロジェクト。「多摩探検隊」は多摩地域のケーブルテレビで放送されている10分間の番組で、企画・取材・編集などすべてを学生が行っている。

 葛西さんは2年生のときに、ディレクターとして竹細工職人を取材し、番組を制作した。しかし、ここで、課題に直面する。「文字が書けないと、映像はできないんです。まず映像の構成を考えるんですけど、それがなかなか書けなくて…」。さらに「結局、自分は何を伝えたいのかわからなくなってしまった」という。

 もうひとつ、葛西さんが関わったプロジェクトが「子ども放送局」だ。これは子どもたち自身が番組を作るというもので、ゼミ生はそのサポートをする。

 3年生の夏休みに、福井県高浜町にある日引小学校の子どもたちと番組を制作した。内容は、2009年3月に廃校になる日引小学校のレポートだった。

 1泊2日で、子どもたちに映像の作り方を教えて、撮影、編集し、上映会を行うというハードスケジュールだった。2日目に、保護者や町の人を集めて行われた上映会では、「映像を観て、保護者や町の人が涙を流したんです。自分の作ったもので感動を起こせるんだ、と思いました」。この経験がマスコミへの関心をさらに強くした。

 3年生の秋からは、障害者ヘルパーのアルバイトを始めた。「兄が障害者なんですが、偏見とか差別は無関心だから生まれるんだと思うんです。無関心が関心に変われば、偏見、差別は無くなると思うんです」。ヘルパーをして、改めてそれを認識し た葛西さんは、社会的課題に真正面から取り組めるマスコミの世界へ進む決意を固め、3年生の3月にテレビ局の内定を得て、希望がかなった。

 4年生の夏休みに屋久島に行き、白門祭期間中には国立から仙台までヒッチハイクした。思い立ったら行動するタイプのようだが、「計画性が課題です」と笑った。

(野崎)