大豊建設創立70周年 大都市支える確かな技術
対談

 3月31日に創立70周年を迎えたゼネコンが大豊建設だ。地下空間での優れた技術を強みに、人々の暮らしを支えてきた。100年に向け、新生・大豊建設としてスタートを切った大隅健一社長に、フリーアナウンサーの木佐彩子さんが話を聞いた。

01
穴掘りの名人
木佐

どんな工事をしているのですか。

大隅

現在は例えば、東京都江東区の地下30メートルで、全長4.2キロにわたり直径6メートルのトンネルを掘っています。近年は一時的にものすごい量の雨が降るうえ、雨が地中に染みこみません。そこで、雨水をトンネルに収容し、地表にあふれるのを防ごうとしています。

木佐

局地的豪雨は本当に心配ですが、知らないうちに私たちに安心を与えてくれているのですね。

大隅

外環道(東京外郭環状道路)では直径16メートルのトンネルを掘っています。

約7割で採用されている工法は、大豊建設が開発しました
約7割で採用されている工法は、大豊建設が開発しました
木佐

そんなに大きいのですか。

大隅

普通は車の走っているところしか見えませんが、道路の下には電気ケーブルや水道管、点検用通路や緊急避難路など大事なモノがいっぱい入っています。実はこうした工事の約7割で採用されている泥土加圧シールド工法は、大豊建設が開発したのです。

木佐

他にはどんな工事がありますか。

大隅

木佐さんがよく通りそうなところでは、東京・お台場にレインボーブリッジがありますよね。

木佐

テレビ局勤務の頃は、毎日通りました。番組で失敗した日は、不思議と長く感じました。(笑)

大隅

ここでは芝浦側の橋の基礎工事を手がけました。45メートル×70メートルの大きさで、39メートルの深さを掘って、コンクリートのかたまりを埋め込んだのです。

現在建設中の江東区地下のトンネル

レインボーブリッジの芝浦側の基礎工事を手がけた

アクアライン木更津側工事を施工した

レインボーブリッジの基礎がそうなっていたとは、思いませんでした
レインボーブリッジの基礎がそうなっていたとは、思いませんでした
木佐

そんなふうになっていたとは思いませんでした。

大隅

ここでも用いた大豊建設独自のニューマチックケーソン工法は、土木工学の教科書に載っています。地下駐車場やポンプ場の建設などタテ穴を掘るのに適した工法なのです。

木佐

本当に穴掘りの名人なのですね。海外にも展開しているのですか。

大隅

マダガスカルや台湾、タイでは40年以上の実績があります。マダガスカルで何もないところから造ったエホアラ港は、輸出の拠点となり、紙幣の絵柄に採用されました。

木佐

大変喜ばれ、国の宝に認めてもらったのですね。

大隅

台湾新幹線では、約17キロの工区でトンネルや橋などの土木工事を担当したほか、駅舎も建築しました。海外での仕事は、言葉の問題もありますし、協力してくれる施工業者を確保するのも大変です。さらには、昼休みはどのくらいとるのかなどその土地の文化まで知らないとうまくいきません。長い時間をかけて、現地の方と信頼関係を結んできました。

木佐

大豊建設ではどんな方が働いているのですか。

大隅

やはり技術者が中心です。まだ少ないですが、女性技術者も約20人います。男性と同じように責任をもった仕事を任せています。近い将来、女性が現場の最高責任者である所長になるのが楽しみです。

エホアラ港

マダガスカルのエホアラ港は紙幣の絵柄になった

土木工事を担当した台湾高速鉄道

台湾高速鉄道の新竹駅舎工事を施工

  • 泥土加圧シールド工法第1号工事の
    青戸4、5丁目付近枝線工事

  • 泥土加圧シールド工法

    シールド工法は、シールドと呼ばれる掘削機を用い、シールドの後ろ側でコンクリートブロックを組み立てながら、掘り進む。泥土加圧シールド工法では、シールドの前方で掘った土を練って泥土にすることで、安定的な掘削が可能になる。広範囲な土質に適応性があり、用地の狭い都市部での施工に適している。

  • 泥土加圧シールド工法第1号工事の
    青戸4、5丁目付近枝線工事

  • 戦後初めて大豊式潜函(せんかん)工法(ニューマチックケーソン工法)が採用された大渡橋地先護岸工事

  • ニューマチックケーソン工法

    地上であらかじめ造った鉄筋コンクリートの箱を地下に徐々に沈めていく工法。箱の下部にある作業室に、圧縮空気を送り込み、地盤を掘削するとき地下水が出ないようにして、施工性を高めている。

  • 戦後初めて大豊式潜函(せんかん)工法(ニューマチックケーソン工法)が採用された大渡橋地先護岸工事

広 告 企画・制作 読売新聞社広告局