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企画・制作 読売新聞社ビジネス局

【座談会】物流革新で創り出す持続可能な社会 2024年問題【座談会】物流革新で創り出す持続可能な社会 2024年問題

[参加者] 

トラック運転手の人手不足などによる輸送力の低下が心配されている物流の2024年問題。その現状や対策、さらには重要な社会インフラである物流を持続的に成長させていくための課題などについて、学識経験者や国、事業者に聞いた。

消費者・荷主も意識改革を

平井氏
問題の解決には、物流事業者だけでなく、消費者や荷主にも求められているものがあると思いますが。
二村教授
まず、消費者には物流に対する理解が必要です。運転手の労働環境の改善などに伴いコスト増になっても、業界の努力だけで吸収しきれない分は、仕方ないものと理解してほしい。また、荷主は物流リスクを自分のことと捉え、荷主同士や物流事業者との連携に努めてもらいたいですね。
平井氏
消費者や荷主に対しての政府の取り組みを教えてください。
深瀬昌弘氏
鶴田局長
ゆとりある日時や在宅日時の配送指定といった選択をした消費者にポイントを還元するなど、EC事業者と一緒に再配達を減らすシステムの構築に取り組んでいます。消費者は物流の中で直接・間接の力を持っています。その意識が変われば影響は大きいです。
平井氏
荷主として、どんな取り組みをしていますか。
深瀬部長
経験と勘に頼っていた配送コースの作成を一部エリアで配車支援システムの活用により自動化しました。これにより、効率的なコース設定ができるようになり、配送時間や走行距離の大幅短縮、運転手の労働時間の適正化が図れています。納品時間が変わって、店舗様にご迷惑をおかけする場合もありますが、2024年問題が新聞などに出るようになり、以前よりはご理解いただけるようになりました。
二村社長
積載効率を上げるため、共同輸送の相手をマッチングするサービスを、2021年に始めました。多くの荷主が課題を感じていた問題で、現在、23業種の約200社が利用しています。

日本パレットレンタルが提供するサービスの詳細はこちらから

平井氏
私も、確実に受け取れる時間に配達の設定をしたり、置き配を利用したりしていますが、もっと踏み込んで、モーダルシフトといった企業の取り組みを商品選びの材料にできるようになれば、社会全体で良い方向へ進めるのではないかと思います。
二村教授
鉄道や船舶輸送を活用したことを示す「エコレールマーク」や「エコシップマーク」というものがあります。おっしゃる通り、消費者がそうしたマークを見て、商品を選ぶようになると、世の中が一歩進むような気がします。
「エコレールマーク」「エコシップマーク」輸送で一定割合以上、鉄道や船舶を利用している 企業や商品が表示できるマーク

持続可能な物流を目指して

平井理央氏
平井氏
最後に、物流の課題を一過性のもので終わらせず、2024年問題を契機に持続的な成長に向けて取り組んでいくためにどうすればいいか、考えをお聞かせください。
泰地取締役
他業種との連携で物流の担い手を確保することは、まだまだ可能です。当社は、読売新聞とEC商品の配送を共同で行っています。我々が集荷した荷物を新聞の配達網を活用して皆様にお届けしており、その数は1都3県で1日1万個に上ります。地域を知り尽くした販売店スタッフだからできるきめ細かな対応に、荷主やお客様から大変高い評価をいただいています。今後も全国に配送網を広げていきたいと考えています。
また、環境対策も社会的責任を果たすうえでは不可欠です。野田市の物流センターでは屋根の太陽光発電で動力をすべてまかなっており、EV(電気自動車)トラックを2024年100台、25年は300台導入する予定です。(EC野田瀬戸物流センターに関する詳細はこちらから
二村社長
日本が物流の危機を乗り越えた時に、これから高齢化を迎える国々に輸出できるぐらい素晴らしい仕組みやサービスを作るつもりで取り組むことが必要だと思います。
深瀬部長
営業面では他社はライバルですが、物流の面では互いにうまく協力することが、物流の足を守り続けることになり、持続的な安定物流のポイントになると思います。モーダルシフト、中継点を活用した配送ルートの効率化もそうですが、パン以外の商品を一緒に配送する共同配送も積載率の向上や安定供給という面でも非常に大切だと考えます。
平井氏
物流の専門家として、行政や事業者、消費者に期待することは何でしょうか。
二村教授
物流は円滑な経済活動に不可欠であり、持続可能でなければなりません。商習慣を見直すには公的なルール作りや指導が必要です。国には、短期的政策と中長期的政策を両にらみでやってもらいたいし、関係者は、標準的運賃などが政策で示されたら交渉を試みてほしい。また、荷主や消費者には物流の現状を理解してもらいたいです。
平井氏
物流の持続的成長に関する行政の取り組みを教えてください。
鶴田局長
新しい物流を作る、創造的な活動を始めるという認識を広めて、2024年を「物流革新元年」にしたいと思っています。社会インフラである物流が効率化すると社会の生産性が上がる。つまり、物流の持続的成長は社会の持続的成長にもつながるのです。ピンチをチャンスに変えるという思いで取り組んでいきます。
平井氏
私は「2024年問題」という言葉で、初めて物流の問題を自分のこととして捉えるようになりました。東日本大震災で、電力についてもっと考えるようになったように、この問題を通して、我々がどんな物流を選んでいるのかを意識することが大切だと思いました。物流を理解し、より良い未来を作っていくために何ができるかを考えていきたいと改めて思いました。
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協力 

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