シンポジウム<妊娠・出産・子育て> 男女でともに考えるライフデザインフォーラム 未来のチカラを生み出そう 300名様無料ご招待 2月11日(水・祝) 丸ビルホール

2015年2月27日

 子供を望むすべての人たちが、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、2月11日に丸ビルホールで、妊娠・出産・子育てなどをテーマにライフデザインを考えるフォーラムが開催されました。

主催:
読売新聞社
後援:
内閣府、文部科学省、厚生労働省
協力:
(公社)日本産科婦人科学会、(公社)日本産婦人科医会、(一社)日本生殖医学会、(一社)日本周産期・新生児医学会、(一社)日本家族計画協会、(公社)日本助産師会、(公社)日本看護協会

オープニングスピーチ

社会みんなで生まれてくる子を応援したい

有村 治子氏(内閣府特命担当大臣(少子化対策))

有村 治子氏

有村 治子氏

 少子化対策は待ったなしの最重要課題です。今年4月には「子ども・子育て支援新制度」が本格的に始まります。これまでの2年間で20万人、今後の3年間で20万人、合わせて約40万人の待機児童解消を図ります。男女の働き方を変え、仕事も家庭も両立できるよう、結婚・妊娠・出産・子育ての各段階で国をあげて支援していきます。ぜひ早い時期に正しい知識を持ってライフデザインに活かしてください。

基調講演

すこやかな妊娠と出産を迎えるために ~正しく知ることから始めよう~

齊藤 英和先生(国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 副センター長)

妊娠・出産の医学的な適齢期は、男女とも20代

「早い時期に、妊娠・出産の正しい知識を」齊藤 英和先生

齊藤 英和先生

 かつてに比べ、現在は晩婚化・晩産化が進み子供を持つ時期が大変遅くなっています。妊娠への加齢の影響を知らない人がいるなど、日本は先進諸国の中でも、妊娠・出産に関する知識レベルが非常に低い。「もっと早く知っていれば」と後悔しないために正しい知識をもってほしいと思っています。

 女性の妊娠しやすさは20代前半をピークに20代後半から徐々に低下し、35歳で約半分になります。卵子の数はAMHというホルモンで測れるのですが、非常に個人差が大きく、「40代半ばで産めた人がいるから私も産める」というわけではないのです。年齢が上がると、不妊の原因となる病気の発生率、流産率や出産時に妊婦や赤ちゃんが亡くなる確率など、さまざまなリスクが増えていきます。

O’Connor et al. Maturitas 30; 127-136,1998

 女性だけでなく、男性の年齢も妊娠しやすさに影響します。男性の年齢が上がると、相手が妊娠に要する期間も長くなり、流産率や赤ちゃんの先天異常率も上昇します。加齢とともに精子の質が劣化するからです。

 医学的には、妊娠・出産・育児に適した時期は、男女ともに20代なのです。

不妊治療も万能ではない

日本産科婦人科学会

 体外受精などの不妊治療も万能ではありません。日本では年々治療数が増え、この6年間で倍になりました。赤ちゃんの出生数は約103万人(2012年)ですが、そのうち体外受精児は約3万8千人で約27人に1人となっています。患者の高齢化も進んでいます。年齢が高くなると成功率は低くなり、平均8~9回に1回なのが、45歳以上では約100回に1回。1回の治療が30万円とすると、赤ちゃんが一人産まれるまで40歳で370万、47歳では2億3千万円かかる計算になります。最近は、卵子・卵巣の凍結保存ができるようになりましたが、母体の老化の問題もありますし、長期間管理することの安全性についても分かっていません。

 見合い結婚が減り、結婚には自らの努力が必要な時代です。結婚・出産が遅くなると、親の介護と重なる可能性も出てきます。男女ともに、できるだけ早い時期により多くの情報を集めて、自分のライフデザインを考えてください。

パネルディスカッション

今から考えよう!ライフデザインのこと ~出産・子育て・働き方~

つるの剛士さん(俳優・ミュージシャン)
白河 桃子さん(少子化ジャーナリスト・作家・相模女子大学客員教授)
菊地 政隆さん(社会福祉法人東京児童協会理事、すみだ中和こころ保育園園長)

【モデレーター】
津秦 幸江(ヨミウリ・オンライン「大手小町」編集長)

仕事との両立にはどう取り組めばよい?

「夫婦の時間を大切に」つるの 剛士さん

つるの 剛士さん
「イクメンオブザイヤー2011」受賞。一男三女の父親。

津秦 今日はライフデザインを描くためのポイントを考えていきたいと思います。まず子育てと仕事との両立についてですが、「大手小町」の掲示板「発言小町」にも「両立できるだろうか」というお悩みが多く寄せられます。

つるの 妻がスタイリストの仕事を中断するのを申し訳なく思ったのですが、「子供ができたからこそできるスタイリングもあるんじゃないかな」と。前向きな考え方が素敵だなと思いました。

白河 先に産むか、キャリアを築いてから産むか、どちらにもメリット、デメリットがありますが、最近の若い人には先に産んでから仕事で活躍しようという人も増えてきています。将来は復職しようとか、育休を取って働き続けようとか、仕事を諦めない気持ちが大事ですね。

菊地 最近はそれぞれの仕事に合わせた形で保育園を利用される方が非常に多いです。保育園、幼稚園、認定こども園に相談していただいて、育児という体験を楽しんでほしいです。

子育て支援施設をはじめ地域の力が支えとなる

「仕事を諦めない気持ちを」白河 桃子さん

白河 桃子さん
「婚活」提唱者のひとり。女性のライフプランに関する情報発信を行う。

津秦 次に子育て環境ですが、仕事への復帰を控えた新米ママからの不安も多く寄せられます。

菊地 初めてだから不安なだけで、何とかなります。私たちは地域に開かれた形で子育て相談もしています。栄養士や看護師が専門的なアドバイスもできますし、臨床心理士のカウンセリングや保健師の紹介など、地域で育てていこうという動きは非常に活発です。

つるの 育児休暇中に娘が救急車で運ばれた時、近所の方が「子供たちは見ておくから病院に行ってあげて!」と助けてくれたんです。地域のつながりの大切さに気づきました。

津秦 4月から国の「子ども・子育て支援新制度」がスタートしますね。

菊地 子供たちのために現場でがんばる先生たちと一体となって、たくさんの保護者の方を支えていこうというのが、まさにこの新制度です。子供たちがのびのびと過ごす環境が期待できると思います。

一番のポイントは夫婦のコミュニケーション

「育児という体験を楽しんで」菊地 政隆さん

菊地 政隆さん
30歳で保育園の園長に。「まあせんせい」として講演活動なども行う。

津秦 パートナーの役割も重要です。

白河 男性が家事や育児をする国ほど少子化ではないというデータもあります。

つるの イクメンは夫婦のコミュニケーションの結果できるもの。肩に力を入れすぎず、夫婦の時間を大切にするといいと思います。

白河 よく「イクメンと結婚するにはどうしたらいいですか?」と聞かれますが、生まれついてのイクメンはいないので、とにかくほめて育てる(笑)。35歳以下の男性は家庭科を学んだ世代なので期待できますよ。

菊地 最近は送り迎えを始め、さまざまな行事に参加して子育てを楽しもうというお父さんも増えています。

津秦 最後に一言ずつメッセージをお願いします。

津秦 幸江

白河 ご自分のライフプランのためにも、なるべく早いうちにパートナーときちんと向き合いましょう。

つるの 子育てが不安になるような情報を鵜呑みにせず、しっかり地に足をつけて子育てしていくことです。あとは男がもうちょっと頑張らなきゃダメですね(笑)。

菊地 子育ては未来への橋渡しです。たくさんの愛で子供たちを包み、笑顔あふれる日本にしたいですね。

津秦 今日のこのお話が、皆さんのライフデザインを考えるきっかけになれば幸いです。

事例発表

妊娠・出産・子育てを支援する取り組み事例について

2つの自治体から、地域の実情に応じたライフデザイン支援、妊娠・出産・子育て支援の取り組みについての発表が行われました。

大分県

今 伝えたい! いつかこどもを…と考えているあなたたちへ
~学園祭や成人式における啓発・PR~

安藤 恵美さん(大分県福祉保健部 健康対策課母子保健班 副主幹)

安藤 恵美さん

安藤 恵美さん

 大分県では「大分県妊活推進啓発事業」を行っています。当県でも晩婚化や初産年齢の高齢化が進んでおり、不妊治療経験者から「もっと早くに知っていれば」という声が上がったのがきっかけです。若い世代に生殖機能のことを正しく知ってもらうため、パンフレットの作成と配布、出前講座の実施、学園祭での啓発活動、地域メディアでの広報、成人式におけるPRを行っています。学園祭での啓発活動では学生との連携という成果が生まれました。今後は長いスパンで事業を継続できるよう工夫し、より早い時期からの教育や労働環境の整備など、各方面と連携することが必要だと考えています。

三重県名張市

なばりの ちいきまるごと ネウボラ!
~フィンランドの子育て支援制度(ネウボラ)を参考に妊娠・出産・育児の切れ目ない支援を展開~

上田 紀子さん(名張市役所 健康支援室)

上田 紀子さん

 名張市では、フィンランドの「ネウボラ」を参考に、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援を住民の方々と共に進めています。きっかけは妊娠や育児に対する不安が、3人目を授かったママに多かったことです。そこで「チャイルドパートナー(相談員)」が地域に密着し「母子保健コーディネーター(保健師)」が関係機関とつながって、子育て家庭の悩みを取りこぼさない支援を行っています。15の公民館を活かして地域の絆を高め、支援を確実に「届ける」仕組みも工夫しました。シニア世代も子育てを応援しており、ネウボラの意識が地域で共有できていると実感しています。

※ネウボラ:妊娠・出産から育児にいたるまで、ワンストップで総合的な支援を行う自治体の地域拠点

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