• 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~  「海外プロジェクト探検隊」は、三菱商事が海外で展開しているさまざまなプロジェクトの現場を高校生たちが訪問し、現地の模様や肌で感じたことをリポートするシリーズ企画です。 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~

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vol.5 夏休み カナダ 製紙原料プロジェクト体験ツアー

生活文化体験・交流会

五十嵐 真理(18歳) 聖心女子学院高等科3年
五十嵐 真理

カナダの人々から学ぶこと

 私たちはキャピラノ渓谷を訪れ、つり橋を渡った。スリル満点のつり橋からはとても美しい風景を見ることができ、カナダの自然を感じた。そこでは、鮭の稚魚や鮭が川を上っていく様子をガラス越しに見ることができた。

最後のプレゼント交換ではカウボーイハットをもらいました!最後のプレゼント交換ではカウボーイハットをもらいました!
 昔から鮭はカナダ人にとって生活の中心であり、森の栄養素であるそうだ。また、キャピラノ渓谷にはファーストネーション(先住民)のトーテムポールがあった。トーテムポールは家紋のようなものであり、信仰の対象ではない。だから永遠に残そうとはせず、トーテムポールが倒れたときにはそのまま風化に任せるそうだ。

 またそれは、キャピラノ渓谷の森林のような熱帯雨林の土壌がとても薄く、倒れたトーテムポールが腐敗して肥料となっていくためでもある。このようにファーストネーションは生態系の循環を大切にしており、その世界ではリサイクルによって命が続いているのだ。

 そこでは、「熊出没注意」という看板を見つけた。ガイドの宮田さんは「カナダ人は、熊に襲われるのは人間の責任だと考えている。熊が人を襲うのは、熊の王国に人間が入り込んで来たからだ」と言っていた。

最初にみんなでゲームをやって仲良くなりました最初にみんなでゲームをやって仲良くなりました
 カナダ人には、自然と共存するという考えが根付いている。これが、カナダが環境に優しい国といわれる理由なのではないかと感じた。私たちも、カナダ人からこの姿勢を学んでいかなければならない。

 このプロジェクトではカナダの学生と交流する機会もあり、Alpac社の製紙原料工場で職業体験をしている学生とAlpacの方々と一緒に、バーベキューを行った。初めて出会ったカナダ人の学生とは何を話したらよいのか分からず、その上会話のスピードがあまりにも速かったため、怖気づいて会話を聞いているだけとなってしまった。

 しかし、「こんなんじゃだめ! 英語のリスニングのためにカナダに来たんじゃないんだ!!」。そう思い、積極的に会話に入るように努力した。プレゼント交換をしたDerekとは、私がプレゼントした浮世絵が描かれた扇子をきっかけにして、私が日本の文化を紹介したり、彼が住むアサバスカの町のことを教えてくれたりと文化交流ができた。

“熊”!!!!!!“熊”!!!!!!
 しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、Alpac社の方々と別れを惜しみつつ交流会は終わった。私たちは、ホテルに着く前にスーパーに寄った。すると、そこには偶然にもDerekがいたのだ!

 ほんの数時間前に出会ったばかりなのに、まるで昔からの友だちのように、再会できたことがとてもうれしく感動した。彼は日本に留学したことがあり、日本の文化や日本が好きだと言っていた。そして私たちは「お互いの国でいつかまた出会おう!」と約束したのだった。

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大谷 香織(16歳) 豊島岡女子学園高等学校1年
大谷 香織

『伝える手段』としての英語

 私は、英語が好きだけど下手だ。言ってみれば、教科としての英語は好きだが「生きた英語」は苦手という感じ。将来外国で働くのが夢なだけに、外国でうまく英語が伝わらないことがあるたび、自分の夢への壁がどんどん高くなっていくような気持ちになっていた。

ソーセージを長い棒で焼くのがアサバスカ流ソーセージを長い棒で焼くのがアサバスカ流
 そんな思いを抱えて始まった、サマースチューデントの皆さんとの交流会。彼らは、夏休みの間だけAlpac社で働いている。同い年くらいかなあと思っていた私の予想は裏切られ、みんな20歳くらい、とかなり大人!

 しかもこれまでの数日間で、探検隊のメンバーも半分は英語がペラペラということが判明……。そんな中、私は話しかけるタイミングが分からず、不安だらけになっていた。が、ここで私は父の言葉を思い出した。「外国の人と話をするときは、楽しそうにニコニコしていなさい」。

女の子同士でお喋り女の子同士でお喋り
 最初は口角を上げようと引きつっていた私の笑顔も、声をかけられてだんだんとお喋りらしいお喋りができるようになってからは、自然な笑顔になっていった。

 交流会をして思ったのは、「言葉もコミュニケーションの手段の1つに過ぎないんだな」ということだ。もちろん、英語がペラペラなのは便利だ。が、たとえペラペラじゃなくても、その時点ですべてあきらめて、さじを投げる必要はまったくないのだ。

 積極的に話しかければ一生懸命聞いてくれるし、笑っていれば友好的なんだなと分かってくれる。一番大切なのは「伝えたいと思う気持ち」で、伝える手段は言葉、顔、ジェスチャー、何でもあったのだ。言葉でしかコミュニケーションがとれないと思い込んでいた私にとって、この発見はとても大きなものとなった。

 そして実際に、私の英語でも友達を作ることができたのだ。彼女はゲームで同じグループだった2人のうちの1人で、バーベキューでびっくりするくらいおいしいマシュマロを時間をかけて焼いてくれて、しかもお別れのときに「メールアドレスを交換しない?」と言ってくれたのだ!

交流会のメンバーで交流会のメンバーで
 正直に言うと、この一言が今回のツアーの中で一番嬉しかった。「本当に伝えたい気持ちがあれば伝わるんだ」という自信にもなった。

 プレゼント交換のとき、私は彼女に風鈴を渡したのだが、風鈴の説明がうまく出来ず、「ああ、うまく説明したい!」とじれったくなってしまったけど、後から考えればこれがコミュニケーションの手段として英語を学ぶ第一歩。

 帰りのバスの中、私は頬をゆるめながら、自分の夢への壁が前より高くなくなった気がしていた。

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小槻 瑞木(15歳) 頌栄女子学院高等学校1年
小槻 瑞木

カナダの文化に触れて

 楽しみにしていた交流会では、まず初めに英語で自己紹介をした。緊張してドキドキしてしまったが、私が話しているのを大きくうなずきながら聞いてくれている人を見てうれしくなり、落ち着いて話すことができた。

みんなで焼きマシュマロを作りながら談笑中みんなで焼きマシュマロを作りながら談笑中
 その後、Alpac社の社員や夏期職業体験中のサマースチューデントの人たちと、バーベキューを楽しんだ。ソーセージを長い棒に刺して焼くのがアサバスカ流とのこと。なんと、ソーセージの肉はあのバッファローだとか。大きなマシュマロも焼いて食べた。おいしくて一口でほおばってしまい、皆に大笑いされて恥ずかしかった。

2日間案内していただいたAlpac社の末松さんと。誇りを持って働く姿が素敵だった2日間案内していただいたAlpac社の末松さんと。誇りを持って働く姿が素敵だった
 ゲームをしたり、おしゃべりをしたり、とても楽しく有意義な時間だったがあっという間に過ぎてしまった。最後に渡した和風のプレゼントも喜んでもらえた。お返しにもらったウエスタンハットは宝物だ。今後はもっと英語力をつけ、もっと上手にコミュニケーションをとれるようになりたいと思った。

 バンクーバー北部のキャピラノ渓谷では、入口をくぐると何本もの色鮮やかなトーテムポールが立っていて、その巨大さと猿・鳥・人などの様々な彫刻の迫力に圧倒された。ハイダ族が作り始めたトーテムポールは、部族によって模様の特徴が違い、その模様が何を意味するのかはそれぞれの部族の首長しか語ることができないそうだ。

 また、トーテムポールには支えが付いていないが、それは自然に倒れて朽ち、そこに種が落ち、木がまた生えるという自然のサイクルを大事にしているからだと聞いた。

渡る前からスリル満点、眺めは最高!!渡る前からスリル満点、眺めは最高!!
 そこから少し歩くと、長さ137メートル、高さ70メートルのキャピラノ渓谷のつり橋がある。このつり橋は世界最大とも言われ、何もしなくてもゆらゆら揺れていて「スリル満点!」。緑の渓谷のはるか下の方に川が流れていて、体が吸い込まれてしまいそうだ。歩きながら見える景色は本当に素晴らしかった。

 つり橋の近くには、クリーブランドダムからの流れを利用したサーモンの孵化場があり、そこではガラス越しに真横から、サーモンが遡上していく様子を見ることができるようになっている。少し時期が早かったのか、私が見たのは2匹だけだったが、その姿は感動的だった。

 産卵の時期には、1万6000匹ものサーモンを見ることができるそうだ。その迫力はきっとすごいのだろう。この膨大な量のサーモンの遡上が、食物連鎖のきっかけとなり、この地に豊かな自然をもたらし、ファーストネーション(先住民)の暮らしや文化を支えてきたのかもしれない。

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谷 圭菜(18歳) 富山県立呉羽高等学校3年
谷 圭菜

交流会

 カナダの森は深い緑色をしている。太陽が当たると黄緑色に輝く。針葉樹の森に囲まれたアルバータ州のAlpac社敷地内で開かれた現地交流会で、私は自分の非力を何度も痛感した。

カナダ・アルバータ州で現地高校生らと交流カナダ・アルバータ州で現地高校生らと交流
 海外プロジェクト探検隊の私たち8人にあわせて、現地の高校生ら8人が交流会に参加した。私は、国や文化が違うとはいえ同世代の高校生が、何に興味を持っているのか関心があった。特に、私が幼稚園児のときから続けているサッカーが、カナダでどのように受け入れられ、人気を博しているのかいないのか、尋ねてみたかった。

 ところが、交流は想像以上にうまくいかなかった。通学先の高校では「英語が得意」な生徒と見られていたが、実際に英語圏のカナダに来てコミュニケーションをしようとしたところ、話したいことの半分も相手に伝わらなかったからである。

現地交流会でゲームを楽しむ谷圭菜隊員現地交流会でゲームを楽しむ谷圭菜隊員
 散々だったのは、英会話の聞き取りであった。なんとか身振り手振りで内容は伝えたものの、相手の回答や言葉の反応については理解が進まなかった。完敗である。

 中学・高校の教室で学んできた英語は読み書きの英語だったことを、今さらながら感じた。読み書きに加え、話して聞きとる能力の大切さを実感した。英語はコミュニケーションの手段であるが、その手段が伝えたい内容と同じくらい大切なものであることを実感したのである。それまでは、手段の英語を磨くよりは、伝えたい内容を深め磨く方が大切だと考えていたところがあった。

現地交流会に参加した海外プロジェクト探検隊員とカナダ側メンバーら現地交流会に参加した海外プロジェクト探検隊員とカナダ側メンバーら
 英語のコミュニケーション能力が低くて恥ずかしく感じたのは、16人でゲームをやったときのことである。ひもの先にゴルフボールをつけた道具を振り回し、前方にある獲物に見立てた棒に投げつけるゲームで、私が見事に棒にひっかけて高得点を獲得したのである。

 「日本で練習してきたのでしょう」。受けを狙ったのか、カナダ側の参加者たちが私にジョークを連発したものの、私はジョークのお返しをすることができなかったのである。ただ、笑顔で返すのが精一杯であった。相手にとっても、消化不良の現地交流会だったかもしれない。

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大庭 直也(17歳) 福岡県立筑紫丘高等学校2年
大庭 直也

カナダに感激!笑顔に感謝!

 Alpac社は現地の学生に仕事を提供しており、夏季休業中のみ働く学生がいる。私たちは、彼らサマースチューデントと交流した。カナダの学生はアメリカの学生と比べてshyだと聞いていたので、こちらが会を盛り上げないといけないと思い、緊張していた。

Alpac社のサマーステューデントとの交流会Alpac社のサマーステューデントとの交流会
 到着すると、彼らが明るい笑顔で出迎えてくれたのでとりあえず安心したが、いきなり自己紹介。笑ってほしいところで笑ってもらえず、少し気まずい雰囲気を感じた。

 自己紹介が終わると交流ゲーム。私がしたのは、小さい穴の中にお手玉のようなものを投げ入れるゲーム。一投ごとに「Yeah!!」「So close!!」などと励ましてくれた。一気に彼らとの距離が近づくのを感じた。

 その後、ソーセージのバーベキュー。私が焼いたソーセージを持って、挟むためのパンを探していると、近くにいた現地の学生がすぐにパンを差し出し、ソーセージを挟んで具を入れるところまで手伝ってくれた。彼女の優しさと笑顔で、今までの緊張が一気に溶けた。

キャピラノ渓谷にかかるつり橋。橋は頑丈だが、大勢で渡ると激しく揺れる。まさに迫力!!キャピラノ渓谷にかかるつり橋。橋は頑丈だが、大勢で渡ると激しく揺れる。まさに迫力!!
 ソーセージやマシュマロを囲んで現地の学生と話しながら、とても楽しい時間を過ごした。特に、交流会に参加した現地の学生では唯一の男子で、日本に1年留学していたというDerek君とはよく話した。

 時間は瞬く間に過ぎ、いよいよ交流会もお開きに近づき、プレゼント交換。私が用意していたお土産は地元の博多人形。「Hey, thanks!」。とても喜んでもらえた。

 最後の感謝の言葉は、私が英語で話すことになっていた。「皆さんが温かく迎えてくださったおかげで、本当に楽しい時間を過ごせました。すばらしい思い出ができました」。彼らの優しさと笑顔に感謝!!

 その翌日は、バンクーバーで広大な自然を体感した。キャピラノ渓谷は高さ70メートル、長さ137メートルのつり橋で渡ることができる。橋から見下ろす森林は絶景である。1903年にこの橋ができて以来、一度も事故は起きていないそうだ。

近くに住んでいる熊が開けないように工夫されたゴミ箱と、ガイドの宮田さん近くに住んでいる熊が開けないように工夫されたゴミ箱と、ガイドの宮田さん
 サーモン孵化場は、キャピラノ川に1971年に作られた国立施設である。1954年に川にダムが建設され、鮭が生まれ故郷の川に戻って(遡上して)産卵できなくなったことがきっかけだった。鮭がダムの上流まで行くための水の階段や、鮭の卵を孵して育てるためのたくさんの水槽があった。

 キャピラノ渓谷やサーモン孵化場には、先住民が立てたトーテムポールがあった。意外であったが、これらは決して信仰の対象ではないそうだ。一度立てたトーテムポールは、修理したり取り除いたりしてはいけない。

 トーテムポールはやがて朽ち、倒れる。倒れるとただの木となり、長い期間をかけて土に溶け込み、土の栄養となり、新たな植物が育つ助けとなる。トーテムポールは「命のサイクル」の象徴であるそうだ。

 私たちが感動する自然は、やはり「ありのままの自然」であった。カナダの広大な自然の裏には、先住民が築いてきた長い歴史がある。

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加藤 利幸(17歳) 早稲田大学高等学院2年
加藤 利幸

カナダの文化とサーモン

吊り橋の上から見るキャピラノ川吊り橋の上から見るキャピラノ川
 エドモントンからバンクーバーに戻ってきた僕たちを迎えてくれたのは、旅行ジャーナリストの宮田さんだった。宮田さんは笑顔だったが、その口から発せられる説明の数々に、誰もが息をのんだ。旅行者を楽しませるだけのガイドとは一味違う、学術的な話が僕たちの知的好奇心をかきたてるのだった。

 現在カナダには、先住民(正確にはファーストネーション)と、ヨーロッパから移民してきた人々が住んでいるが、宮田さんは、双方の生活・文化とその関係について分かりやすく説明してくださった。

 空港からバスに乗った僕たちが最初に見たものは、近くを流れるフレーザー川だった。人々の生活の中心は「衣・食・住」であり、地形や気候がその生活スタイルを決めるわけだが、この地域の人は、フレーザー川や近くの海で獲った魚を食べて暮らしてきたのである。

鮭を誘導するために作られた人工的な滝鮭を誘導するために作られた人工的な滝
 スギなどの木が住居や衣服となり、鮭などの魚が食料になっていた。ちなみに、僕たちがバッファローの牧場を見学したエドモントンでは、バッファローが生活の中心であり、食料としてだけではなく衣類や住居としても無駄なく使われていた。

 現地における鮭の重要性を理解した僕たちは、レストラン「サーモンハウス・オン・ザ・ヒル」でお昼を食べた。貴重な鮭の話を聞いた直後に鮭を食べるのには気が引けたが、現地の文化を理解するためには仕方がないと自分に言い聞かせた(笑)。

「魚の階段」で泳ぐ鮭「魚の階段」で泳ぐ鮭
 再びバスに乗った僕たちは、キャピラノ渓谷にある「サーモン孵化場」に向かった。サーモン孵化場のあるキャピラノ川には、1954年にダムが完成。下流に住む人々の生活水は確保できたが、鮭が川を上ることができなくなってしまった。

 そこで鮭をうまく誘導し、その孵化をサポートする役割を担うのがこの「サーモン孵化場」である。ガラスの中に備え付けられた「魚の階段」を上る鮭の様子は、なかなか美しいものであった。

 川を上る鮭、動物に狙われる鮭、産卵を終えた鮭、そして自然に還ってゆく鮭。鮭をめぐる壮大な命のドラマ。僕は実際にカナダまで足を運ぶことによって、自然の素晴らしさを実感することができた。

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行徳 圭太郎(19歳) 福岡大学付属大濠高等学校3年
行徳 圭太郎

広がる世界観

 今回の海外プロジェクト探検隊は、1日短かったにもかかわらずほぼ全日程を消化でき、大変充実した3泊5日の旅となった。

広大な牧場で飼われているバッファロー広大な牧場で飼われているバッファロー
 もちろんアルバータのAlpac社の工場見学、バンクーバーの三菱商事見学は言うまでもないが、そのほかにもバッファローの牧場見学、バンクーバー市内観光、キャピラノ渓谷見学、三菱商事の現地で働いている方々、Alpac社の日本人社員の方々との会食といった、たくさんの興味深いイベントが用意されていた。

 その中で、もっとも私が感銘を受けたことが2つある。第1は、バッファロー牧場の見学である。私は、バッファローとは、主にアフリカなどの比較的暑い地域で生息しているものだという大きな勘違いをしていた。

多様性のあるバッファローの毛皮多様性のあるバッファローの毛皮
 また、この地域ではバッファローの肉は食用として、冬にとれる毛皮はホテルのじゅうたんとして有効に活用されている。私も試食してみたが、バッファローの肉で作られたジャーキーはとてもヘルシーで歯ごたえがあり、十分日本人受けするような味であった。

 さらに、驚愕したのはバッファローの捕獲方法である。通常、牛や豚などはある場所に追いこんで捕まえるのだろうが、バッファローの場合はメスで500キログラム、オスは1トンにも達し、力もほかの家畜とは比べものにならない。

 そこで牧場主は、良質の牧草がある場所で、笛を吹くと集まるようバッファローに習慣をつけておき、捕獲するときにも同様の手法で彼らが集まるように仕向けるのだ。これには生活の知恵が感じられ、本当に感動させられた。

現地学生との交流会現地学生との交流会
 第2は、カナダ三菱商事の社員の方々との交流である。食事をする場所は、その地域で最も高そうな中国レストランで、我々高校生には少々不似合いな場所だった。そこでは、外国人の社員の方も流ちょうな日本語でカナダでの日常生活の話などの雑談も交えながら、三菱商事がどのような仕事をしているかをフレンドリーに話してくださった。

 実際に商社の方が海外でどのような活躍をしているのかを、じかに感じとることができた。自分が日本人であることを誇りに感じ、自分も世界に貢献できるような国際的な人物になりたいと思った。

 また、将来商社マンになりたいという憧れがますます強くなった。そのためにも、もっと努力して世界を知らないといけないと、あらためて実感させられた。このように、本プロジェクトの体験ツアーは、どれひとつとしてまったく無駄のない有意義な旅であった。

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小宮 友輔(15歳) 開成高等学校1年
小宮 友輔

カナダの学生と……

楽しい自己紹介(笑)楽しい自己紹介(笑)
 Alpac社とカナダ三菱商事以外で、特に印象に残ったのは交流会だ。これは旅が始まる前から一番楽しみだったが、最初はそれ以上に、しっかりと自己紹介ができるか心配だった。交流会があったのは3日目。森の中にある会場に着くと、約30人もの人が僕たちを迎えてくれた。その中にはAlpac社の人たちもいた。

 まずは、円になっての自己紹介だ。一番に読んだのは谷さん。彼女の自己紹介は、僕の5倍以上の長さを持つものだった。焦りは最高潮に達した。その後の自己紹介も、どれもすごく立派で、それに比べると僕のものは皆をがっかりさせてしまったかもしれない。

 その後はゲーム、バーベキュー、プレゼント交換という流れだった。バーべキューではバッファローソーセージを勧められたが、予想に反してしつこさのない、素朴な味だった。また、デザートには僕の大好きなマシュマロが出た。

アサバスカ流バーべキューアサバスカ流バーべキュー
 これも同じように鉄の棒に刺して炙って食べるのだが、焼き加減が実に難しい。マシュマロは焼くと膨らむ。そして同時に中から溶けるので、形を崩さずに膨らませるのは至難の業だ。僕がそれに悪戦苦闘していると、大庭君が近くにいたカナダのマシュマロ焼き名人にコツを聞いてくれた。その人いわく「練習あるのみ」だそうだ(笑)。

 森の中、屋外でみんなで火を囲み、ソーセージやマシュマロを炙って食べるなんて、カナダの人は楽しい遊び方があってうらやましい。人見知りな僕は、どうにかカナダの人と交流しなければと思いながらも、積極的に行動できないでいたが、ゲームのとき同じチームだった人が話しかけてくれた。最初はドキッとしたが、話し始めたとたん一気に緊張がほぐれた。

みんなで記念撮影みんなで記念撮影
 いろいろな話をした。自分のこと、カナダのこと、日本のこと……周りの人たちも、それぞれ楽しそうに、一生懸命に自分の気持ちを伝えようと喋っていた。

 焚き火の炎が消えて食事が終わると、プレゼント交換をすることになった。僕は背の高い女の人に渡した。僕が用意していたプレゼントは、東京の写真付きのTシャツだった。彼女にサイズがまったく合っていなかったが、記念にはなっただろう(笑)。最後にみんなで写真を撮った。本当は、もっと話していたかった。

 交流会のほかには、バッファローがいる牧場、サーモン孵化場、キャピラノ川に行った。特に牧場では、バッファローを初めて近くで見ながらその生態などを聞けてすごく興味深かった。5日間カナダにいたが、広大な自然、広い空、森、緑、水、すべてが僕を元気にしてくれた。

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