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トップ>Hakumonちゅうおう【2010年125周年記念号】>【創立125周年記念行事】「国際社会に巣立っていく後輩達へ」留学生OB・OG招き、国際シンポジウム開催

Hakumonちゅうおう一覧

【創立125周年記念行事】

「国際社会に巣立っていく後輩達へ」
留学生OB・OG招き、国際シンポジウム開催

 創立125周年を記念して中国、韓国、台湾、ベトナム、タイで活躍する留学生OB・OGをパネリストに迎え、「国際社会に巣立っていく後輩達へ」をテーマにした国際シンポジウムが6月26日、後楽園キャンパス5号館で開かれた。

アジア5カ国の留学生OB・OG

 パネリストは林丹さん(中国)、權大一さん(韓国)、李育凌さん(台湾)、Nguyen thuy thi thanhさん(ベトナム)、Bandit Suksawatさん(タイ)の5人で、林田博光商学部教授(元国際担当副学長、現学長専門員)をコーディネーターに、卒業後の活躍の現状や中大生に期待することなどを語り合った。

 永井和之総長・学長、ヘッセ・スティーヴン法学部教授(国際交流センター所長)がそれぞれ挨拶したのに続き、林田教授が「今の時代、国際化という言葉を聞かないことはないなかで、中大も国際化を進めていかなければいけない」などと述べて、シンポジウムははじまった。

 まず、パネリストが自己紹介。林さんは1996年に商学部に入学、2000年に大学院に進学し、2004年に大学院修了後、すぐに会社をつくり、現在は3つの会社を経営している。

 權さんは、1997年に商学部入学。大学時代は留学生の学生会長をしていた。いまは貿易関係の仕事をしている。

 李さんは、現在、台湾人留学生OBの総幹事をしており、台湾で週3日講義や研修会を行っていて、一児の母親でもある。

 Nguyenさんは、中大には研究生としてきて、1996年に大学院修士課程入学。2002年博士課程を修了後、ベトナムに帰国。2003年に国立経済大学副学長に就任した。

 Banditさんは、2003年理学研究科に入学。2008年博士課程を修了、現在はタイで機械工学の研究をしている。

自分を変えた中大での出会い

 林田教授の「大学時代楽しかったこと、つらかったことは何ですか」との質問に、林さんは、「北村敬子先生のゼミに入って1日13時間勉強したことはいい思い出。しかし、勉強がきつくて、公認会計士になる目標をあきらめたことはつらかった」と留学時代を振り返った。

 「中大では自分を変えた出会いがたくさんあった」というのは李さん。ある先輩とその家族との出会いを振り返り、「先輩は明るい笑顔で迎えてくれ、まだ日本語がよくわからなかったので、漢字と英語で日本の文化について教えてくれた」と懐かしんだ。

 Nguyenさんは、「日本語の勉強は大切。大学では毎日30分、日本人と会話をして、かなり上達した」と日本語習得の苦労話を披露。Banditさんは、「留学する前は心配があったけれど、来てみたら学生も先生もみんなやさしかった。日本語と日本の文化は、中大で学んだ」と述べた。

難しい、名前と住所の読み方

 続いて林田教授が「日本語を覚えるときに漢字文化を持っていることは役に立ちますか?」と問うと、林さんは「でも中国語とは意味が違う漢字もあり、読み違えて失敗したこともありました」と語った。李さんも「漢字はメリットだけど、音訓を覚えるのが大変で、特に名前と住所の読み方は難しかった」と話し、アルバイト先で漢字が読めなくて悔しい思いをし、スーパーに通って商品名を読んで覚えたエピソードを紹介した。

林田教授と5人のパネリスト

 Nguyenさんは、「修士課程では一日の勉強のうち6時間くらいは日本語の辞書を引いていて、研究がなかなか進まないこともあった」と紹介。またBanditさんは、「日本語は読み方と書き方が難しい。(漢字に読み仮名がふってある)子ども向けの漫画で勉強したり、テレビの字幕を利用したりして勉強した」と語った。

 權さんは「私は日本語ではなく、文化を学びたいと思って留学しました。大学4年間のうち3年間は勉強、1年間は社会のために何ができるのか考えてほしい」と4年間を有効に使うことの大切さを強調した。

 次に林田教授が「中大をどのように世界にPRしたらいいでしょうか」と問いかけたのに対しパネリストは、「中国では東大や早稲田に比べると中大の知名度は低い。中国で知られている(中大出身の)人を、うまく使って宣伝すると良い」(林さん)、「自分が有名になって中大をPRするという意識を卒業生それぞれが持つことが必要」(權さん)、「台湾では中大は知られていない。『中央』という漢字そのものが、硬くて真面目な印象を与える」(李さん)、「中大は歴史を持っているし、熱心な先生もたくさんいる。図書館の資料の数はすばらしくて、勉強の環境が整っている」(Nguyenさん)などと、それぞれ感想を交えてアドバイスした。

いろんな人と交流。チャレンジを

 最後に、パネリストが後輩の留学生達に向けてメッセージを送った。

 林さん「中大の長い歴史と実績を誇りに思ってほしい。大学ではいろいろな人と交流してください」

 權さん「帰国して、就職の面接で『日本語が得意です』と言っても意味がない。ボランティアをして何か得たとか、経済に関して詳しいとか、そういうプラスアルファの部分が必要です」

 李さん「常にアンテナを張り、やりたいことをやること。自覚しながら行動して、自分の将来を切り開いてほしい」

 Nguyenさん「チャレンジしてください。日本人の性格を理解することが大切です」

 Banditさん「目標を決めて、そのために何をすべきか考えて実現していってください」

 締めくくりに林田教授が挨拶し、「またこのような機会を持ちたいと思いました。国際化に向けてはまだまだ問題があり、解決の積み重ねが大切なのだと思います」と述べて、シンポジウムを終えた。

(学生記者 池谷祐宜=商学部4年/野崎みゆき=法学部3年)