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水素社会の実現に向けて 
~2025年大阪・関西万博を契機として~

読売新聞大阪本社版朝刊 2023.07.28

次世代の脱炭素燃料として熱い視線が注がれる水素エネルギー。安全保障の面からも市場拡大が見込まれ、供給体制の整備や需要創出の動きが広がっています。水素エネルギー社会の実現に向け水素サプライチェーン構築や2025年の大阪・関西万博で水素燃料電池船の商用運航などに取り組む岩谷産業の間島寬社長に、日本政策投資銀行常務執行役員関西支店長の牧裕文がお話を伺いました。

日本政策投資銀行 常務執行役員 関西支店長 牧裕文

日本は世界に先駆けて水素基本戦略を策定し、技術開発や市場開拓に力を注いできましたが、欧米でもウクライナ紛争もあり化石燃料依存への危機感が強まり、水素利用に関する取り組みも加速してきました。

経済成長にも大きく結びついてきますが、水素エネルギーの供給網構築に向けた課題をどう捉えていますか。

岩谷産業株式会社 代表取締役 社長執行役員 間島寛氏

間島氏(以下、間島)
安価で大量にという点に加え、現在は製造過程でCO2を排出しないクリーンな水素が求められています。豪州などでは太陽光など再生可能エネルギーが豊富にありますが、日本は条件的に発電コストがまだ高く、海外から水素を輸入する国際的なネットワークの確立が欠かせません。ただ、一社で取り組むことは難しいことから、国や他企業とも連携し、水素サプライチェーン構築に取り組んでいます。

輸送手段に関しても、液化水素・アンモニアやMCH(メチルシクロヘキサン)を媒体とした輸送・貯蔵など、様々な方法を検討しています。また、国内でも秋田沖などで洋上風力の建設が進んでいますが、発電した電気で水素製造することにより別の地域に水素を輸送し電気に変えることでエネルギーとして活用できるなど、調整力の役割としての水素の活用にも期待が高まっています。

多様な分野で本格活用

今後は、エネルギーセキュリティーの観点から、国内で水素の製造能力をどのように確保していくかも重要な点になってきますね。一方で、水素の活用という意味では、需要創出の取り組みはどこまで進んでいますか。
間島
水素利用の裾野がかなり広がってきています。FCVを筆頭にトラックや鉄道でも実証が進む交通分野に加え、水素混焼ボイラーやバーナーといった産業分野でも水素エネルギーを活用する技術が検討され、海外でも利用の検討が進められています。パナソニックさんの草津工場では、太陽電池と純水素型燃料電池による発電で工場の全電力を賄う取り組みが行われています。

また、コンビニエンスストア併設の水素ステーションで液化水素を利用して発電する際に発生する冷熱を無駄なく利用するために、空調や冷蔵庫の電力に充てる取り組みも始まっています。東京五輪で一部実用化されましたが、マンションなどに設置する燃料電池へ配管で水素を供給し、電力を賄う計画もこれから進んでいくと思います。
水素燃料電池船(イメージ)

関西を水素産業の聖地に

大阪・関西万博は世界トップクラスの技術や日本が目指す水素社会の姿を発信する絶好の機会ですが、どんなメッセージを伝えたいですか。
間島
切り口の一つとして、水素燃料電池船の開発を通して、海上輸送分野での水素の可能性をアピールしていきたいと考えています。関西には水素の製造・輸送・貯蔵・利活用に関わる企業が集積し、また、神戸市がカーボンニュートラルポート形成に向けた取り組みを行うなど官民挙げたプロジェクトが数多く進んでいます。

現在、水素事業を切り開く人材育成を目指した研修所をポートアイランドに建設中ですが、みんなで協力して関西を水素産業の聖地のような場所に発展させていきたいと考えています。神戸港には世界初の液化水素受け入れ基地もあり、万博の来場者には会場の外にも足を踏み出し、最前線の現場を見に来ていただきたいですね。
素晴らしい展望ですね。水素社会の実現に向けては大規模な研究開発費や設備投資が伴うため、企業単独での取り組みは難しいです。第5次中期経営計画でも掲げましたが、私たちの強みでもある「つなぐ」役割を存分に発揮し、国や様々な企業の皆さまの連携を資金・ナレッジの両面で支援し、水素社会の実現に貢献していきたいと考えています。