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オーロラのイエローナイフ
~「余計なもののない贅沢」を知る極北での時間~

極北の夜空に広がるオーロラの光 ©多賀茂里生
極北の夜空に広がるオーロラの光 ©多賀茂里生

 3泊いれば95%以上の確率でオーロラが見られるカナダ・ノースウエスト準州のイエローナイフ。この地の魅力は神秘の光だけではありません。わたしたちの日常は、もともとなかったはずの光や音に包まれています。白く輝く高層ビルや行き交い続ける車。でもイエローナイフでは漆黒や静寂、「余計なもののない贅沢」を感じることができるのです。
 イエローナイフは、巨大な磁石とも言うべき地球の北側「地磁気緯度」60~70度付近に広がる「オーロラベルト」の真下にあります。氷点下の闇の中で光の出現を待ちましょう。みんなが口をつぐみさえすれば、聞こえてくるのは自分の息づかいだけです。
 凍った湖面に立って夜空を見上げる人。座り込む人。あおむけに寝転んでいる人。余計な光に邪魔されることなく、オーロラはゆらゆら動いたりふわっと広がったり、緑、赤、紫とその色を変えたりします。

夜空と湖面の両方で光を放つ夏のオーロラ ©Tessa Macintosh
夜空と湖面の両方で光を放つ夏のオーロラ ©Tessa Macintosh

 澄んだ空と湿度の低さがオーロラ鑑賞に最適なイエローナイフでは、夏でもオーロラを楽しむことができます。夜空に広がるオーロラが鏡のような湖面に映りこむ光景を想像したら、落ち着いてなどいられません。車を走らせ夏オーロラを追う「オーロラハンティング」も人気です。
 ゴールドラッシュが起き、先住民の暮らす地にヨーロッパ系の人たちがやってきてイエローナイフの街が生まれました。だから今も、ノースウエスト準州の人口約45,000人の半分を先住民が占め、公用語は11にものぼります。ここは多様な民族、言語、文化を大切にしあう土地なのです。

雪上を歩くための先住民の知恵「スノーシュー」 ©NWT Tourism
雪上を歩くための先住民の知恵「スノーシュー」 ©NWT Tourism

 雪の上を歩くための「スノーシュー」や犬ぞりは先住民の知恵。凍った湖面の下に網を張って魚を獲る「アイス・フィッシング」も、先住民の真似をしているにすぎません。
 イエローナイフのヘリテージセンターでは、先住民のパン「バノック」とナチュラルハーブのお茶を楽しみながら、自然とともに生きてきた先住民の文化や歴史を知るティーセレモニーが行われてきました。コロナ終息を受けて再開されるのを願ってやみません。

   
凍った湖面が道路になる「アイス・ロード」 ©Destination Canada
凍った湖面が道路になる「アイス・ロード」 ©Destination Canada

 かつてゴールドラッシュが起きたこの地では今、ダイヤモンドが採掘されています。準州内の5つの鉱山の建材や備品は自然に返る素材のものが使われ、将来ダイヤを掘り尽くしたら土砂を埋め戻して元の姿にすることを前提に操業しています。イエローナイフでダイヤの原石を購入するというレアな体験もお勧めです。
 太古の昔から先住民が見てきたオーロラを今も同じように鑑賞できるのは、無駄な開発を避け、自然とともに生きてきたから。凍った湖面を道路にしてしまう「アイス・ロード」も、自然とともに生きる極北ならではの知恵でしょう。 わたしたちはまた、自由な旅を取り戻せるはずです。その時は「余計なもののない贅沢」を体感しに極北の地へと向かいませんか。
(文・ジャーナリスト平間俊行)

※カナダ観光局調べ

カナダ観光局「カナダシアター」ウェブサイトでは、カナダで「つながり」を体験できる新しい旅のスタイルを紹介しています。

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