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人生100年時代シンポジウム ~安心して元気に人生を楽しむために~

2019年1月30日

 本社が取り組む未来貢献プロジェクトの「人生100年時代シンポジウム~安心して元気に人生を楽しむために~」(読売新聞社主催)が昨年12月22日、東京都千代田区のJPタワーで開かれ、約450人が耳を傾けた。衆院議員で自民党厚生労働部会長の小泉進次郎氏が基調講演し、人生100年時代に政治がどう対応すべきかをテーマに語った。長生きや健康寿命の維持をサポートする金融商品やサービスについて、協賛企業の担当者らが紹介。専門家を交えたパネルディスカッションで議論を深めた。

主催:
読売新聞社
後援:
経済産業省
協賛:
野村證券株式会社 株式会社かんぽ生命保険

基調講演

「現役世代」の定義変える

小泉 進次郎氏 自民党厚生労働部会長
小泉 進次郎氏
 1981年神奈川県横須賀市生まれ。関東学院大卒。米コロンビア大で修士号を取得。父の小泉純一郎元首相の秘書を務め、2009年に衆院初当選。自民党農林部会長、筆頭副幹事長などを歴任し、18年10月から現職。

 今朝の読売新聞を読んでいて気づいたことがあります。日本の形を今、端的に表すのは「100」という数字だということです。

 一つ目は出生数。3年連続で100万を切った。今は92万人です。

 二つ目はこの国の予算の規模。とうとう100兆円を超えました。毎年の税収は60兆円。差額は借金などで埋めています。

 そして三つ目が、今日のテーマである人生100年時代です。人の一生が100年になる。これに政治がどう向き合っていくべきなのか。皆さんと一緒に考えたいと思います。

 人口減少、少子高齢化、さらに人生100年生きていくことが当たり前になる未来に、もはや戦後のやり方は通用しません。

 終戦後の1947年、日本の平均寿命は男性50歳、女性54歳でした。今は男性81歳、女性87歳です。100歳以上の人は6万9000人もいます。今後、ますます増えていくでしょう。

 社会のあり方も変わっています。これまでは終身雇用や国民皆保険といった日本型の経済モデルがよく機能してきました。しかし、終身雇用の慣行は崩れ、転職も含めて様々な働き方ができる時代になりました。人生設計が一直線のレール型から、多様な生き方がある網状のネット型に変わっています。

 こうした中、一定のレールに沿った社会保障のあり方は、財政的に維持できないばかりか、私たちが望む生き方とのズレも生じているのではないか。それが私たち自民党の同世代の議員の問題意識です。

 レールを取り払い、15~64歳を生産年齢人口とする「現役世代」の定義そのものから変えていく。子育て世代の負担を減らし、現役世代を増やしていくことで日本社会全体の生産性を高め、人口が減少しても持続可能な社会保障をつくっていかなければなりません。

 平成が終わろうとしています。平成という時代は、給付と負担のバランスを模索する時代だったと思います。その中で導入されたのが消費税でした。模索は今なお続いています。

 ポスト平成の新元号の時代には、人生100年時代の基盤づくりをしなければいけない。若い世代、現役世代が高齢者を支えるといった社会保障から、真に困っている人は年齢を問わず支えていく全世代型の社会保障へと、政治もカジを切り始めました。

 人生100年型の年金の確立にも取り組み始めています。受給開始年齢の柔軟化が一つのカギです。65歳から5年遅らせて70歳で年金をもらい始めると、受給額は42%もアップします。厚生労働省と話をし、毎年配られる「ねんきん定期便」を見直して、こうした点を分かりやすく表示するようにしました。

 単なる書類の見直しにとどまらない、自ら選択できる社会保障への第一歩だと考えています。

 海外の方々とお話をするときに、「人生100年時代に向けた国づくりをやっています」と言うと、これが一番驚かれます。信じられないんですね。人生100年というキーワードは、私は日本が世界に売れる商品になると思っています。

 今の子どもたちは22世紀まで生きる。そう考え、しっかりと基盤を築きます。前向きに生きることができる未来へ向けて、全力を尽くしたいと思います。

プレゼンテーション・パネルディスカッション

「資産寿命」延ばす工夫

鳥海 智絵氏 野村證券専務執行役員
鳥海 智絵氏
 1989年早大卒、野村證券入社。米スタンフォード大で経営学修士号(MBA)取得。野村ホールディングス経営企画部長、野村信託銀行社長を経て2018年4月から現職。

 長寿社会を迎える中、アクティブで充実したセカンドライフを過ごすために必要なものは何か。今日は「資産寿命」について考えてみたいと思います。

 生命保険文化センターの調査(2016年)によると、ゆとりのある老後生活を送るには、60歳代で月34万6000円が必要とされています。これに対し、総務省の家計調査(17年)では、夫が65歳以上、妻が60歳以上の世帯の平均収入は月20万9000円です。差額の13万7000円は、それまでにためた金融資産から取り崩していくことになるわけです。

 60代の平均金融資産は2382万円なので、このペースで取り崩せば、80歳前後で金融資産はなくなってしまう計算になります。この資産が尽きる年齢のことを資産寿命と呼んでいます。どこか悲観的な感じがするかもしれません。けれども生命の寿命と違って、この資産寿命はある程度コントロールが可能です。工夫次第で延ばすことができると考えています。

 資産寿命を延ばすにはどうしたらいいか。四つの方法があると言われます。〈1〉リタイアまでに資産形成に取り組む〈2〉リタイア後の収入を確保するためスキルを身につける〈3〉生活費を節約する〈4〉(運用などで)お金に働いてもらう――です。特にリタイア後は〈3〉と〈4〉が重要になります。

 仮に65歳時点の金融資産を1000万円増やし、65歳から70歳まで働いて月5万円の収入を得て、生活費を月1万円節約し、年3%の資産運用ができたとすると、資産寿命が28年も延びる計算になります。100歳まで生きても資産寿命が尽きることはありません。

 もちろんこれは仮定の計算なので、前提が違えば結果も異なります。ただ、支出や収入を見直すことで、資産寿命もコントロール可能だということをお伝えしたいと思います。

 資産運用では、「つみたてNISA」と呼ばれる仕組みがあります。株式投資信託などを毎月一定額買い付けるもので、売却益・分配金が最長20年間、非課税となる制度です。買い付け手数料は0円で、信託報酬も低く設定されている商品が多い。リスクを抑えた運用が期待でき、長期の資産形成に向いています。運用をしながら、その資産を担保にお金を借りられる「有価証券担保ローン」という仕組みもあります。子どもの教育資金にまとまったお金が必要な場合などに、活用するのも選択肢でしょう。

 野村證券は18年に「人生100年パートナー宣言」を行いました。お客さまの人生のステージに応じて、これからも様々なサービスを提供していきたいと考えています。

高齢者の意欲もっと活用

清家 篤氏 日本私立学校振興・共済事業団理事長
清家 篤氏
 専攻は労働経済学。1992年慶大商学部教授、2009年から17年まで慶応義塾長。日本私立大学連盟会長、米ハーバード大客員教授などを歴任。政府の社会保障制度改革推進会議議長も務める。

 人生100年といいますが、ただ長く生きればいいということではありません。元気に長生きするということが大切です。

 その意味では、「健康寿命」が一つの目安になります。健康寿命は、健康上の理由で日常生活が妨げられない年齢は何歳までかということで測ります。

 いま男性の健康寿命は72歳、女性は75歳くらいで、平均寿命との間には10歳くらいの差があります。これをどう縮めていくかが肝心です。健康寿命を延ばすことによって、職業寿命を延ばすことができる。

 仮に100歳まで生きるとすると、少なくともその半分は何らかの形で仕事をし、自分で稼いで社会を支えるのが理想でしょう。20代前半から働き始めれば、70代前半ぐらいまで働くことになります。そこまで現役で働くことができるような社会にしていかなければならない。

 ところが、今の日本では定年が60歳の会社が多いです。継続雇用でも65歳まで。40年ちょっと働いて、その後も男性は20年、女性は24年生きるとすれば、引退期間が働く期間の半分かそれ以上となって、バランスが良くありません。もっと働く意欲と能力を活用できる社会をつくっていくことが大切だと思います。

 幸い、日本はとてもありがたい条件に恵まれています。日本の高齢者は働く意欲がとても高いのです。欧州などに比べて、年を取っても働き続けたい、あるいは働き続けることが良いことだと考えている人が多い。

 こうした高齢者の働く意欲を生かすためには、年金制度にも改めるべき点があります。今は在職老齢年金という仕組みがあり、働き続けて一定以上の収入があると、本来もらえるはずの年金が減らされてしまいます。

 高齢者にもっと働いてもらうのが社会全体にとって良いという時代に、働いて収入があると年金をカットするという制度にはいかにも矛盾がある。早急に見直す必要があると思います。働く意欲をそいでしまっているからです。

 終戦直後に平均寿命が短かったのは、乳児死亡率が高かったからです。今では栄養状態が改善し、衛生環境も住環境も格段に良くなった。何よりも医療が進歩しました。我々が享受している豊かな長寿社会を、子どもたちの世代につなげていくことが、私たちの責任だろうと思います。

「自分が生きるため」の保障

加藤 進康氏 かんぽ生命保険常務執行役
加藤 進康氏
 1987年京大卒、郵政省(当時)入省。2007年かんぽ生命保険経営企画部長。人事部長、保険金部長などを経て16年から常務執行役。広報部、経営企画部、デジタルサービス推進部を担当。

 人生100年と言われる時代、生命保険会社の役割も大きく変わりつつあります。

 かんぽ生命は保有契約が約3000万件、被保険者が約2800万人で、日本の人口の5分の1程度の方に利用されています。従来は死亡や入院の際、保障内容に応じた保険金を支払うことを根幹業務としてきました。

 しかし、これからはお客さまの健康で長生きしたいというニーズに応えていく必要がある。健康増進に資するサービスを提供する会社に転換しなければなりません。

 もともと死亡保障は、一家の大黒柱が亡くなった際の子どもや遺族の保障がメインでした。しかし、長寿化に伴い、親が80歳で亡くなっても、その時には子どもは十分成長しているし、少子化で子どもの数自体も少なくなっている。死亡保障の額は毎年減っています。

 一方で、長生きする人が多いので、病気やけがで入院するリスクが顕在化しています。それらを保障する医療保険やがん保険、認知症保険など、「第3分野」と呼ばれる保障が伸びています。死亡による遺族保障から、顧客自身が生きるための医療保障へとニーズが変わってきているのです。

 これに合わせて、保険会社も顧客の健康寿命を延ばし、生活の質をいかに向上させるかに注力する必要があります。病気を予防したり、発症を遅らせたりするような健康増進サービスに加え、それらを組み込んだ商品を提供することが新たな役割となっています。

 最近では、毎日8000歩以上歩くと還付金がもらえるものや、体格指数(BMI)や血圧が基準値内であれば、割引が受けられるような保険商品も登場しています。

 また、かんぽ生命では、全国の小学校でラジオ体操をする機会を増やすためのコンクールを開催しているほか、スマートフォンでラジオ体操ができるアプリも提供しています。

 保険各社は、健康寿命を延ばすことをサポートする商品やサービスの充実を進めています。これらをよく比較した上で、自分のニーズに合った商品を選んでいただければと思います。

ラジオ体操で20歳若く

中村 格子氏 整形外科医・スポーツドクター
中村 格子氏
 横浜市立大卒。医学博士、Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。アスリートを支える傍ら、テレビや雑誌などのメディアでも活動。著書「大人のラジオ体操」はシリーズ累計82万部を超える。
政井マヤさん 政井マヤさん
 メキシコ生まれ。上智大卒、フジテレビ入社。「笑っていいとも!」「スーパーニュース」などを担当。2007年に退社後フリーに。ラジオやイベント司会で活躍中。3児の母でもある。

 豊かな老後を送るために一番大切なことは、自立した生活を送れるかどうかだと思います。

 平均寿命と健康寿命には10年前後のギャップがある。この原因は何かというと、実は整形外科の患者さんに多い病気が大きな部分を占めています。関節疾患、骨折、脊椎疾患、衰弱などです。3大疾病のがんや心筋梗塞、脳卒中よりもはるかに大きい要素となっています。

 何よりも、こうした疾患は毎日の運動などで防ぐことができるものです。ぜひ運動をして、元気に生活の質の向上を目指していただきたい。

 私は運動が専門なので、運動と健康の関係について具体例をご紹介します。

 群馬県の中之条町で15年以上にわたり、65歳以上の5000人を対象に行った研究があります。活動量や歩数を調べ、どんな病気を防ぐことができたかを探ったところ、毎日2000歩で寝たきりの予防、5000歩で脳卒中などの予防に効果があることが分かりました。

 さらに、7000~8000歩では、骨粗しょう症や骨折の予防につながります。こうしたことがきちんとした科学的根拠として示されています。骨は重力による刺激で強くなるので、毎日の運動が大切です。

 私は「大人のラジオ体操」というシリーズの本も出しています。ラジオ体操は健康のことを考えてつくられた体操なので、意味をよく理解してやっていただくと、本当に体にいいものです。

 一部の体育系大学の教職課程では、ラジオ体操が必修科目に取り入れられています。「これができないと体育の先生になれない」という大切な運動なんですよ。第一に姿勢をよくする。息を吸ったり吐いたりしながら、全身に血液が回るようになっています。ぜひ呼吸も気にしながらやってください。

 驚きのデータがあります。週5日以上かつ3年以上ラジオ体操をしている55歳以上の男女を調べたところ、基礎代謝量や筋肉量、血管年齢、骨密度などが、実年齢よりも平均20歳も若かったのです。

 皆さんには今日からでも運動習慣をつけてほしいと思います。

森田 健作氏 パネルディスカッションで中村氏(右)の指導で体操する参加者ら

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