地域の誇り 再発見の機会に
万博首長連合会長 澤井宏文氏

読売新聞大阪本社版朝刊

澤井宏文氏

 万博首長連合は、2025年大阪・関西万博に向けて全国の市区町村の首長が21年11月に発足させた組織だ。会長を務める澤井宏文・大阪府松原市長は、その役割を「万博の機運醸成だけでなく、プラスアルファとして地方創生につなげること」と説明する。

 現在、北海道から沖縄まで650を超える市区町村が参加する。組織の母体は21年開催の東京五輪・パラリンピックの首長連合だ。参加国との交流を深め、地域活性化を図る狙いだったが、20年春からのコロナ禍で「ホストタウンも満足に活動できず、大会は無観客となり、目的を果たせなかった」といい、万博を2度目の機会と位置づける。
 大阪・関西万博には1970年大阪、2005年愛知を上回る約160か国・地域が参加する予定だ。今年3月の訪日外国人客はコロナ禍前を上回る水準となり、澤井氏は「参加国の関係者を地方に呼び込み、国際交流につなげたい」と意欲を語る。

 取り組みの一つが「万博弁当」プロジェクトだ。各地の特産品を持ち寄り、弁当として売り出すことを検討している。調理師学校の協力を得て考案したレシピでは、9マスの弁当箱に静岡県磐田市のエビや大阪府枚方市のジャガイモ、岡山市のタイなどを彩りよく詰め込んだ。
 「万博音頭」のプロジェクトも進める。各地で郷土の踊りをアレンジして万博を応援、SNSで動画を発信しようという試みだ。

 「世界に誇れる文化や技術がないと万博には参加できないというイメージがあるが、そんなことはない。地域を見直し、自分たちの誇れるものを再発見する機会にしてほしい」と、澤井氏は話す。
 万博会期中の来年7月27~31日の5日間は、会場内のEXPOメッセで催事を行う計画だ。全国の自治体からお米や具を持ち寄って「共創おにぎり」を作ったり、各地の神楽を披露したりという企画を練っている。

 澤井氏は「万博の成功には、来場者や経済効果といった指標もあるが、全国津々浦々の活性化につながることが重要だ。万博のレガシーとして地方の交流人口、関係人口を増加させることができれば」と力を込めた。

(梨木美花)




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