トップ>Hakumonちゅうおう【2009年秋季特別号】>【ボランティアと私―何かを求めて―】心臓病の子どもの集い
吉澤沙和子さん/商学部2年
心臓病や病弱な子供のための保育を行っているグループ『こぐま園』でボランティアを行っているのは、社会福祉サークル『青い鳥』のメンバーで商学部2年の吉澤沙和子さん。小・中学生時代の夏休みには、毎週月曜日と木曜日の週2回、東京・渋谷区代々木まで通って、活動に参加し、現在も定期的に通い、子供たちと一緒に楽しい時間を過ごしている。
「心臓病の子どもの集い『こぐま園』」は、一人一人の成長にあわせ、自立に向けて活動する一人一人が遊びを楽しむいろいろな友だちとかかわって遊ぶ―ことで「自ら生きる力」を育んでもらおうと、1975年(昭和50年)に活動がスタートした。当初は教会などを利用して活動していたが、今は渋谷区の公共施設や公園を利用して遊んだり、ご飯を食べたりしている。
吉澤さんは「昔は心臓が悪いだけで幼稚園や保育園に入れなかった」という。それでも「子供を遊ばせたい」という思いで、この活動がはじまったのだ。
『こぐま園』には、現在0~5歳の子供が10~15人くらい通園しており、吉澤さんは子供たちから「さわちゃん」、「お姉ちゃん」と呼ばれ、親しまれている。他には筑波大の学生数人がボランティアに来ているという。
夏のキャンプに参加、子供とバトミントンする吉澤さん(左)
吉澤さんは、自身も心臓病を抱えており、「小さいときからお世話になった」という『こぐま園』の卒園者だ。恩返しの気持ちもあって、「小学校5年生の時から1人でボランティアで参加している」という。「園に行くと先生や知っている人にも会えるし、楽しいんです」と自然に笑顔がこぼれる。
「一緒になってブランコや滑り台をしたり、女の子だったらお飯事、あとはシャボン玉、紙芝居、折り紙を折ったりしています」。子供達と一緒に遊ぶことが、ボランティア活動の中心だ。
吉澤沙和子さん
ただ、子供達をサポートする上で心がけていることがあるという。「負担のかからない遊びを考えます。ペースは子供1人1人違うので、階段や坂道は、相手のペースで歩かせるようにしたり、転んで落ちないように手を持って介助してあげます」。ヘルメットや肘当てを装着するのを手伝ったりもする。
『こぐま園』では、季節ごとにイベントがあり、夏はキャンプ、秋はブドウ狩り、冬にはクリスマス会を行なっている。吉澤さんは、今年もまた8月20、21日に長野県清里で行われたサマーキャンプに行ってきた。1日目はキャンプファイアや花火をして遊び、2日目には野菜の収穫体験をした。
「一年ぶりでしたので、子供達も大きくなっていて、びっくりしました」という。これまではほとんど他人の病気には関心をみせなかったのが、「さわちゃんも心臓の薬は飲んでいるの?」「病院にはどれぐらいで行くの?」などと聞いてきた。吉澤さんがつけている補聴器にも興味を持ち、「耳が悪いの?」「耳の薬は飲んでいるの?」などと質問してきた。
「病気に興味を持つようになり、周りにも心臓病の人がいると認識しているように見えました。自分の病気も知り、同じ病気の子が他にもいることを知る。周りのことを知る大切さを子供達から教わりました」と吉澤さんは言う。
夏のキャンプでは遊園地にも
「ボランティアは、半分は自分の楽しみ。あとは先生たちにもお世話になったし、難聴のためノートテイクのボランティアも受けているので、ボランティアは本当に大切だと思っています」
子供たちに「また遊ぼうね」と言われると、「嬉しくてまた行きたくなる」という吉澤さん。ボランティアの楽しさが充分に伝わってきた。
学生記者 上田雄太(文学部4年)