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「女子のうつ」著者に聞く!女性ホルモンとの上手な付き合い方とは?

コロナ禍で仕事や生活のスタイルが大きく変わり、心身へのマイナスの影響が心配されています。生理前後の体の不調を感じる女性が増えたという調査結果*もあり、元気に過ごすために女性ホルモンとの上手な付き合い方が注目されています。女性特有の悩みに寄り添うカウンセラーとして活躍中の西村留美さんに、ゴキゲンに過ごす秘訣についてお聞きしました。
*「コロナと働く女性の体調変化についての意識調査」(エムティーアイが運営するライフステージや女性の一生をサポートする健康情報サービス『ルナルナ』が2021年1月に実施)

株式会社エムティーアイのデータを基に作成

—— コロナ禍で人とリアルで会う機会が減り、おしゃべりを通して愚痴や悩みを共有したり、気軽にストレスを発散させる場所がないと感じている人が多いようにも思います。実際にカウンセリングに来る相談者の方々の悩みに変化はありますか?

女性ホルモンにかかわる部分では、生理に伴う心や体の不調、PMS(月経前症候群)に悩む人が増えたように感じています。多くの方は、オンラインで仕事ができる環境が整ったことで、家にいる時間が増えていますよね。忙しく働いていた時よりも、体はゆっくりできているのだけれども、精神面でのちょっとした不調や異変を感じている人が少なくありません。

PMSに悩む方の中では精神的な不調が背景にあるように見受けられるケースが増えています。日常生活でのストレスや将来に対する不安が、PMSを引き起こしている面があるのではないかと思います。コロナ禍で仕事がお休みになったり給与が減ったりしているなどの、経済的なマイナス面での変化も、変化の要素として考えられますね。

西村留美さんへのオンライン取材の様子

—— 相談者の方々のお話を通して、女性の「生理」の悩みにはどのような変化が起きていると思いますか? 西村さん自身の経験も踏まえて教えてください。

生理不順や生理痛といった症状の悩みや、イライラや痛みそのものをなくすということだけでなく、仕事や恋愛など、生理だけではなく人生全般に関わる悩みを抱えている方が増えてきています。特に、女性のキャリア形成と出産に関わる悩みが確実に増えています。

最近相談に来る方々は、PMSをはじめ、生理についてある程度の知識をお持ちです。18年前に私自身が20歳で生理前の心や体の不調で悩んでいたころは、PMSの存在すら知らなかったので、最近は生理やPMSについての情報にアクセスしやすくなっていることを実感しています。私自身は、いろいろ調べてようやく25歳の時にPMSという言葉にたどりつきました。そのときに心身の変化が女性ホルモンの影響を受けていることを知り、女性ホルモンとの付き合い方を見直しました。食事や睡眠など生活習慣の改善にも取り組み、現在も意識しています。また、生理など女性ホルモンの波に合わせて、仕事量なども調整するようにしています。

—— ご著書「女子のうつ」の中で、「自分の良さを自分が認めてあげられていないので、ステイタスのある人を彼氏にしたら自分の価値が上がると思っている」といったタイプの女性が出てきました。言語化されるとちょっとギクリとしますが、こういう経験をしたり、見聞きしたことがある人は多いんじゃないかと思います。特にSNS時代においては、スマホで友人や知人の見栄えのする生活やシーンを目にすることも多いので、いわゆる「自己肯定感」を刺激される機会が昔より格段に増えたと感じます。自己肯定感が低いと感じている人に向けて、心の持ち方や考え方について伝えていることはありますか?

自己肯定感は、育ってきた環境と大きく関係すると考えています。家族構成、親やきょうだいとの関係性、学校での経験など多様です。こういった過去の出来事を今から変えることはもちろんできないので、大人になってからの、今の自分をどう大切にしていけるか、ということが大切だと思います。自己肯定感の低い人は、評価を人任せにする傾向があります。一例ですが、小学生時代の経験から、親に認めてもらうためにはテストで100点を取らないとダメなんだ!と思いこんだまま、今も過ごしている方もいらっしゃいます。そういった方には、まずは自分自身の状態を認識して、自分の人生は人から評価されるためにあるのだろうか?ということを、じっくり考えてみてほしいです。

人目を気にして仕事している自分に気づいたとして、その後にすぐ「ああ、大人なのに人目を気にしすぎて働いている自分、なんてダメなんだろう」と考えるのが、自己肯定感の低い人によくあるパターンです。人目を気にしていても、それが仕事のいいモチベーションになっていれば、別に問題ないのです。そもそも、自分の一面を「良い」「悪い」のどちらかでジャッジする必要もありません。尊敬している人や好きな人を思い浮かべて、「あの人だったらどうするかな?」と考えてみるのもオススメです。

相談者の中には、自信を持って「自分を好き」と言えず、自分にバツ印をつけている方がいらっしゃいます。そんな方に「健康的な食事をとるよう意識してください」と言っても、なかなか簡単ではありません。自分を好きになれなければ、自分のことを大切に出来ないからです。PMSには、食生活をはじめとした生活習慣や性格も関係していると言われているので、まずは自分自身を好きになって大切にすることから、健康づくりが始まると伝えています。

—— ご著書の中で、パートナーへの不満をため込んで、思ってもいないのにいきなり別れ話を切り出してしまう女性も出てきました。大小の違いはありながら、似たような経験をしたことがある人は少なくないのではと思います。パートナーとの関係性で、意識すべきことがあれば教えてください。

パートナーとの不和の原因のほとんどは、「こうあってほしい」「こう対応してほしい」といった相手に対する期待と現実のズレです。ありのままの自分を受け入れてほしければ、ありのままの相手を認めることが大切です。いつも自分の期待通りに動いてくれる人を求めるよりも「この人だから好きになったんだ」とありのままの相手を丸ごと好きになる方が素敵ですよね。

「女性は感情的な生き物」とネガティブな意味で言われることもありますが、女性特有のホルモンの波は女性らしさの象徴だと考えています。「自立する」とはどういうことなのかを考えたとき、自分の人生に責任を持って、自分の機嫌を自分でとれることだと私は思っています。自分を幸せにできるのは、自分なんですよね。なので、自分の感情を相手に委ねないことが大切です。何が起きても、感情は自分で選べるということです。

また、男女には違いがあることを前提にコミュニケーションをとることも重要です。大切な人だからこそ「女性はホルモンの影響で、気分の浮き沈みがあることが多い」ということを、冷静に話せるタイミングで伝えるのがいいと思います。「生理前にイライラするときがあるんだ」みたいに言っておくのもよいでしょう。

他にも、相手と良好なコミュニケーションをとるために「I(アイ)メッセージ」という方法もあります。「あなたが〇〇をした」「あなたが〇〇と言った」という言い方ではなく、「私はこう感じた」「私はこう思った」といった形で、素直に自分が感じたことを伝えると、相手を攻撃せずに良好な人間関係を築きやすくなります。

—— 「アイメッセージ」を意識すると、コミュニケーションがしやすくなりそうですね。最後に、若い女性に向けたメッセージをいただけますか。

幸せになることに貪欲になりましょう!とお伝えしたいです。仕事も結婚も出産も、自分が望むのならば、あきらめる必要はありません。遠慮せずに、ぜいたくに人生を謳歌してほしいです。自分が幸せになることが、家族や周りの人たちの幸せにつながると信じて、ご機嫌に過ごしてほしいなと思います。(聞き手:読売新聞広告局 鈴木爽子 長谷川明日香)

女性ホルモン専門家
西村 留美(にしむら・るみ)
14年間セラピストとして、人の身体や心をケアする仕事に従事。不安や無気力、イライラといったPMS症状に悩んだ20代の経験をきっかけに、 女性ホルモン専門家となる。「女性が社会で生きていくためには女性ホルモンとうまく付き合うスキルが必要」との考えのもと、カウンセリングやセミナーを通して女性ホルモンが心身に与える影響や生理の大切さを伝えるために活動中。HP:https://natural-harmony.jp/

※肩書等は取材時のものになります。