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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年125周年記念号】>【Topics】第5回世界大学野球選手権大会のキューバ代表チーム 本学で事前合宿(7月23日~28日)学生や地域と交流し、友好深める

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【Topics】

第5回世界大学野球選手権大会のキューバ代表チーム
本学で事前合宿(7月23日~28日)学生や地域と交流し、友好深める

 「第5回世界大学野球選手権大会」(7月30日~8月7日、明治神宮球場など)に出場するため来日したキューバ共和国の代表チームが、公式スケジュール前の7月23日から28日までの6日間、中央大学多摩キャンパスで合宿を行った。友好交流を図るため本学が受け入れたもので、合宿中、キューバチームは本学硬式野球部との練習試合をはじめ、学生や地域との親睦・交流を図り、友好を深めた。(学生記者取材班)

 キューバの野球チームが来日したのは5年ぶりで、今回のキューバ代表チームは、イヒニス・ベレス・カリオン団長、エドゥアルド・マルティン・サウラ監督はじめ選手ら総勢28名。昨年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した6名の選手を含む、強豪チームだ

「目標は優勝」と監督

【7月23日】◆来日記者会見

 来日記者会見は、多摩キャンパス1号館内で行われた。選手たちは長旅の疲れも見せず、元気な様子で、会見場に姿をみせた。まず、カリオン団長が「中央大学が温かく受け入れてくれたことに感謝します」と挨拶。またサウラ監督が「(大会前の)非常に大事な時期に準備を整えることができる。日本のみなさんは家族のようです」と述べ、感謝の意を表した。

記者会見するキューバ代表チーム

 このあと質疑に移り、新聞、通信社などの記者が質問。キューバチームの特長についてサウラ監督は「バランスの良いチームで攻撃もよい。パワー、スピードもすごくあります。どんなタイミングでもダイナミックなプレーが可能です」と説明し、「目標は優勝です」と早くも優勝宣言した。

 また、日本の野球の印象についてサウラ監督は「トップレベルで大リーグにも負けていない。熱心な選手が多く、集中して野球をしている」と高く評価。日本のピッチャ―に関しては、「まだ情報はない」としながらも、「キューバは良いチームなので、どんなピッチャーでも気にすることはない」と強い自信をみせた。

 この日の東京は厳しい猛暑。「ハバナと東京の気温差はどうか?」との質問には、選手から「今日はキューバより暑い」という答えが返り、東京の暑さには少し参っている様子だった。

 そこで、本誌学生記者が、手を挙げて質問。「大学野球で最速の157キロを投げる澤村投手が中央大学から代表チームに選ばれているが、打つことができますか?」と“挑発”すると、「国内にもそれくらいの投手はいるから、問題ない」(アルフレド・デスパイネ選手)、「それくらいの経験はある。自信はある。実際に試合を見て、みなさんで判断して欲しい」(ヨエニス・セスペデス選手)と主力打者はいずれも強い自信を覗かせた。

 記者会見の最後に、中大の福原紀彦・野球部部長(法務研究科長)が挨拶し、「キューバの皆さんようこそ。公式スケジュールの前に受け入れるのは光栄です。子供達との交流、他チームとの交流があり、交流を通じて、世界一の力を披露して欲しい。十分に準備され、力を発揮して欲しい」とキューバ代表チームにエールを送った。

体格、パワーが違うキューバ選手

【7月25日】◆練習試合 対中央大学戦

 炎天下のなか、中央大学グランドで中央大学硬式野球部とキューバ代表チームの練習試合が行われた。猛暑にもかかわらず、スタンドには試合開始前から、八王子市はじめ近隣の少年野球チームの小中学生、それに熱心な中大ファンらが大勢駆けつけた。

 久野修慈理事長が始球式を行ったあと試合開始。スタンドは直射日光を遮る場所がなく、試合観戦に来た人たちは思い思いの暑さ対策で試合を見守った。なかには木陰に“避難”する人たちも多くみられた。そこで学生記者は、試合観戦に来た人達にキューバチームの印象などを聞いて回った。

暑さ対策で、かき氷を食べながら観戦

 熱中症対策で、かき氷を用意してきていたのは、少年野球チーム『めじろ台ホークス』の小学5、6年生16人を引率してきた越野宏治さん。「95年法学部卒」という越野さんは、「中大野球部の選手は、私の在学当時と比べ、おとなしい。体格も昔よりスマートになったと思う。キューバの選手の体格は中大の選手より一回り違いますね」と印象を語ってくれた。

 同チームの藤森裕太君と松本和馬君(棚田小)は、「キューバの選手は体格が違う。迫力がある」とびっくりした様子。『八王子アストロジャガーズ』の菅野岳史君(小6)、梶原淳夫君(小6)、大橋純君(小6)、林田啓吾君(小6)も「キューバの選手は体格がすごい。豪快で迫力ある」と口をそろえた。

 『交友ビクトリー』の安部歩夢君(小6)は、「力が強く、体格が大きく、しっかりしている。足が速くてびっくりした」とキューバの選手のパワーに目を見張り、『フレンズ・ジュニア(Friends junior)』の天井公樹君(小3)と鈴木巧樹君(小3)は、「キューバの選手はかっこいい。振りがよい」と感激していた。

 観客の中には中大生の姿もみられ、ともに法学部4年の田中宏和さんと北川方斉さんは、「キューバはレベル的には、ひとつ上のように感じた」と口をそろえた。

 「熱心な中大野球部ファン」を自認する都内中野区から訪れた平塚由美子さん、平塚由夏さん親子は、「キューバチームからは余裕が感じられる。強い」と率直な感想を語ってくれた。春、秋の東都大学リーグ戦のときは神宮球場に家族7人で行って、中大を応援しているという平塚さん親子は、「1点でもかえしてほしい」と声援をおくった。

 結果は3対12で、キューバが大差で中大に勝った。

 試合後、中央大学の高橋善正監督は、「スピードやパワーの違いはいかんともしがたい差がある。予想以上だ。技術で比べる前にパワーで劣っている。キューバチームは基本に忠実で状況に応じることができ、目的意識がしっかりしています」とキューバチームの印象を語った。

ジャンプしてハイタッチ

◆少年野球チームと交流

笑顔で子供たちをハイタッチするキューバの選手たち

 試合後、外野グランドで、キューバ、中大の両チーム選手と、観戦に来ていた少年野球チームの子供達との交流会が行われた。両チームの選手達が一列に並んで待ち受けるなかを、笑顔でグランドに入ってきた子供達は順々に選手達とハイタッチしながら交流した。

 大きなキューバの選手を目の当たりにした子供達は、思い切りジャンプしてハイタッチ。これに選手達は笑顔で応えていた。

 「キューバの選手は、手が大きくて、硬くて、優しかった」(町田市小山ファイターズの星町翔君=小5)との感想が聞かれ、最後に選手たちと記念写真におさまった子供達には、夏休みの楽しい思い出ができたようだった。

スペイン語での挨拶に笑顔

【7月26日】◆八王子市長表敬訪問

黒須市長に帽子とボールがプレゼントされた

 午後、キューバ代表チームは八王子市役所に黒須隆一市長を表敬訪問した。

 選手団が待ち受ける中、笑顔で会場に現れた黒須市長は、「キューバは野球の国であり、有力選手がたくさんいる。(昨年の)WBCで日本はチーム力でキューバに勝ったが、キューバの方が個々の技術レベルでは上だろう。世界大学野球選手権大会では、日本チームと良い戦いになることを期待しています」と挨拶し、八王子市からの記念品としてキューバ代表チームに硬式ボール10ダースを贈った。

 これに対しキューバ代表チームからは、八王子市に今大会のチケットがプレゼントされた。またカリオン団長は「みなさんの協力のお陰で、本戦で優勝できるような良い準備ができた。キューバに帰ったときに八王子市の良い思い出を持ち帰って、これからも交流をしていけるようにしていきたい」と述べ、黒須市長にキューバチームの野球帽とサイン入りボールをプレゼントした。

 最後に田中正美副市長が、用意していたスペイン語で挨拶。自ら野球が大好きであることを即席のスペイン語で紹介するなど、ユーモアあふれるスピーチにキューバの選手たちからも笑いが起きた。和やかなうちに全員で記念撮影をして、表敬訪問を終えた。

和太鼓演奏に飛び入り参加

◆歓迎会

 夜、中央大学多摩キャンパス1号館でキューバ代表チームの歓迎会が開かれた。この日は、事前合宿に入って4日目。キューバの選手達は、環境にも慣れた様子で、終始、リラックス。食事を楽しみながら、友好と交流を深めていた。

 歓迎式では、まず久野修慈理事長が「今回、スポーツを通じてキューバと交流ができた。世界大学野球選手権大会では、ぜひキューバチームに1位になっていただきたい」と挨拶し、記念品を贈呈した。

 これに応えて、キューバ代表チームからはキャプテンのヨハピス・ボロト選手が、「素晴らしい受け入れ態勢に感謝しています」と謝辞が述べられた。

 鶴田満彦名誉教授の「乾杯」の音頭で、歓談に移った。会場には中央大学教職員はじめ、硬式野球部の高橋善正監督と選手、また準硬式野球部の選手ら多数が出席し、キューバの選手と親善友好を深めた。スペイン語に堪能な教員や学生が、臨時通訳を買って出るなか、友好交流の輪が広がった。

 そこで学生記者は会場を回って、選手らに話を聞いた。

 「中央大学はキューバの大学より大きくて綺麗。食事には本当に心配していましたが、どれもおいしかったです。日本は何度でも来たい国です」と話したのは、エンリー・ウルティア選手。

 ブラディミル選手は、中大野球部の印象について「とても良いチームだが、トレーニングが足りないと感じた」と率直な感想を語ってくれた。

和太鼓で盛り上がった歓迎会

 キューバの選手にジェスチャーで箸の持ち方を教えていたのは、準硬式野球部員の清水彰人さんと高野桂さん。キューバ選手の印象について、二人は「体格がよくて驚いた。優しくて、交流していて楽しい」と語り、キューバ選手と意気投合した様子だった。

 和太鼓サークル「鼓央」の演奏がはじまると、キューバ選手は身体を乗り出すようにして聴き入り、歓迎会は一段と盛り上がった。太鼓に合わせて次第にリズムをとるキューバ選手も出てきて、会場は拍手と歓声に包まれた。

 「アンコール!」の声で演奏が再開されると、キューバの選手がバチを持って、飛び入りで演奏に参加。リズムに合わせて、見事なバチさばきをみせると、会場から大きな拍手がおくられた。太鼓をたたいたフランク・モレホン選手は「キューバのリズムや宗教はアフリカの影響を受けている。日本の太鼓を打てて良かった」と述べ、思い出ができたことを喜んでいた。

 歓迎会は終始、賑やかな雰囲気で行われ、中央大学の学生とキューバの学生は確実に親睦を深めた。

「おもてなしに感謝します」

【7月27日】◆横断幕に記念のサイン

 キューバ代表チームと東京ガスとの練習試合が行われたあと、キューバの選手たちは大学が用意した「ブエノスアイレス(日本語で「ようこそ!」の意)」と書かれた歓迎記念横断幕に、それぞれ記念のメッセージを書き込んだ。

 「中央大学からのおもてなしに感謝します」(サウラ監督)

 「この大学に来て良かった。最高の気分です」(イスキエルド打撃コーチ)

 「皆さまのおもてなしに感謝いたします」(サンチェス投手コーチ)

 「中央大学ありがとうございます」(アルフレド・デスパイネ選手)

 「I love chuo」(レオニス・マルティン選手)

 「私達は中央大学を自分の家のように快適に過ごすことができました」(ホセダリエル・アブレウ選手)

 横断幕に書かれたメッセージは、本学に対する感謝の言葉であふれていた。

「チームコンディションは最高」

【7月28日】◆永井学長表敬訪問

 6日間にわたる合宿も最終日となった7月28日、キューバチームの代表、監督、コーチ、選手数名が学長室に永井和之総長・学長を訪ね、最後の挨拶を行った。

 永井総長・学長が「忙しいスケジュールだったと思いますが疲れはとれましたか」と問いかけたのに対し、サウラ監督は「中央大学の受け入れ態勢には満足している、チームのコンディションを最高の状態に持ってくることができた」と感謝の言葉を述べた。

 選手からも「自分の家にいるような感覚で過ごせた」との謝辞があった。

 これにこたえて永井総長・学長は「キューバは優勝候補だと思うので頑張って下さい」とキューバチームにエールを送った。

 このあとキューバ代表チーム一行は、バスで多摩キャンパスをあとにし、30日からの世界大学野球選手権大会にのぞむため、都内のホテルに向かった。

(学生記者取材班 望月繁樹=文学部3年/荻原睦=法学部2年/豊福三晃=文学部2年/梶彩夏=文学部1年/山下緑=総合政策学部1年/渡辺沙希=法学部1年)

第5回世界大学野球選手権大会 キューバ代表合宿風景

多摩キャンパスに到着したキューバチーム(7月23日)

記者会見に臨む(7月23日)

笑顔で選手とハイタッチする少年野球の子どもたち(7月25日)

熱心にメモをとる‘ちびっこ選手’(7月25日)

スタンドで観戦する少年野球チームの選手たち(7月25日)

記念写真におさまるキューバと中大の両チーム(7月25日)

試合終了後、キューバ選手と笑顔でタッチする中大選手(7月25日)

交流戦の始球式を終え、笑顔の久野理事長

黒須・八王子市長を表敬訪問し、全員で記念写真(7月26日)

歓迎会で歓談する高橋監督(左)とサウラ監督(中)(7月26日)

親睦と友好を深めた歓迎会(7月26日)

歓迎会を盛り上げた和太鼓(7月26日)

和太鼓のリズムにのって踊りだすキューバ選手も(7月26日)

キューバ選手も和太鼓に飛び入り参加(7月26日)

横断幕に記念のサインをするキューバ選手(7月27日)