眼科医療人の緊密なネットワークによって
高品質な治療・手術を全国各地で提供
年間で2万件近い手術を行っている眼科の専門集団がある。愛知県名古屋市の中京病院眼科を中核とする中京グループだ。医師や看護師などに高度な臨床教育を実施。要請があればベテラン医師を迅速に派遣する。それによって全国各地の連携病院を通して高品質な眼科医療をあまねく提供すると同時に、豊富な臨床データにもとづく様々な臨床研究も推進している。
中京グループ 会長
市川 一夫
いちかわ・かずお/1978年愛知医科大学医学科卒業。名古屋大学大学院医学研究科外科系眼科学修了。社会保険中央病院眼科医長、主任部長を経て94年に中京グループを設立。中京眼科視覚研究所所長、中京メディカル代表。
医療格差の解消に貢献する専門集団
中京グループは、JCHO中京病院の眼科を中核として、11道府県に36か所、海外でも2か所の連携医療機関を擁する。資本関係ではなく、眼科の専門集団による緊密な人的ネットワークが際立った特長だ。
会長の市川一夫医師は、「先輩の薫陶を守って新人医師の臨床教育に尽力しているうちに、次第に規模が拡大していったのです」と話す。先輩医師が後輩を育成し、その後輩が同じように次世代の若手を鍛える。海外留学も積極的に資金援助しており、そうしたリレーによって、他に例を見ない日本で唯一の眼科グループが誕生したのである。
現在のメンバーは、眼科医28人、看護師9人、視能訓練士15人。それぞれの分野で第一人者と呼ばれるベテランが揃っており、連携病院から要請があれば、出張して手術などを行う。特別な機器や入院が必要な場合は、逆に患者が設備の充実した中京病院眼科に来院することになる。地方と都市部の医療格差がしばしば問題になるが、連携病院であれば、あまねく高品質な眼科治療を受けられるのである。
「眼科の手術で最も多いのは老齢化による白内障。見えればいいというレベルなら白濁した水晶体を単焦点レンズに入れ替える一般的な手術で問題ありません。ただし、より見える状態を望むなら最先端の計測機器と眼科医の高度な技量が不可欠」と市川会長。少子化による人手不足などから、元気なシニアも定年延長で戦力として期待されているだけに、“より見える”視力が課題になりつつある。その意味でも、中京グループの専門家ネットワークの役割はますます重要になっていくはずだ。
また、豊富な臨床事例をベースにした多彩な研究活動も展開している。年間で2万件近い手術実績が眼科医をレベルアップ。それに惹かれて若い眼科医療人が集まり、やがて各地の病院に散じて貢献する。そんな好循環が、中京グループのエンジンになっているのである。
海外貢献で医療功労賞を受賞
そのエンジンを加速するガソリンともいえるのが、市川会長のエネルギッシュな活動だ。これまでの白内障手術は9万件にも達する。国内だけでなく、20年前から中国でも執刀。近年はベトナムなどでも診療しており、この実績から中国・大連とモンゴル・ウランバートルにも連携医療機関を持っている。
2019年3月には第47回医療功労賞を海外部門で受賞した。この賞は、発展途上国など厳しい医療環境のもとで長年にわたって顕著な功績を挙げた医療従事者を表彰する制度。「受賞を祝う会」で市川会長は、「中京グループは次世代の医療人を育てることが目標。後進に道を譲ろうかとも考えましたが、天皇陛下から激励をいただき、まだまだやめられないと決意を新たにしました」と挨拶。次の目標は白内障手術10万件と意気はますます軒昂だ。
中京グループの4つの特徴
より高品質な眼科医療を、より多数に提供するため、グループの総合力を活用した取り組みを行っている。
医療法人いさな会 中京眼科
独立行政法人地域医療機能推進機構・中京病院を核とする中京グループに属する。「緑内障外来」「網膜硝子体外来」を設置しており、日帰り硝子体手術で高い実績を誇る。愛知県名古屋市熱田区三本松町12-22
TEL.052-883-1543
https://www.chukyo-eyeclinic.jp/