1年次の春休みに、高松さんは『特定非営利活動法人地球の友と歩む会』のスタディツアーに参加するために、法学部のやる気応援奨学金を利用してインドへ渡った。このツアーで高松さんは、NGOのスタッフが農村女性の自立支援や子どもの教育に携わっている現場を見学し、いろいろ考えさせられた。
「自分がこの現状に対して何をするべきか考えました。場当たり的な対処をしていくだけで本当に現地の人の役に立てているのだろうか。現地のことを何も分かっていない自分が役に立つのだろうか。そのときは考えても答えは見つかりませんでした」 答えを探るため、次に高松さんは、2年次からFLP国際協力プログラムで学ぶことにし、現役のJICA職員である鈴木洋一先生の社会開発ゼミを選んだ。
社会開発とは、経済的発展だけではなく、そこに暮らす人々の生活状況の改善やコミュニティー開発などを含む、包括的な開発のことである。高松さんは社会開発について学ぶうちに「日本の諸問題についても関心を持つようになった」という。
やる気応援奨学金、FLPに加え、学外の活動も精力的に行った。NPOのインターンとしてプロジェクト進行をモニタリングしたり、イベントに参加したりした。NPOの活動を通じて様々な人と出会い、「それぞれ異なった観点からの議論ができて面白かった。違った生き方をしてきた人たちとの交流は、とても良い刺激になりました」と話す。
そうした体験を通して、高松さんがたどり着いたのは「農業」だった。「食と農」という観点から、「環境問題や南北問題といった地球が直面している問題に関心を持ってもらえるような活動をする」ことを目標にするようになった。
様々な活動に精力的に取り組んだ結果、自分のやりたいことがはっきりと見えてきたのだ。4年間を振り返り、「大学時代はやりたいことをやれる唯一の自由な期間であると思います」と強調。「この4年間は自分の学びたいことを存分に追求できた時間でした。やる気応援奨学金もFLPもそれをサポートしてくれました」と全く悔いはない。
後輩たちに対しては、「ぜひ関心のあることに向かって、何かアクションを起こしてみてください。そうでないともったいないですから」とアドバイスしてくれた。
(廣瀬)