Chuo Online

  • トップ
  • オピニオン
  • 研究
  • 教育
  • 人‐かお
  • RSS
  • ENGLISH

トップ>Hakumonちゅうおう【2009年冬季号】>【ニュースPlus】中央大学法科大学院 平成21年新司法試験合格者祝賀会開く 162人の門出に祝意の輪広がる

Hakumonちゅうおう一覧

ニュースPlus

中央大学法科大学院 平成21年新司法試験合格者祝賀会開く

162人の門出に祝意の輪広がる

 中央大学法科大学院の平成21年「新司法試験合格者祝賀会」が10月5日、ホテル・グランドヒル市ヶ谷で盛大に開かれた。合格者162人のうち、この日は144人が出席し、前途洋々たる門出に祝意の輪が広がった。

「今の気持ちを忘れずに」 永井総長・学長

お祝いの挨拶をする永井総長・学長

お祝いの挨拶をする永井総長・学長

 午後6時、開会。盛大な拍手に迎えられて、144人の合格者が晴れやかな表情で入場した。

 はじめに永井和之総長・学長が挨拶に立ち、「みなさん、おめでとうございます。私のときは、合格発表を見て一番に親に報告しました。今でも忘れられない一日です。みなさんも、合格発表のときの気持ち、今の気持ちを忘れずにいてください」と合格者にエールを送った。

 続いて久野修慈理事長が、「おめでとうございます。これから社会のあらゆる面で活躍して、正しい法律の道を歩んで中央大学の名を高めていただきたい」と挨拶。「これからの法律家に求められるものは国際性です。グローバリゼーションのなかで、全ての人に国際性が求められます。なお一層の研鑽を積んで素晴らしい法律家として活躍して下さい」と合格者を激励した。

合格者を激励する久野理事長

合格者を激励する久野理事長

 このあと、中央大学法曹会の千葉昭雄幹事長が、挨拶に立ち、「2つの点をお願いしたい。一つは、若いうちは勉強していただきたい。二つ目は、志を高く持って欲しい」と要望した。

 来賓祝辞では、最高裁判所の甲斐中辰夫判事が、戦前のクーデター未遂事件で、内乱罪の適用が免除された神兵隊事件の話を持ち出し、「これは今考えてもおかしい。そういう一方で、吉田久先生(大審院判事)は翼賛選挙の無効判決を出している」と指摘。そのうえで「皆さんが目指す法曹は平坦ではないが、一歩一歩前に進み、逆境にも耐えることです。目先の利益にとらわれず、常に正道を歩んで、立派な法曹家になって下さい」と祝意を送った。

 続いて、中央大学顧問(元理事長)の阿部三郎弁護士が、乾杯の音頭をとり、合格者を祝して歓談に移った。

 中大ロースクールで共に学んだ合格者も法曹を目指すようになったきっかけや目的は、さまざまだ。

勢揃いした新司法試験合格者

勢揃いした新司法試験合格者

裁判官から弁護士に方向転換

小林和彰さん

小林和彰さん

 小林和彰さん(中央大学法学部卒)が、法曹に興味を持ったのは中学生時代の公民の授業がきっかけになった。その時に勉強した裁判官の仕事に感銘を受け、「将来は裁判官になる」という夢を持った。

 中央大学の法学部、法科大学院と着実に夢の実現に向けて前進していた小林さんに転機が訪れる。法科大学院の授業で法律事務所に研修に行った時だ。そこで弁護士の仕事を直に見ることができた。

 「それまでは裁判官になるという漠然とした夢を抱いて突き進んできました。しかし、地域の人々や周りの人々に本当に感謝されている現場の弁護士さんの姿を目の当たりにして自分もそうなりたいと思いました」

 それから、小林さんは裁判官ではなく弁護士になることを決意し、勉強に励んだ。「将来は周りの人が楽しく、幸せになれる環境を提供できるような弁護士になりたい」と抱負を語ってくれた。

「社会正義」実現するため弁護士に

藪之内寛さん

藪之内寛さん

 藪ノ内寛さん(中央大学商学部卒)が弁護士を志したのは、「自分で独立して仕事ができ、社会正義を実現したいと思った」からだ。公認会計士も考えたが、法律、会計サークルに所属していた学部生の時、現役の弁護士の話を聞く機会があり弁護士を目指すようになった。

 学生時代はさぞかし勉強に励んでいたのだろうと想像してしまうが実際は、「確かに勉強はしましたが、3年生まで野球サークルに所属していました。アルバイトもしましたし、仲間としっかり遊びもしました」という。勉強以外にも充実した学生生活を送っていたようだ。

 藪ノ内さんは、将来は独立し、商学部で学んだ知識も活かせる民間企業の法務部門に携わる仕事がしたいと考えている。

中小企業の事業再生に関わりたい

佐藤丈宜さん

佐藤丈宜さん

 「最終的には、事業再生にかかわる法曹家になりたい」というのは佐藤丈宜さん(中央大学商学部中退)。大企業ではなく中小企業の事業再生にかかわりたいという。学部生のときから法職多摩研究室に所属して3年間勉強し、中央大学を3年で中退して中央大学ロースクールへ飛び入学した。

 「新司法試験と公認会計士試験の両方をとりたいと思っていた」という佐藤さんは、新司法試験合格者には、公認会計士の試験で免除になる科目もあるため、まずは新司法試験の方から始めた。授業の予習・復習に加え、試験に一見関係ないようにみえる研究論文を書いたり、エクスターンシップとして弁護士事務所での3週間の研修に参加したりしたという。

 「研究論文は論理構成能力、思考力を高める勉強になります。エクスターンシップは、机の上の勉強から離れるので敬遠する人が多いけど、私は将来自分がどのようなところで働くのかを知りたいと思いました」と佐藤さん。

 法曹界を目指す後輩へは、「単なる目先の試験対策ではなく、自分の将来像を見すえて、それにあった勉強をすること」とアドバイスした。

「第一人者」の分野を開拓したい

仲村渠桃さん

仲村渠桃さん

 「『私が第一人者』という分野を開拓したい」と前を見据えるのは仲村渠桃さん(中央大学法学部卒)だ。「これからは弁護士の数が増えると言われていますが、厳しい競争の中を生き残るために、人に負けない強みを見つけていきたいです」。

 ロースクール時代は朝早く登校し、終電で帰るというハードな毎日が続いた。毎日の通学時間を利用して、電車の中でも勉強をした。勉強をすることは毎日のルーティンの一部に組み込まれており、特に苦になることはなかったという。

 司法試験という大きな試練を乗り越えたいま、一番やりたいことを尋ねると、「これまで自分を支え応援してくれたたくさんの人々に感謝の気持ちを伝えにいきたい」という答えが返ってきた。

 同じ道を志す後輩に対しては、「自分がやると決めたら、早いうちから信念をもって取り組んで欲しい。つらくなったときは将来のビジョンを思い描き、そのつらさを振り切って頑張ってください」とエールを送った。

友人と罰金ルールつくり勉強に励む

堀田ひとみさん

堀田ひとみさん

 「いまも信じられない」と目を輝かすのは堀田ひとみさん(中央大学法学部卒)。友人と一緒にホームページでそれぞれの合格を確認した後、喜びのあまり二人して倒れこんだという。「そのあと法務省まで写真を撮りに行きました。その日は興奮して眠れなかったです」。そう語る堀田さんの表情は喜びに満ち溢れていた。

 ロースクールで一番大変だったのは、「授業準備と試験対策の両立でした」という。授業での課題に対する解答を準備する一方で、過去問を解いていく試験対策を両立させるため、朝が弱いという堀田さんは、友人4人と朝9時に学校の教室の席に座っていないと罰金300円を支払うという決まりごとをつくっていた。これは効果抜群で、朝の授業準備の時間をつくるのに役立ったそうだ。

 エクスターンシップで魅力的な弁護士と出会ったことで、弁護士を志している堀田さんは、「司法修習で頑張って、さらに自分を磨いていきたい」と誓った。

小学生から夢見ていた検察官

保田明子さん

保田明子さん

 小学生の頃から検察官を夢見ていたというのは、保田明子さん(中央大学法学部卒)。夢を叶えるために入学したロースクールでは、「2年生の頃は本当に大変でした。授業についていくのが必死という状況でしたね。授業準備にはかなりの時間をかけました。授業と同じかそれ以上の時間は必ずやっていたと思います」と振り返る。

 努力の末に栄光をつかんだ保田さんは、「メリハリをつけて勉強を進めることが大切です。勉強がいやになってしまったときは、気分をリフレッシュするとやる気も復活しますよ」と後輩達にアドバイス。

 中大ロースクールについては、「実際に弁護士として働くOBの話を聞く機会がたくさんあります。実際に働いている人の話はリアリティーがありますし、自分の将来を考えるよいヒントにもなります。私はこの学校を選んで本当によかったと思っています」と語った。

祖父の背中を見て弁護士目指す

戸田謙太郎さん

戸田謙太郎さん

 弁護士をしていた祖父の姿を幼い頃から見てきた戸田謙太郎さん(東京大学卒)は、「弁護士という職業が自然と頭にありました」という。はっきりと弁護士になろうと決意したのは、高校に入った頃だった。

 東大法学部を卒業し、中大ロースクールへ進学。「ロースクールでは、1人よがりにならずに、様々な視点や考え方を学びたい、と考え、実務家や先生方などできるだけいろいろな人と出会い、交流することを心掛けていました」と戸田さん。

 また、国際交流プログラムを活用して、オーストラリアのロースクールに2週間、短期留学した。現地では、裁判所や法律事務所などを見学し、将来、国際弁護士として働くイメージをより具体的にすることができた。「将来は国際事件を扱ってみたい」という目標を持つ戸田さんは、その目標への第一歩として今年、米ニューヨーク州弁護士の資格も取得した。自分が掲げた目標に向かって着実に前進している。

医者志望から弁護士志望へ

生井澤葵さん

生井澤葵さん

 「もともとは、医者になりたかったんです」と語るのは、生井澤葵さん(早稲田大学卒)。人を助ける仕事がしたいと考えていた生井澤さんが、弁護士を目指したのは高校生の時。当時、テレビや新聞で医療過誤の問題が多く取り上げられていた。「医者は神ではないんだということに気づいたと同時に、法律の整備が必要だと感じたんです。法律の力がより多くの人を救うことができるのではないかと考え、医療分野で活躍する弁護士になりたいと思いました」という。

 ロースクールでは、学校のない日も朝9時から夜11時半まで開いている自習室を利用して勉強した。「自宅だとなかなか集中できない勉強も、自習室では集中することができました」。でも、「もちろん沢山遊びもしました」という。司法試験には体力も必要だと考えてテニス教室に通ってリフレッシュしていた。

 「近所のお姉ちゃんのような身近な弁護士になりたい」と生井澤さんは、「今まで遠い存在だった法曹はもっと身近な存在になるべきだし、自分もそうなりたい」と将来を見据える。医療分野で活躍する弁護士になりたいと考えていたが、新司法試験に合格した今は、「医療分野に限らず、いろいろな分野に携わってみたい」と考えている。

「身近で親しみやすい法曹に」

高遠あゆ子さん

高遠あゆ子さん

 「大学に入学した時は法曹になろうなんて考えてなかったんです」と高遠あゆ子さん(青山学院大学卒)は、大学入学当時を振り返る。高遠さんは小学校1年生の頃から続けてきた馬術に大学4年の引退まで打ち込んでいた。馬術をやめようと考えた時、「社会にでるまでに何か身につけておきたい」と考えて法曹の道を志した。

 「ロースクールでは、とにかく様々な人、本、場所と出会いました」という。勉強はもちろん、学生だからこそできることをとことんやることで自分を磨いてきた。しかし、法曹を目指したのが大学4年だったこともあり、「ロースクールでは新しい分野の勉強についていくのが大変だった」。そんな苦労を乗り越えられたのは、「基本に忠実に」という馬術で学んできた精神と、共に学ぶ仲間の存在があったからだという。

 「どんな職業を選ぶとしても、身近で親しみやすい法曹になりたいです」と法曹像を描く。「弁護士、検事、裁判官、どれも魅力的な職業だと感じています。司法修習を通して自分に合った職業、やりたい職業を絞っていきたいですね」生き生きした表情で話してくれた。

「社会に役立つ仕事がしたい」と志す

井上知可子さん

井上知可子さん

 井上知可子さん(立教大学卒)は、弁護士を目指す。就職活動で将来のことを考えたときに、「社会に役立つ仕事がしたい。法律家になりたい」と一念発起。立教大学法学部を卒業後、2年間猛勉強して、中央大学のロースクールに入学した。

 「中央大学に知っている先輩がいて、いろいろ話を聞いていたことや、刑事系の科目の評判がよかったことから、中央大学を選びました」という。「友達と雑談をすることが勉強の息抜きになりました」という井上さん。後輩へのメッセージは、「基本をとにかくやる。条文をきちんと読む。あきらめないことが一番大事」と強調した。

 将来については、「やりたいことはたくさんありますが、特に、学部のときの論文で建築関係の紛争を書いたので、そうした関係を扱いたい」と展望した。

裁判員制度で弁護士にやりがい

森本裕己さん

森本裕己さん

 「刑事事件に興味を持ち、弁護士を志すようになった」というのは、森本裕己さん(明治大学卒)。中学生、高校生の頃、20歳未満の少年による殺人事件がメディアを騒がしていたことが、興味を持つきっかけになった。

 刑事事件の弁護については、「確かに難しいところもあると思います。被告が無実なら徹底的に戦いますし、たとえ有罪だとしても反省を促しながら適切な量刑になるように戦いたいと思います。裁判員制度が導入され、司法の場への人々の関心は高まっています。やりがいは充分にあります」と意気込む。

 森本さんは、明治大学の法科大学院にも合格したが、伝統があり、知り合いの先輩が通っていた中央大学の法科大学院に進学した。「話に聞いていたよりも充実した勉強ができ、中央のロースクールにして本当によかった」と感謝の気持ちをあらわした。

「根気よく教えてくださった」と謝辞

 懇談の後、合格者を代表して、井上知可子さんが謝辞に立ち、「法科大学院で授業後やオフィスアワーに先生のもとへ行くと根気よく教えてくださいました」と先生方に感謝。また「切磋琢磨する友人がいたからこそ、2年間、試験勉強を頑張ることができました」と述べ、友人・同僚たちに謝意をあらわした。

 最後に、福原紀彦・中央大学法科大学院研究科長が、「みなさん、おめでとうございます。今後、更に厳しい司法修習があります。厳しいときは、原点に戻らなければなりませんが、その原点が母校・中央大学であって欲しい。出世だけでなく、国民のため社会のためにあらゆる面で活躍して欲しい」と合格者を激励し、祝賀会を締めくくった。

学生記者取材班 伊藤知広(経済学部4年)/駒田恵(法学部4年)/武田朋実(法学部4年)/吉田百合香(法学部4年)