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開学記念講演採録
大阪公立大学への期待
~新たなイノベーションの創出~

読売新聞全国版朝刊

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 大阪から日本や世界をリードする大学を目指して──。140年の歴史と伝統を持つ大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、4月に大阪公立大学として開学した。公立大では全国最大規模となり、2大学の融合が生み出す「多様性」を強みに、共創を加速させる。

 4月11日に入学式が行われ、続いて卒業生らを迎えて開学記念講演「大阪公立大学への期待~新たなイノベーションの創出~」が開催された。産学官金融による連携のあり方について、社会で活躍する卒業生らによる講演と、学長を交えた座談会で白熱した議論が行われた。

 

ご挨拶 140年の伝統を大切に 世界に認められる大学へ

西澤 良記 公立大学法人大阪 理事長

 2大学統合の議論がスタートしたのは私が大阪市立大学の理事長兼学長を務めていた約11年前です。様々な苦難を乗り越えて開学の日を迎えることができました。2大学とも140年の歴史を有する伝統ある大学です。連綿と受け継がれてきた歴史・伝統を大切にしながら、「高度研究型大学」と、地域に根差した「都市型大学」を両立した大学として10年後、20年後に世界からさらに高く評価されるよう目指してまいります。今後とも皆様方の温かいご支援をいただきますようお願い申し上げます。

PROFILE
西澤 良記(にしざわ よしき)
大阪市立大大学院医学研究科修了。医学博士。同大学医学部付属病院副院長、大学院医学研究科長、理事長兼学長などを経て2019年から現職。

 

基調講演① 都市と連携し産業創出 大学が地域・グローバルの中核に

東 博暢 氏 日本総合研究所 プリンシパル・主席研究員

 今日本が置かれている状況と、大阪公立大が今後、どのような価値を創出していくべきかについてお話しします。

 平成末期から令和初期にかけて産業構造が変化し、新しい資本主義の時代が幕開けました。「個人」や「コミュニティ」が力を持つ時代が到来し、経済成長だけでなくウェルビーイング(幸福度)をどう追求するかという議論がなされるようになりました。

 わが国は今、少子高齢化が進み、社会保障費は上昇する一方です。街のインフラは老朽化し、大災害が日常化しています。このままだと地域・国家経営は危機に瀕し、限界へと近づいてしまう。この解決策として出てきたのがスマートシティ政策です。日本でも大きな基金を設けてスマートシティを推進し、中長期的な発展を目指しています。今がラストチャンスで、ここをチーム総力戦で乗り切らないと日本は緩やかに縮退し、危機的な状況を迎えると思っています。

 そこで政府は、科学技術・イノベーションへの投資強化を緊急提言として掲げました。これまでにない大型でメリハリの効いた資金拠出が可能となります。またイノベーションの担い手であるスタートアップを徹底支援する方針も鮮明になりました。

 さらに「デジタル田園都市国家構想」では、デジタル技術を活用して地方が直接世界と繋がり、社会課題に直面する地方から新しいイノベーションやソリューションが生まれる、として取り組みを進めています。東京一極集中の状況では、大阪も「地方」であり、大都市地方がどのように変わるのか、という事が注目されます。

 この取り組みにおけるポイントのひとつが「知の変革」で、ここで大学や研究機関にも変革が求められています。様々な大学改革の政策が行われていきますが、イノベーションのキーワードは「人が変わって、大学が変わり、それによって社会も変わっていく」ということです。

 2025年に開催される大阪・関西万博は大阪が再興するラストチャンスです。今春、大阪府・市がスーパーシティ(国家戦略特区)に指定されました。新しい都市像、生活スタイルを世界に示すショーケースとして社会実装することが掲げられました。2年前にはスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市としても大阪が選ばれ、都市と大学が連携し、人・モノ・金の流動加速化が期待されます。

 大阪府下に多数のキャンパスを持つ大阪公立大として、このチャンスをどう生かすのか。新大学がビジョンに掲げる「イノベーション・コア」とは、まさに大学が産官学金融連携の中核にいて、都市と産業の変容を目指す。今後、大阪公立大が地域の、あるいはグローバルの中でのイノベーション・コアになるように願っています。

PROFILE
東 博暢(あずま ひろのぶ)氏
2006年、大阪府立大工学研究科電気・情報系専攻博士前期課程修了。同年、日本総合研究所に入社し、イノベーション戦略、スマートシティ推進支援、大学改革などの分野に注力。国や地方自治体などの委員も歴任。20年、大阪府立大特認教授に就任。

 

基調講演② 大学を中核とした地方創生 地元産業とつながる専門人材育成を

坂根 正弘 氏 小松製作所 元代表取締役社長 現顧問

 私が政府の地方創生施策に関わるようになったのは2012年秋、自民党日本経済再生本部発足の折に、『デフレ脱却』『地方創生』『東京の国際都市化』にチャレンジするべき、と提言したのがきっかけでした。東京が地方から人・モノ・金を集めて実現した高度成長期でしたが、それが限界に達したのが30年前。地方創生をしなければ、この国はダメになる、というのが私の主張でした。

 その後、私自身としては中でも大学改革に絞って取り組むことにしました。今の日本の大学をめぐる環境は企業より厳しいです。18歳人口が大幅に減少する一方で大学の数は増加し、30%強の大学が定員割れを起こしています。小松製作所にいた頃、この国の企業の共通課題を表すのに、色々な事業に手を出す「総花主義」、全般的に優等生的な商品を作る「平均点主義」、なんでも社内で内製化する「自前主義」と言ってきましたが、同じことが大学にも言えます。全国供給型の人材育成で、平均偏差値の高い学生を育ててきました。これまではそれでよかった。企業は平均値の高い人間を採用し、終身雇用の中で教育してきたからです。しかしそれでは国際競争に勝てないと、最近では専門性のある人材を採用する流れに変化しています。

  私は小松製作所の社長時代、赤字に転落した2001年に大規模なリストラを行いました。プラスする改革は簡単だが、マイナスする改革は難しい。大学改革がなかなか進まないのもそこが原因だと思います。大学にとって商品とは何か。学生を届ける社会がお客さんで、学生が商品です。サービスはリカレント教育や社会人教育、ソリューションは基礎研究や産学連携、ベンチャー創出。これが私の言う「商品」「サービス」「ソリューション」のダントツチャレンジなんです。

 これからの大学はまず、地元産業とつながる専門性をもった人材育成に取り組むこと。そして知識を教える教育から、自らで考え、研究する教育に変えることです。研究機能こそが産官学金融を結びつけるのです。ベンチャー創出によって産業を興して地元とつながることもできます。産学官連携において重要なことは、トップ自らがどこまで本気で取り組んでいるか、目指すべきテーマが的を得ているかです。そのためには最初の段階での「知恵の結集」がカギとなります。

 今回大阪公立大は全国初の大規模かつ画期的な改革の取り組みを行いました。しかしまだ総花です。特色を出すためには、大阪がどの産業で日本一、できれば世界一を目指すのか、まずは行政側からその青写真を示してほしいと思います。「大学を核とした地方創生」、これは全国共通のテーマであり、先行して走ったもの勝ちです。ぜひ、皆さんの知恵と汗を結集して取り組んでいただきたいです。

PROFILE
坂根 正弘(さかね まさひろ)氏
1963年、大阪市立大工学部卒。同年、小松製作所に入社。90年、小松ドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)の社長に就任。2001年に小松製作所社長、07年に会長、現在は同社顧問を務める。20年、公立大学法人大阪名誉特別顧問に就任。

 

座談会 人の集まる大学 知を集結し共創の場へ

◆登壇者
辰巳砂 昌弘  大阪公立大学 学長
坂根 正弘
東 博暢
◆コーディネーター
藤沢 久美 氏 国際社会経済研究所 理事長

辰巳砂 昌弘 学長

辰巳砂 本学の理念を一言で表すと多様性と総合知、そして共創です。様々な人が交流し、共創するところからイノベーションが生まれます。それを具現化するための目玉が「イノベーションアカデミー(ia)構想」です。SDGs、Society5.0、DX、脱炭素などに関連する様々な社会課題を解決するために、多様な産学官の共創活動を推進し、その場を提供することを目指しています。

藤沢 ia構想についてどのようにお考えですか。

坂根 ia構想には様々な連携が必要となります。大学は研究機能を大切にし、産官学金融が連携して取り組むことが重要だと考えます。

 大学は外とつながる力や巻き込む力をつけて、どんどんネットワークを広げていってほしいです。肝心なのは、誰がそれを担うのかです。顔が見える形のリーダーを決めて、強いチームを作ることが重要だと思います。

藤沢 自治体とは連携についてどのような話をしていますか。

辰巳砂 私たち公立大学の強みは自治体と強く結びついているところです。新大学発足や大阪・関西万博、スーパーシティの指定などの大きなチャンスを生かし、本当の意味で自治体との強力な連携を取って、我々がどのような産業と結びつくのが良いのか、何を強みとしていくかについて、自治体の皆さんと共有していきたいです。

坂根 各学部の人たちが競争して、「自分たちが中心になるんだ」という研究テーマを絞って見つける、それが結果的に早くたどり着く道だと思います。

藤沢 久美 氏

藤沢 イノベーションを生み出すために、この新しい公立大を実現するためには何を一番変えるべきでしょうか。

 外部の人材を入れていかないといけません。内部の人間だけで改革はしにくいと思います。行政との人材の融合も必要です。

藤沢 アカデミアの世界に外部の人たちが入るのは大きなチャレンジですね。

辰巳砂 私たちとしては今後、自治体とさらに密に連携していきたいと考えています。大阪府知事・市長、本学理事長・学長で組織する協議会を年に2回開催する予定です。国立大とも、他の公立大とも異なる「大阪モデル」を作り、大阪の公立大は一味違う、ということを協議会でご相談できればと思います。

坂根 地方の大都市の国立大は「自分たちは地方大学じゃない」と思っています。今こそ公立大の出番なんです。

 地方で話を聞くと、公立大を欲しがっている首長が結構います。地域を変えるにはアカデミアが必要だと。今こそ大阪公立大が提言するチャンスととらえ、声を上げてほしいです。それを受けて国の方で改革する準備もあると聞いています。

藤沢 二つの大学が一緒になるのは簡単なことではありません。特に教授の先生方の心配は大きいのでは。

坂根 先生方は企業と協働するチャンスがあれば、ぜひ行動してほしい。産業界の人たちと交わると、自身の知識がアップデートされますよね。ぜひ研究機能を大事にしていただきたいと思います。

藤沢 大学で企業のような厳しさは受け入れられるでしょうか。

 大学から出たことがない、社会とのつながりがないという先生方もいらっしゃると思いますので、少しでも学外を経験するプロジェクトを作ることが大事だと思います。経験しないと理解もできません。さらに修士・博士課程の若い学生たちに大学改革を担ってもらうことも提案します。将来活躍する人材は大学の内部にいますから、この人たちにチャレンジの場を与えることが重要です。一方、行政にお願いしたいこともあります。大阪府・市はメリハリをつけた、未来が見える投資をやっていただきたいです。

辰巳砂 一番変えていきやすい研究から手を付けるという方法があります。

 例えばイスラエルの各省には政策を決める際のアドバイスを行う「チーフ・サイエンティスト制度」があります。世の中のトレンドや技術がどうなるのか、政策セクションが薄くでも理解できる制度を作れば、先生の活躍の場が広がると思います。

藤沢 こうした新しい制度を提案しながら、研究と地域をさらにコラボさせられたら素敵だと思います。

辰巳砂 我々は人の集まる大学を目指しています。産業界や自治体から人が来る。来るだけでなく研究室に入って体験してもらう。人の行き来や相互理解がまず必要だと思います。そのような機会をできるだけ増やすところから始めたいです。

藤沢 研究がコアでそれを社会とつなげていく。まさに交流する大学ですね。それでは最後に一言ずつ応援メッセージをお願いします。

坂根 日本が世界競争で勝つためには、ビジネスモデルで先行して、現場力勝負に持ち込むことです。そうすれば絶対に負けません。個々の分野でのDX化はモノづくりで培った現場力が力を発揮できる。

 大阪公立大には力とポテンシャルがあります。これをどうやって生かすかは大阪次第です。ここをチャンスと思って攻め込む。新しい大学を世界に示すことができるように、積極的にチャレンジしていただきたいです。

辰巳砂 人の集まる大学を実現するには、産官学金融、住民の皆さんみんな集まって、共創で伸ばすべき大阪の産業を見つけていく、そこからスタートしたいと思っています。今後、大学はすべての世代の人たちが関わる場所になっていくと思います。シニアだけでなくキャリアチェンジを考える30~50歳代の学び直しや、逆に学びを提供してもらうこともあるかと思います。そういうすべての知を結集して大阪を盛り上げていく所存ですので、今後ともご支援をよろしくお願いいたします。

藤沢 あらゆる人に開いていき、知恵が集結する大学として、これからも羽ばたいていくことを期待します。苦難の道もあると思いますが、皆でどんどん関わり、応援し、大阪公立大を一緒に作り上げていきましょう。

司会 柴田 祐里菜 さん(大阪府立大地域保健学域教育福祉学類4年生)

 私が所属していた大阪府立大応援団も大阪市立大と統合されました。規模が大きく、今まで以上に活気あふれる応援団になる期待が大きい一方、先輩方が大切にされてきた伝統を生かしながら新たなものを築いていくことは大変な道のりです。それを乗り越えた時、私たち学生は将来の糧となる大きな力を身に付けることができるでしょう。それがまさにイノベーションへの第一歩だと思います。

PROFILE
辰巳砂 昌弘(たつみさご まさひろ)
大阪大大学院博士前期課程修了。工学博士。大阪府立大工学研究科長、大阪府立大学長などを経て、2022年大阪公立大初代学長に就任。

PROFILE
藤沢 久美(ふじさわ くみ)氏
大阪市立大生活科学部卒。国内外の投資運用会社を経て1995年、日本初の投資信託評価会社を起業。2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画、代表を務める。現在は株式会社国際社会経済研究所理事長。自身の起業経験をもとに社会イノベーションの推進に取り組む。

 

リポート

大阪公立大学 入学式・開学記念式典

 4月11日(月)に大阪城ホール(大阪市中央区)で開催された入学式・開学記念式典には、約3,000人の新入生や関係者らが出席した。

 この日入学を許可された一期生は約4,400人。代表して辻本紗良々さん(現代システム科学域)と東瑞生さん(大学院生活科学研究科)が「人格と教養を身につけ、学問研究に励むことを誓う」と宣誓した。辰巳砂学長は式辞で「両大学の異なる文化と伝統の出会いと調和こそが、大阪公立大が発展するための原動力。価値観を尊重し合い、学びを深めてください」と述べた。

 式典には吉村洋文・大阪府知事、松井一郎・大阪市長のほか、末松信介・文部科学大臣も駆けつけ、祝辞として新しい大学への期待や新入生への激励の言葉を寄せた。

 その後も山中伸弥氏ら各界で活躍する卒業生のビデオメッセージや、ゆかりの著名人によるトークショーが催され、新入生らの新たな門出を祝った。

 当日の様子はリアルタイムでインターネット配信され、保護者や一般市民らの多くが視聴した。