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2050年のゼロカーボン社会実現に向けて持続可能なまちづくり

読売新聞大阪本社版朝刊 2023.07.15

 猛暑や大寒波・巨大台風など、異常気象やそれによる災害のニュースに触れる機会が年々増加しています。世界全体では、産業革命以降で気温が1.1℃上昇しました。これはもはや気候の「変動」ではなく、「危機」であるとも言われています。私たちはいま、豊かな社会を未来へ受け継ぐために、具体的で着実な取り組みが求められているのです。
 カーボンニュートラルは、温暖化対策として世界各国が注力する重要施策の一つです。電気自動車や再生可能エネルギーなど、様々な技術が開発され、普及が図られています。住宅分野では、ZEH(Net Zero Energy House)に期待が集まっています。シリーズ「挑むKANSAI」。今回は、住まいとまちづくりを通してカーボンニュートラルの実現を目指す、関電不動産開発の取り組みにフォーカスします。

 

省エネルギー時代の基準となるカーボンニュートラルとは?

温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて「差し引きゼロ」にする

「脱炭素ポータル」(環境省)を加工して作成
二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量を減らす取り組みに加えて、排出してしまった温室効果ガスを吸収・除去する取り組みとの両輪によって、排出量を差し引きでゼロにすることを目指しています。

 気候変動への対策を考えるうえで、大きなキーワードとなっているのが「カーボンニュートラル」です。2020年10月、当時の菅義偉総理は、「わが国は50年までに、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする、すなわち50年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指します」と宣言しました。ポイントは、「全体としてゼロにする」という点です。
 発電や自動車・工場、そして私たちの日々の暮らしなど、様々な場面で二酸化炭素を始めとした温室効果ガスが排出されています。これらを削減するのが、カーボンニュートラルに向けた方策の一つです。しかし、排出を完全にゼロにすることは難しい分野もあります。そこで、排出せざるを得なかった分と同等量を「吸収」や「除去」することで、差し引きゼロにするのが、「全体としてゼロ」の意味するところです。このためカーボンニュートラルは、「ネットゼロ」と呼ばれることもあります。また「ゼロカーボン」も同様の意味で使われています。
 排出量の削減に向けた取り組みは、太陽光や水力といった、発電時に二酸化炭素を発生させないエネルギーの活用が代表例です。自動車では電気自動車や水素自動車の開発・普及が進められています。
 一方、「ネガティブエミッション」とも呼ばれる吸収・除去の取り組みとしては、植林が代表例です。バイオエネルギーを使って炭素を回収・吸収するBECCS(※1)や、大気から直接炭素を回収・貯蓄するDACCS(※2)という新たな技術にも期待が集まっています。

「脱炭素ポータル:IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書│気候変動 2021 自然科学的根拠」(環境省)を加工して作成
2100年までの世界平均気温を工業化前(1850~1900年)と比較すると、これまでのような化石燃料依存型の発展のもと気候政策を導入しない場合は、最大で5.7℃上昇すると予測されています。世界が協調してカーボンニュートラルに取り組むことが求められています。

 20年に運用が始まった気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」では、平均気温の上昇を産業革命前に比べて「2℃より十分低く保つ」「1.5℃に抑える努力を追求する」と定められています。またそのためには、「早期に温室効果ガス排出量をピークアウト」させることと、「今世紀後半のカーボンニュートラルの実現」が目標とされています。さらにIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は、1.5℃に抑えるという努力目標を達成するには、50年ごろのカーボンニュートラルが必要と報告しています。これらのことから、カーボンニュートラル実現の時期が50年とされるようになりました。
 21年1月時点で、日本を含む124か国・1地域が50年のカーボンニュートラル実現を表明しています。これらの国と地域によって排出される二酸化炭素は、世界全体の37.7%を占めます。60年までのカーボンニュートラル実現を表明した中国を含めると、排出量は世界の約3分の2までを占めることになります。

※1 BECCS/Bioenergy with Carbon Capture and Storageの略
※2 DACCS/Direct Air Carbon Capture and Storageの略

地球環境に優しい「ZEH」が住まいの新たな基準になる

 温室効果ガスの排出といえば、工場からモクモクと立ち上る煙をイメージするかもしれません。ところが、約6割の温室効果ガスは衣食住や移動など、私たちのライフスタイルに起因しているという分析もあります。
 国が21年6月にまとめた「地域脱炭素ロードマップ」では、100か所以上の脱炭素先行地域を創出し、重点施策を全国津々浦々で実施することにより、30年に全国で多くの「脱炭素ドミノ」を起こすことを提唱しています。そのための具体的な取り組みとして、住宅・建物の省エネ導入と蓄電池として活用可能な電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)の活用が挙げられています。日々の暮らしを見直すことで、カーボンニュートラルの実現を目指すのです。

 ここで期待を集めるのが、新たな住まいの形であるZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。ZEHは、「高断熱でエネルギーを極力必要としない」「高性能設備でエネルギーを上手に使う」「エネルギーを創る」という三つの要素により、年間で消費するエネルギーを差し引きゼロにした住まいのことです。
 ZEHを始めとして環境性能の高い住まいの普及は、国が掲げる方針でもあります。25年には、新築住宅・非住宅において、省エネ基準適合が義務化されます。21年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、「30年度以降に新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」「30年において新築戸建て住宅の6割以上に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という政策目標が設定されました。ZEHが住まいの新たなスタンダードとなることで、カーボンニュートラル実現が加速すると期待されているのです。

ZEHは我慢ではなく「得をする省エネ」 豊富なメリットが普及を後押し

ZEHは断熱性能の高い壁や窓ガラス、省エネ型の高性能な冷暖房や給湯などの設備、太陽光発電などのエネルギーを自ら創出する設備を備えます。

 ZEHには環境性能の高さだけでなく、様々なメリットがあります。その一つが快適性です。
 高断熱性能を備えたZEHは、「夏は涼しく、冬は暖かい」という快適な暮らしに貢献します。また、住居内での温度差が少ないため、冬の心筋梗塞しんきんこうそくなど、ヒートショックによる事故を防ぎます。
 高断熱・高性能な省エネ機能、そして創エネというZEHの三つの特色は、光熱費の抑制につながります。さらなるエネルギー価格の上昇が心配される現代において、家計への優しさは、ZEHの大きなメリットだと言えます。
 太陽光発電などの創エネ機能を備えたZEHは、災害時にも電力を確保することができます。高性能な省エネ設備は、限られた電力を節約することにも役立ちます。さらにZEHは、EVやPHEV用の充電コンセントを備えていることも多いです。EVやPHEVはそれ自体が非常時にはバッテリーとして活用できるため、災害時の安心・安全を支えます。
 この他にも、住宅ローン減税の枠や住宅購入資金の贈与に関する非課税枠が環境性能の高さに応じて広がるといった、国による支援制度も整備されています。
 省エネといえば、何らかの我慢を伴うものというイメージがあるかもしれません。もちろん、浪費や無駄はつつしむべきです。しかし技術の進歩により、快適性や災害への備えなどの「お得さ」が、環境への配慮と両立する時代になっています。住まい選びの視点として、ZEHの存在感は確実に大きくなっていくことでしょう。


 

持続可能な「まち」導く  ―Special対談

 カーボンニュートラルの実現を目指すにあたって、私たちの日々の暮らしの舞台である「まち」は、大きなカギを握る存在だと言えます。関電不動産開発が大阪府交野市で昨年5月から開発に着手した「スマートエコタウン星田」は、まち全体でカーボンニュートラルを目指すという、時代を先取るコンセプトタウンです。関西初となる全邸オール電化・ZEH仕様のスマートエコタウン星田の取り組みを交えながら、大阪大学大学院工学研究科で都市エネルギーを専門とする下田吉之氏と関電不動産開発代表取締役社長の藤野研一氏が、持続可能な「まち」について意見を交わしました。

写真左から藤野氏、下田氏

関電不動産開発株式会社 代表取締役社長
藤野 研一 氏
ふじの・けんいち/1989年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年、関西電力に入社。2016年同社お客さま本部副本部長、18年営業本部副本部長、20年執行役員営業本部副本部長を経て21年より現職。

大阪大学大学院 工学研究科 教授
下田 吉之 氏
しもだ・よしゆき/1990年大阪大学大学院博士課程修了。大阪大学工学部助手などを経て大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻教授。専門は都市エネルギーシステム。著書に『都市エネルギーシステム入門 住宅・建築・まちの省エネ・低炭素化』(学芸出版社)。

(街区イメージイラスト)
JR学研都市線星田駅から徒歩1分に立地するスマートエコタウン星田は、戸建て住宅と2棟のマンション、商業施設や医療機関、7つの公園などから構成されます。ゼロカーボンのほかに、安心を支える「セキュリティー」、防災機能をハードとソフトの両面から高める「レジリエンス」など6つの切り口からまちづくりが行われています。地域で暮らす人や働く人が連携し、魅力的で安心なまちづくりを目指す「エリアマネジメント」が行われることも特色です。

住まいとまちのライフサイクルは数十年単位 2050年への取り組みは、今すぐ必要

藤野
当社を含む関西電力グループでは、持続可能な社会の実現に向けて「ゼロカーボンビジョン2050」を定めています。当社も今年3月、「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、新規に開発するすべての住宅・オフィスビルなどについて、ZEH(※3)/ZEB(※4)を標準仕様とすることなどを定めました。改めて、ゼロカーボンを目指すにあたっての現状の課題をお教えください。
下田
主要な温室効果ガスの排出元は、住宅や都市などの民生分野なのです。その比率は、工場などの産業分野と大差ありません。住まいやまちのあり方を見直さずして、ゼロカーボンの実現は難しいでしょう。
藤野
住まいやオフィスビルの環境性能に対するお客さまの意識の変化は、私たちも感じる場面が多くなりました。住まいでいえば、ZEHに関心を寄せるお客さまが増えています。オフィスビルでも、RE100対応(※5)かどうかといった問い合わせが増えています。また、ESG投資(※6)の流れも加速しています。
下田
もう一つポイントとなるのは、今から建てる家や開発するまちは、50年には確実に残っているだろうという点です。家やまちは簡単には改修できません。「50年にカーボンニュートラルを」という目標は、家づくり・まちづくりにおいては、今すぐに着手しないといけない課題なのです。
藤野
「50年のために今すぐ取り組みを」というのは、デベロッパーである当社の責務だと考えています。後ほどお話しするスマートエコタウン星田のような、高水準な機能を備えた住まいを新築することは、そのための一つの方策です。それに加えて、エコキュートやEVの充電設備を設置するスペースをあらかじめ設けておくといった、「将来に向けた準備」をしておくことも、デベロッパーだからこそできることだと考えています。

※3 ZEH/ここでいうZEHとは、ZEH(ZEH-M) Oriented基準以上の省エネルギー性能を有する水準を表す
※4 ZEB/ゼブ。Net Zero Energy Buildingの略。ZEB Oriented基準(物流施設においてはZEB Ready基準)以上の省エネルギー性能を有する水準を表す
※5 RE100/企業が自らの事業で使用する電力を、100%再生可能エネルギーでまかなうこと
※6 ESG投資/ESGは環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字。投資先選びの判断にこれら三つの要素を重視することを、ESG投資という

まち全体があたかも発電所や蓄電池に 環境に優しく災害に強いまちが生まれる

藤野
ここで当社が開発している、スマートエコタウン星田について説明させてください。スマートエコタウン星田における当社戸建住宅は、高断熱・オール電化による高い省エネ性能、そして太陽光発電による創エネというZEH基準を満たしています。マンションもZEH-M Oriented基準を満たしています。当社以外の住宅メーカーが建築する区画もあるのですが、そこでもNearly ZEH以上を満たした住まいが建築されます。まち全体でゼロカーボンを実現しようというのが、スマートエコタウン星田なのです。
下田
暖房は家庭で消費するエネルギーの約25%を占めます。となると、住まいの断熱性能、すなわち外壁や窓ガラスの性能は二酸化炭素の排出と密接に結びついてきます。窓ガラスはまだしも、外壁にいたっては改修するのは大変です。ZEHの基準に断熱性能の向上が定められていることは、非常に意味のあるポイントです。
断熱性能は、夏は涼しく冬は暖かいという快適さと結びついています。特に冬は、部屋によって室温が大きく異なることで、心筋梗塞などの「ヒートショック」が引き起こされることが問題視されています。高断熱で建物全体の温度が保たれているZEHは、この問題の解決にも貢献します。快適性や健康という側面からも、ZEHには大きな可能性があります。
藤野
ゼロカーボンの実現には、EVの普及も欠かせません。そこでスマートエコタウン星田では、戸建住宅では全戸にEV用充電設備を設けました。マンションは、駐車台数の半分以上にあたる159個の充電設備を用意してあります。
下田
全戸が太陽光パネルを備えているので、まち全体が発電所とも言えるでしょう。電力を考えるうえで大切なのが、需給のバランスです。電気の作り過ぎは避けたいものの、需要に供給が追いつかない事態は許されません。そこで需給のバランスをうまく取るために、昼間にEVを充電したり蓄電池に電気をためておいたりする方法があります。

各家庭が備えているエコキュートも、昼間に太陽光パネルからの電力でお湯を沸かし、夕方から夜にかけて使うので、電池と同じ働きがあります。一軒一軒の家庭ではわずかな調整量かもしれませんが、まち全体となると、非常に大きな力になるはずです。発電や蓄電の設備は、災害時の非常用電源としても活用できるので安心です。

藤野
おっしゃるとおりです。シエリアシティ星田では、IoTでオール電化マンション全体の電気の使い方を最適化するEV充電デマンド制御システム「e-STAND」やエコキュートのピークシフト制御を可能にするシステムを導入しております。これにより、電気の需給調整を行い、ピークが立たない仕組みを構築しています。
先生がお話しされたのは、「エリアエネルギーマネジメント」という概念ですね。使うこと、そして創ることも含めて地域全体でエネルギーをマネジメントしていこうという考え方です。
私たちはいま、エネルギーを核にしながら、地域のみなさんの暮らしに貢献するサービスを提供する会社になるべきだと考えています。 これは、関西電力グループが中期経営計画において掲げている「サービス・プロバイダーへの転換(VX:バリュー・トランスフォーメーション)」に相当するものであり、スマートエコタウン星田での取り組みは、まさにその一環でもあるのです。

「明るい未来の暮らし」を論じることで脱炭素の実現へと近づいていく

下田
ここまで脱炭素の話をしてきましたが、私は実は、脱炭素だけの議論をしていても仕方がないと思っているんです。よく二酸化炭素の排出量を数字で示した資料がありますが、あれはレストランのメニュー表に書かれたカロリー表示と同じように思えます。
藤野
気にはなるけど、その数字だけで注文を決めることない、ということでしょうか。
下田
そうです。もっと、住まいやまちの本質的な魅力がほしいのです。快適性はその一例です。デザインも重要ですよね。太陽光パネルこそ、もっと美しくあってほしいです。「本質を見つめたうえで明るい未来の暮らしについて工夫を重ねたら、結果として脱炭素が実現した」というのが理想です。
藤野
私たちは、ゼロカーボンの選択肢を社会に提供することが使命だと考えています。先にお話ししたとおり、すべての新築物件をZEH/ZEB仕様にするのもその一環です。
この使命を果たすためには、建築や不動産のことはもちろん、エネルギーやモビリティー、金融など、幅広い知識が必要です。さらに、各分野の専門家をコーディネートして、共通のゴールへと導く力も欠かせません。そういった素養を備えた人材を育成することが、今後の当社にとって大きな課題となっています。ぜひとも先生の力をお借りしたい分野でもあります。今後もどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
下田
こちらこそよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
■ハウスブロック
戸建て住宅は断熱性能を大きく向上させた壁や窓ガラスなどの外皮、大幅な省エネを可能にする高効率の空調設備や給湯設備、そして太陽光発電を備え、ZEH基準を満たしています。年間に削減できる一次エネルギーの削減量は75%以上。194戸すべてにEV用の充電設備を備えており、EVの普及を後押しするほか、災害時には非常用電源としての役割も期待できます。
■マンションブロック
断熱性能などの向上、エコキュートなどの高効率な省エネ設備などにより、マンション全体で一次エネルギーの消費量を20%以上節減しています。太陽光発電システムも備えており、ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)を取得。駐車台数の半数以上にあたる159個のEV用充電設備を設置しているほか、EVカーシェアも含め、まち全体でEVの利用を後押ししています。