若者ひきつけるキャラに 
デザイナー・絵本作家 山下浩平氏

読売新聞大阪本社版朝刊

「ミャクミャクをデザインした時は、コロナ禍の真っ最中だった」と話す山下浩平氏

 今の若者にとっては「万博って何?」というのが素直な反応だろう。私がデザインした2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」がアイコンとなり、そうした世代を万博につなげる存在になるといいなと思っている。

 キャラクターの公募に参加したのは、1970年の大阪万博が大好きだったから。開催の翌年に生まれ、神戸で育ち、子どもの時は万博のパンフレットやグッズを集めていた。岡本太郎が手がけた万博のシンボル「太陽の塔」もよく見に行った。この頃に関西に住み、アートやデザインが好きな子は、みんな70年万博に影響されたと思う。

 2021年11月に公募が始まってから、締め切りまでの約1か月は毎晩スケッチを描いた。家族にも相談して、100以上の候補から選んで応募した。必ずしもかわいいキャラではないので、正直なところ、選ばれてびっくりした。
 デザインする時は、先に細胞をイメージした赤い輪のロゴマークが決まっており、これを利用したヒト型のキャラクターをと考えた。青い体は生命の起源である水で、細胞と水が一つになり、変幻自在に形を変えながら生命の源がつながっていくという発想だ。
 太陽の塔にヒントを得た部分もある。実は太陽の塔は背中側にも顔があり、あやかってミャクミャクの背面にも目をつけている。

 愛称はデザインが採用された後、さらに公募で決まった。とても響きが気に入っている。選考委員の一人として、何百という候補の中で一番いいなと思っていた。パンダのランラン、カンカンのように音を重ねる手法は、コピーライトの世界では安易とされるそうだが、脈々と全てのものがつながっていくというのは、キャラクターのコンセプトにもぴったりだ。

 自宅のある東京から関西に足を運ぶと、グッズを目にする機会が多く、愛されているのを感じる。
 25年大阪・関西万博では、建築やデザインの世界でも最先端の作品がそろうはず。「空飛ぶクルマ」といった新しい技術も披露されるだろう。私たちが70年万博に憧れたように、ワクワクする楽しい万博になることを期待している。

(聞き手 上田友也)




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2025年大阪・関西万博を盛り上げようと、準備を進めている企業や団体のキーパーソンにインタビューします。
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