• 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~  「海外プロジェクト探検隊」は、三菱商事が海外で展開しているさまざまなプロジェクトの現場を高校生たちが訪問し、現地の模様や肌で感じたことをリポートするシリーズ企画です。 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~

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vol.5 夏休み カナダ 製紙原料プロジェクト体験ツアー

カナダ三菱商事

五十嵐 真理(18歳) 聖心女子学院高等科3年
五十嵐 真理

環境問題を考え、時代の先端を行く

 私たちは、カナダ三菱商事を訪問した。小和瀬社長をはじめとする三菱商事の方々は私たちを温かく迎えてくださり、金属グループ、化学品グループ、イノベーション事業グループのプレゼンテーションをしてくださった。

社長の椅子に座らせていただきました!社長の椅子に座らせていただきました!
 まず始めに、金属グループの事業内容を聞いた。そして私は「化石燃料である石炭を扱っているこのグループでは、地球の資源の将来性も考えて動いているのですか?」と質問をした。

 それに対して、「一番大切なことは、いかに地球の資源を有効に扱うかである」とおっしゃっていた。実際に石炭は他の資源よりも多く残っていて、200年分ほどあるそうだ。そしてこのグループは現在、新技術と並行しながら、10~20年先を見越して代替燃料としてウラン開発を行っている。

カナダ三菱商事の事業について知り、質問にも答えていただきましたカナダ三菱商事の事業について知り、質問にも答えていただきました
 それから、化学品グループのプレゼンテーションで興味を持ったのは、ESSAの塩田についてである。メキシコのESSAでは、塩化ビニールの原料となる塩を太陽エネルギーを利用して海水を蒸発させるという、環境に配慮した方法で生産している。

 また、イノベーション事業グループのプレゼンテーションは、私にとって大変興味深いものであった。このグループは他のグループとは違い、新しいビジネスモデルを日本市場に打ち出していく役割を担っている。

 将来大きな成長が期待できる“小さな会社”を育て、大きな会社と提携させるための仲介役なのだ。プレゼンテーションをしてくださった鈴木さんは、「この仕事をやっていて、良い技術を持った会社が大きな会社と提携して成長していくのを見ると、とてもやりがいを感じる」と言う。

 そしてこのグループでは、新エネルギーであるバイオ燃料を扱っており、カナダ三菱商事では、木のゴミや食物のカスなどの第三廃棄物をバイオ燃料として使うカナダのベンチャー企業と提携している。

小和瀬社長は私たちに色々なお話を聞かせてくれました小和瀬社長は私たちに色々なお話を聞かせてくれました
 私は環境問題に関心があり、学校の環境科学の授業でも「バイオマス」についてのリポートを書いたので、この話はとても興味深かった。このグループは常に地球の将来を見据え、市場のニーズに応えているように感じられた。

 環境に配慮しながらも、新しいものに目を向け育てていくイノベーション事業グループに、大変魅力を感じた。三菱商事は「カップラーメンからロケットまで扱う総合商社」という漠然としたイメージであったが、プレゼンテーションを聞き、質問をしてみて、具体的な事業内容を知ることが出来た。

 各グループのお話の中で共通するのは、環境問題に配慮しているということだ。三菱商事は環境問題を考えながらも、時代の先端を行くビジネスを目指しているのだ。

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大谷 香織(16歳) 豊島岡女子学園高等学校1年
大谷 香織

果てなき戦い

 カナダに来て3日目。私たちは、バンクーバー市内にあるビルに案内された。で……でかい!! 口を開けて見上げていると、「最上階がカナダ三菱商事だよ」と教えられた。最上階──いかにも「トップを走る」三菱商事らしい。

そびえ立つカナダ三菱商事そびえ立つカナダ三菱商事
 カナダ三菱商事は、金属・機械・化学品・生活産業などの分野でビジネスを展開。最近はこれらに加え、再生可能エネルギーや燃料電池、温室有機野菜などにも力を入れて取り組んでいるそうだ。

 そんな中で小和瀬社長が強調されていたのは、「産業のバリューチェーンの効率を高め、拡大させていきたい」ということだった。“バリューチェーン”とは、商品が開発・調達・生産されてから私たちのもとに届くまでのそれぞれの過程で、三菱商事が何らかのかかわりをもつことで、チェーン全体にかかわるビジネスの仕組みを作ることにより、付加価値の高い事業展開を行うこと。

社長の椅子に座らせていただきました!社長の椅子に座らせていただきました!
 それが“拡大する”というのは、付加価値がどんどん上乗せされ、その結果商品そのものの価値も高まっていくということで、“効率を高める”というのは、消費者の商品へのニーズに沿った形になるように商品を作り、無駄のない供給を行っていくという意味なのだ。

 例えば、温室有機野菜。カナダ三菱商事は、カナダで農業を行う会社と提携しているが、同社では独自の土・肥料づくりや害虫対策、管理システムによって、100%安全で、見た目も美しくおいしい有機野菜の温室栽培を実現している。

 同社ブランドの野菜は、「無農薬なのに見た目がキレイ」という他の野菜にはない特徴を兼ね備えているため、値段は高めだが、それでもいい野菜が食べたいという消費者に向けて、北米で販売されている。このように、消費者の理想にぴったりハマった加工を施し供給することは、できそうでなかなかできることではないと思う。

小和瀬社長と小和瀬社長と
 まして、カナダ三菱商事の目標は「世の中全体の」バリューチェーンの改善。世の中には当然、無数の人間つまり消費者が存在するのだから、目標達成のためには消費者のニーズに隅々までアンテナを張り巡らせるという、途方もない根気と努力が要るだろう。

 そんな、私だったら途中でくじけてあきらめてしまうような目標に、本気で真正面から取り組むカナダ三菱商事に、企業としての並々ならぬ覚悟、そして志の高さを感じた。

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小槻 瑞木(15歳) 頌栄女子学院高等学校1年
小槻 瑞木

総合商社の仕事と私たちの生活

 成田から飛行機で約9時間。カナダ三菱商事は、都市と自然が調和し「世界で一番住みやすい都市」のひとつとして知られるバンクーバーにある。三菱商事がカナダで事業を始めてから、もうすでに50年。

最上階が三菱商事。窓からは青くキラキラ光る海とバンクーバーの美しい街並みが見える最上階が三菱商事。窓からは青くキラキラ光る海とバンクーバーの美しい街並みが見える
 売上高は1200億円で、資源開発、自動車・鉄鋼業界、再生可能エネルギー分野に力を入れ、主な商品は、石炭、タイヤ、鉄鋼メーカー向け設備機械、木材、道路凍結防止用の塩、銅、自動車産業向けプレス機械など。

 バンクーバーとトロントにいる社員の方々の出身国は、17か国にも上るとのこと。考え方や感じ方の違う多くの国の人たちをひとつにまとめ、皆が自分の力を十分に発揮できるようにし、それを大きな力に変えていけるのは、小和瀬社長の人柄なのだと思う。社長は、私たちの質問にもていねいに答えてくださり、緊張をほぐしてくださった。

社長の椅子の後ろには、企業理念である「所期奉公・処事公明・立業貿易」の三綱領が掲げられていた社長の椅子の後ろには、企業理念である「所期奉公・処事公明・立業貿易」の三綱領が掲げられていた
 社長の椅子にも座らせていただいた。この椅子に座りながら、社員のこと、日々の業務のこと、地域はもちろん地球全体の環境への配慮、そして何十年も先のことまでも考えて仕事をされているのだなぁと思い、私たちも将来少しでも役に立てることがあるだろうかと考え、身の引き締まる思いがした。お忙しい中、私たちのために貴重な時間を割いていただき、本当に感謝している。

 総合商社というのは日本にしかない業態だそうだが、実はこの探検隊に参加するまで、「商社」がどういうものなのかよく分かっていなかった。

 もともとは海外から資源や材料などを輸入し、製品を輸出するという仲介業で利益を得ていたが、現在では顧客企業の事業活動を支える“コーディネーター”としての役割で利益を得たり、資源開発や他企業に資金を直接投じて利益を得る“事業投資型”の仕事に移行しつつあるという。

小和瀬社長とレストランで。いろいろな話を聞かせていただいた小和瀬社長とレストランで。いろいろな話を聞かせていただいた
 商社と自分の生活とはまったく関係ないと思っていたが、調べてみると、たびたび利用するローソンやケンタッキーも、今とても人気のスープストックトーキョーも、みな三菱商事に関係していた。

 今回の旅から帰国した今も、家のコピー用紙の袋にも三菱商事の会社案内にも付いている“FSC森林認証”のマークが目につき、「Alpac社のパルプで作った紙かなぁ?」などと考えてしまう。

 このように、遠く海外で行われている三菱商事の事業投資のプロジェクトも、実は気がつかないだけで私たちの生活に深く結びついているかもしれない。もしかしたら「私たちの周りのすべてのものが三菱商事と関係あるのでは?」などと思うと、大変興味深い気がしてくる。

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谷 圭菜(18歳) 富山県立呉羽高等学校3年
谷 圭菜

ハイテク野菜

 カナダ三菱商事が取り組んでいるのは、100%安全な有機野菜を温室で栽培するプロジェクトである。ユニークなのは、独自に開発した土壌と肥料を使い、監視システムや害虫対策などのハイテク技術を駆使した「ハイテク有機野菜」作りだということだ。

カナダ三菱商事の担当者からハイテク有機野菜について説明を受けるカナダ三菱商事の担当者からハイテク有機野菜について説明を受ける
 同社担当者の説明を聞いてびっくりしたのは、野菜に水を与えるタイミングが巧妙だったことである。人間が、空腹時に物を食べるときが「最もおいしい」と感じられることをヒントに、野菜や植物が「水が欲しい」と訴えるときに水を与えると、野菜たちの成長が著しいことがこれまでの研究成果で分かり、この成果を利用していることだった。

 ハイテク栽培でできたトマトの色は真っ赤で、みずみずしい。誰にも邪魔されずにすくすく育った赤ちゃんのようで、純粋無垢である。説明によると、農薬を使っていない上、虫食いがないことから、食べるときに洗う必要がないという。

カナダ三菱商事を訪れた海外プロジェクト探検隊員らカナダ三菱商事を訪れた海外プロジェクト探検隊員ら
 おいしくて収穫量が多い。その反面、価格は1、2割高めだそうだ。残念だったのは、説明を聞いただけで試食ができなかったことである。ハイテク栽培でできた完熟トマトを、塩だけをかけていつか食べてみたい。何個食べられるだろうか……。

 中国産の食品や薬品から有害物質が相次いで検出されたり、賞味期限切れの食品が販売されたりして「食の安全性」への関心が高まっていることから、少々割高な野菜とはいえ「安全性」が保証されている限り、消費者はハイテク有機野菜を好むのではないだろうか。

カナダ三菱商事社長と記念写真に収まるカナダ三菱商事社長と記念写真に収まる
 さらに、「体によいものを食べたい」という、日本を始めとする先進国の健康ブームも後押しして、ハイテク有機野菜における販路拡大の可能性は広がるように私には思える。

 貿易立国ニッポンを支える総合商社は、石油や天然ガスの買い付けや開発契約など、物やサービスの輸入を中心に経済活動をしていると想像していた。ところがカナダ三菱商事の取り組みを知り、商社による活動のスケールの大きさと守備範囲の広さに、目からうろこが落ちた気分である。

 ハイテク有機野菜がどうすれば低いコストで栽培が可能になるかが、今後の課題になると思う。豊かな国でも、貧しい国でも、体によくて安全な食べ物を提供していってほしいと願うばかりである。

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大庭 直也(17歳) 福岡県立筑紫丘高等学校2年
大庭 直也

地球環境とビジネス

 三菱商事は、貿易取引や事業投資を行う総合商社である。主に、将来性がある事業を行っている企業と提携して開発を進めているのである。

三菱商事はこのビルの28階!三菱商事はこのビルの28階!
 カナダ三菱商事は、1956年に設立された。現在、バンクーバー支店とトロント支店で働いている社員の国籍は17か国にも及ぶ。今回私たちは、社員35人を抱えるバンクーバー支店を訪れた。

 取り扱う商品は、「カップラーメンからロケットまで」といわれるほど多種多様である。金属、機械、化学品などの工業的なものを扱うグループもあれば、日用的な資材を扱う生活産業グループ(Alpac社の事業はこのグループに属する)や金融事業のグループもある。

 しかし、今回説明を受けてみて、社の方々が強調されていると私が感じたのは、やはり環境問題であった。いくつか紹介する。

 バイオ燃料は、バイオマス(木のクズや廃材など)からできる燃料で、燃えるときの二酸化炭素の排出量がほかの燃料より少ない。特に“木質ペレット”と呼ばれる錠剤形の燃料は小型で扱いやすく、三菱商事でも将来有望な取り扱い商品のひとつとして取り組んでいるそうだ。

 燃料電池は、水素と酸素を反応させて、水とともに電気を発生させる装置である。発電の工程では水しか排出しない。2010年のバンクーバー冬季オリンピックでは、燃料電池で動くバスを20台用意するそうだ。

三菱商事、小和瀬社長とツーショット。お世話になりました三菱商事、小和瀬社長とツーショット。お世話になりました
 ハイテク有機野菜は、独自に開発した土、肥料、モニタリング・システム、害虫対策により、安全な有機野菜を温室で栽培するものだ。

 これらの事業は、確かに環境には配慮されているが、コストはかなりかかる。それに、ハイテク有機野菜は土壌や気候の条件などで開発地域がかなり限られるのではないか。このことについて、新規事業開発、投資案件を担当する鈴木さんはこのように話す。

 「ハイテク有機野菜は確かにコストはかかるし、近隣の農薬の影響も受けます。しかし安全性に優れている土地、労働力が豊富な土地、気候が良い土地を活用することで対策は可能です。かさむコストをまかなうだけの見返りは、効率性や安全性をターゲットにすることで得られるものなのです」

 安全性をターゲットにすることで得られるものは、人々の信頼ではないかと思う。それが引いては利益にもつながるし、環境への意識を高めることで自分たちにも見返りがあるということだろう。環境を守ることは、コストを犠牲にすることではないのだ。環境の保護を、企業にとってマイナスだととらえてはならない。

 これは、個人にも当てはまることだろう。環境を守ることは、多少面倒だからといっておこたってはならない。努力した見返りは自分に返ってくるのではないか。三菱商事の事業開発と環境保護の努力は続いている。

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加藤 利幸(17歳) 早稲田大学高等学院2年
加藤 利幸

先を見る三菱商事

 2010年の冬季オリンピックに向けてますます賑わいを見せている、カナダ第3の都市バンクーバー。この都市は比較的温暖な気候であり、極めて住みやすい場所だといわれている。そんなこともあってか、バンクーバーに住む日本人は多い。町を歩いていると、日本人向けのお店や和食料理店が目立つ。いつの間にか日本に帰ってきたような気分になっていた。

カナダ三菱商事が入っているビルカナダ三菱商事が入っているビル
 僕たちがバスを降りたのは、大きなビルに囲まれた場所だった。そのビル群の一角に、カナダ三菱商事があった。僕はちょっと緊張しながらも、28階の会議室に向かった。

 最初に迎えてくださったのは、カナダ三菱商事の社長である小和瀬氏。そして間もなく、各分野を担当しているスタッフの人たちが部屋に入ってきた。もちろん皆さんは仕事の真最中であり、僕たちのためにわざわざ時間を空けてくださったのである。そして、カナダ三菱商事が行っているあらゆるプロジェクトについて説明してくださった。

社長の椅子に座らせていただきました社長の椅子に座らせていただきました
 「鉄鋼業・石炭」、「化学」、「ハイテク有機野菜」、「新エネルギー」……。『カップラーメンからロケットまで』といわれる総合商社だが、まさにその通り。あらゆる分野の事業を行っていることがよく分かった。

 一見、何の統一性もないと思われるこれらの事業だが、すべてはあるひとつの理念に基づいている。それは「世の中をより効率的にする」ということである。例えば、資源大国としても知られているカナダの莫大な資源、これをいかに“効率的”に使っていくかということである。

 カナダ三菱商事は、新規の事業開発を行うとき、投資ファンドを通して有望なベンチャー企業を探すそうである。企業としての大きさにとらわれずに技術力そのものを見ること、そして先を見通す鋭い洞察力、これがカナダ三菱商事発展の秘密なのかもしれない。

 僕はこれまで、総合商社である三菱商事がどういう会社か、あまりイメージを持っていなかった。しかし今回、実際にカナダ三菱商事の皆さんからお話を聞くことでその取り組みについて理解を深めることができ、大変よい経験になった。

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行徳 圭太郎(19歳) 福岡大学付属大濠高等学校3年
行徳 圭太郎

驚愕の連続

カナダ三菱商事が入居するビルカナダ三菱商事が入居するビル
 私は、以前留学していたカナダ・バンクーバーで三菱商事を訪問することを、今回もっとも楽しみにしていた。なぜなら私は以前から、世界中に拠点を持つ三菱商事のような商社で、世界を股にかけて働きたいと切望していたからだ。

 カナダ三菱商事はバンクーバーのダウンタウンのほぼ中心地にあり、その中でもひときわ目立つビルの最上階にあった。留学していたころ、ここに三菱商事があったことは知っていたが、高校在学中に訪問できるとは夢にも思っていなかった。

 小和瀬社長を始め現地の社員の方々から、カナダ三菱商事のミッションについて伺った。その中で一番興味をそそられたのが、金属グループについての話題だ。

カナダ三菱商事社長室にてカナダ三菱商事社長室にて
 三菱商事は、石炭採掘にも力を入れているとのことで、そこでは露天掘りが採用されていて、採掘コストをいかに下げるかが要点となっている。石炭の輸入量は日本が世界一である。私の故郷の福岡は日本でも有数の産炭地であったが、危険で非効率な施設が多く、今は全部廃坑になっている。しかし、未だに石炭は重要なエネルギーなのだと再認識した。

 また、現在カナダに、石油の代替燃料として注目されている“オイルサンド”が埋蔵されていることは理解していたが、オイルサンドを原油に換算すると、カナダはなんとサウジアラビアに次ぐ世界第2位の原油埋蔵国だということである。さすが世界第2位の面積を誇るだけある。

小和瀬社長と海外探検隊メンバー小和瀬社長と海外探検隊メンバー
 そこで、三菱商事が次世代のエネルギーとして期待を寄せているのが“ウラン”らしい。その理由としては、アメリカで原子力発電が見直されていることが挙げられる。日本でも、資源が少ないためウランは貴重だ。開発には20年ほどかかるらしいが、次世代エネルギーとして十分に期待できると思う。

 このように、三菱商事は従来のビジネスと違う新しい製品、テクノロジー、モデルを探し、まさしく世界的な観点で仕事をしているということが理解できた。何より、すべての事業に対してコスト意識が非常に高い。可能性は無限大だ……。

 短時間ではあったが、商社の現場に触れることができ、緊張感も伝わってきた。多忙な中で分かりやすくご説明いただいたカナダ三菱商事の方々にとても感謝している。まさしく、みんな真の「商社マン」だった。

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小宮 友輔(15歳) 開成高等学校1年
小宮 友輔

カナダ三菱~バンクーバーで働くアツい日本人

 最終日、最後にして最大のイベント。僕の中には緊張感よりも寂しさの方が大きかった。この5日間、すごく短く感じられたけど、思えばいろんなことがあった。

 1泊目は、バンクーバーに行くはずが飛行機の故障で幕張になり、その分2日目から僕たちは超ハードスケジュールを強いられた。さらに、16時間の時差のせいで3時間しか寝られない日も。

金属部門の話金属部門の話
 「眠い、辛い」。しかし、これで予定されていたすべての行程が終わってしまうと思うと、本当に寂しい。そんなことを考えているうちにバスが停まる。周りは、高層ビルだらけの都会の景色だった。

 アサバスカの景色とのあまりの違いに、半分眠った頭がついていけない。それに、「どうしてアジア人がこんなに多いんだ?!」。アサバスカにはほとんどいなかったのに……(もっとも人自体あまりいなかったが)。

 そんなバンクーバーの独特の雰囲気の中にあって、ひときわ目立つ高層ビルの28階にカナダ三菱商事はある。僕たちはそこの会議室で、カナダ三菱商事の各部門の説明を、各部門の担当者の方から受けた。

 まずは、金属部門。世界中で資源開発に取り組み、最近はウランにも取り組んでいる。本物の鉄鉱石を見せていただいたほか、原料炭と一般炭の違い、鉄を取り出す方法などを詳しく教えていただいた。

 次に、化学部門の方の話を聞いた。今回は、例として塩がどんな製品に変わっていき、どのように流通するかの説明を聞いた。まず、三菱商事が49%を保有するメキシコの塩田から塩を取り、それを水酸化ナトリウムと塩素に分解する。

社長室にて社長室にて
 水酸化ナトリウムはそのまま商品となり、アジアに輸出される。一方の塩素にはエチレンを使い、最後には我々の身近なところでも使われているポリ塩化ビニルとなる。

 3つ目の部門は新規事業開発の部門で、主にハイテク関連の開発の話を聞いた。中でも、Alpac社に行ってから興味を持ったバイオ燃料の話には惹きつけられた。この部門に関して「儲けるということよりも開発することが大事」と言い切った小和瀬社長の格好良さはすごい!!

 あらためて、三菱商事の事業の多彩さを知ることができた。「カップラーメンからロケットまで」という言葉を思い出した。

 最後に、社長室の椅子に1人ずつ座らせてもらった。ここに座るまでに、どれだけの苦労があったのだろう。その苦労が計り知れず、まだまだ今の僕には椅子が柔らかすぎたようだった。商社の仕事の幅広さと奥深さを垣間見たことは、本当に良い勉強になった。

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