2017年12月8日
多様な価値を持つZEHが、暮らしを変え、社会を変えていく
家庭のエネルギー消費を実質ゼロにするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)によって、私たちの暮らしはどのように変わるのか。「近い将来、日本の住宅はZEHであることが当たり前の時代がやってくるでしょう。そのぐらいZEHには多様な価値があり、ZEHによって生活が変わり、社会も変わっていきます。みなさんには、まずZEHを知ることから始めてもらいたい」と言う住宅生産団体連合会の和田勇会長。新たな住まいの形について、分かりやすく語ってもらった。
省エネと創エネでエネルギーコストをゼロに
最初にZEHのメリットを感じていただけるのは、電気代などのエネルギーコストの安定性です。太陽光発電などでエネルギーを作りながら、気密性と断熱性に優れた屋内で、高効率な機器によって無駄なく使うのがZEHの住まい。年間のエネルギー消費をネットでゼロにするわけですから、家計に与える影響は決して小さくありません。
これから家電や住宅設備は増えることはあっても、減ることはおそらくないでしょう。ますます省エネと創エネが生み出す価値が大きくなっていきますから、長期的な視点でエネルギーコストを考えた住まい選びが重要になります。エネルギー収支ゼロを実現するZEHは、これからの住宅のスタンダードになることが大いに期待されています。
快適な生活環境で、健康長寿な人生を
また、ZEHには「健康長寿」を延ばす効果も期待できます。元気に長生きするには、寒暖差の少ない快適な環境が必要であると私たちは考えています。
特に気をつけなければいけないのが、室内と室外の温度差で血圧が急変するヒートショック。ちょっと怖い話をしますが、ヒートショック関連死の件数は、交通事故死亡者数の約4倍にも及びますから、ひとごとではありません。断熱化されていない住宅では高血圧や心疾患のリスクが高くなるという研究データもあるほど、健康と快適な住まいの関係は大変に深いものです。
1年を通して温度差の少ない快適な暮らしをもたらすZEHは、みなさんとご家族の健康維持にも大いに役立ちます。
子供たちの未来を考え賢い選択を
経済的なメリットがあり、健康面でも大きなメリットがあるZEH。もう一つ忘れてはいけないのが、環境に与える影響です。温暖化の原因であるCO2排出量の削減は、国境を越えて地球に生きるすべての人が取り組むべき課題。自分のためだけでなく、未来に生きる子供たちのために、もっともっと環境への意識を持たなければいけません。
省エネ性能が高く、再生可能エネルギーを利用するZEHに住むことは、みなさんにできる身近な環境への取り組みになります。住宅生産団体連合会としても、新築住宅だけでなく既存住宅のZEH化を進める普及活動に取り組んでいる他、補助金や税金面での優遇による普及の加速について、国への政策提言を進めていきます。
国、企業、個人がそれぞれにできることをやれば、必ず美しい環境を次の世代に残せます。みなさんにZEHを知っていただくことが、その第一歩になればと期待しています。
ZEHとは
温度差の少ない快適な室内環境を実現し、省エネと創エネによって、年間で消費するエネルギーを実質ゼロにすることを目指した住宅。
ZEH住宅入居者インタビュー
家計にも家族にも優しい。
ZEHを選んでよかった!
千葉県成田市 石川さんご家族
(2016年1月入居)
収支は常にプラス高断熱で年中快適
ZEH住宅に暮らして2年近く経ちますが、売電収入から光熱費を差し引いた月々の収支は、常にプラス。日照時間の長い季節だけでなく、冬場も含めて、ずっと黒字が維持できています。
優れた断熱性能のおかげで「夏は涼しく、冬は暖かい」というのも嬉しいですね。暖房や冷房は1時間ほど使用してオフにするだけで、長時間にわたって快適に過ごすことができます。真夏の熱帯夜でも、エアコンをつけっ放しにする必要はありません。
大開口とZEHを妥協せずに両立
憧れていた「開放感のある大きな窓」が実現できたことにも満足しています。開口部を大きくとることで断熱性能が低下しないかと心配しましたが、建材の質や技術力が向上した近年は、かなり制約がなくなってきたようです。
住宅の購入を考えている人には、まず一度ZEH住宅を検討してみることをおすすめします。
(ご主人様談)
5チームの大学生が建てたZEHモデル住宅最先端の技術と個性を競う!
大学と民間企業等によるZEH普及啓発プロジェクト
「エネマネハウス」は、大学と民間企業等の連携により、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のモデル住宅を建築して、環境・エネルギー性能の測定・実証や、展示を通じた普及啓発を行うプロジェクト。今年は「“LIFE DESIGN INNOVATION”~住まい・コミュニティに多様な新しい価値を創造する~」をテーマに、大阪市で開催される。
ZEHコアによる町家・コミュニティ 再生モデルの提案
まちや+こあ
高性能なZEHコアの挿入による町家・コミュニティ再生モデルの提案です。伝統的生活文化と最新技術を融合させた町家で現代的な暮らしを実現させます。
京都大学大学院
工学研究科 建築学専攻
居住空間学講座 修士1年
進藤 拓哉さん
窓辺のカートリッジとルームガーデンで生まれ変わるすまいとコミュニティ
エネマネRハウス
木造住宅をリノベして、究極の環境住宅に蘇らせました。家の中に緑いっぱいの庭があり、車で運べるカートリッジルームをカスタマイズして住み継ぐ家をご覧ください。
近畿大学大学院
総合理工学研究科
建築デザイン専攻 修士1年
宗内 龍弥さん
アジア蒸暑地型の現代版テラスハウス
ZEH Village
通風・日射遮蔽などを考慮した、蒸暑気候下の住宅モデルです。都市型居住を可能とするテラスハウス形式で、エネルギー・微気候のシェアをはかります。
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科
建築学域 修士1年
鈴木 匠さん
伝統的住環境技術を用いた対話のしつらえ
キセカエハウス
どこでも・誰もが・簡単に、建具や空間を“キセカエ”ることで、家族や地域との対話を楽しみ、自然とともに生活できるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスです。
武庫川女子大学大学院
生活環境学研究科
建築学専攻 修士1年
大原 こころさん
わたしと家の約80年のものがたり
この郊外の片隅に
改修すれば十分使用できる多くの住宅が、構造計算などの煩雑さから取り壊されています。私たちは築40年の工業化住宅をZEHに改修する提案をしました。
早稲田大学大学院
創造理工学研究科
建築学専攻 修士2年
丸山 由香さん
エキサイティングな建築現場、それがエネマネハウス
隈 研吾さん(建築家、エネマネハウス2017審査委員)
エネマネハウスのプロジェクトの審査にこの数年たずさわってきて、ここにこそ建築教育の未来があると感じた。環境、デザイン、構造のインテグレーションが必要だといわれて久しく、建築教育もその統合を先取りしなければといわれてきたが、大学というシステムが基本的には縦に割られているので、ことはそう簡単には進まない。
しかし、エネマネハウスは、物を実際に作ってしまうので、無理にでも統合せざるをえず、その意味でこんなにエキサイティングな現場は、建築界には他にないのではないかとすら思う。
- 主催:
- エネマネハウス2017事務局
- 共催:
- 大阪市
- 後援:
- 国土交通省/一般社団法人JBN・全国工務店協会/一般社団法人住宅生産団体連合会/一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会/一般社団法人日本建築学会(50音順)
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