医療法人社団英明会大西脳神経外科病院 : WEB併載企画病院の実力2020 : 読売新聞オンライン

救急搬送から、先進的治療、
回復期ケアまで包括的に取り組む

脳疾患に特化した専門病院として兵庫県東播磨地域で信頼されている大西脳神経外科病院。先進の「血管内治療」をはじめ患者にとって最善の治療が施される。予防から救急搬送、治療後まで綿密なケアがされている。

理事・院長・医務部長・脳神経外科主任部長・
回復期リハビリテーションセンター長

久我　純弘

くが・よしひろ／医学博士。近畿脊椎外科研究会世話人。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。

脳神経外科部長・脳血管内治療主任部長・
脳卒中センター長・地域連携部長

大西　宏之

おおにし・ひろゆき／医学博士。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。

脳神経外科部長・手術部長

髙橋　賢吉

たかはし・けんきち／医学博士。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。

「血管内治療」をはじめ、治癒効果重視の治療を実施

　兵庫県明石市、加古川市、神戸市西区周辺の人口約100万人の地域で、365日24時間体制で脳疾患治療を行っているのが大西脳神経外科病院だ。救急隊と連携し、搬送された患者が即座にＭＲＩで画像診断され、的確な治療が受けられるとあって地域住民からの信頼を得ている。
　脳卒中治療では「血管内治療」の進展がめざましい。体内にカテーテルを入れ詰まった血管を回収する血栓回収術、コイルやステントなどの治療具を入れて動脈瘤の破裂を未然に防ぐ脳動脈瘤塞栓術などがある。
　同院では日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医5名が年間で約300件（2019年1月～12月）の症例を担当する。脳血管内治療科主任部長の大西宏之医師は、「血管内治療は患者さんの体の負担が少ないこともあり、今後ますます増えていくでしょう。当院では2020年春、新型の血管撮影装置（※）を取り入れさらに治療の質を高めたいと考えています」と語る。
　先進の治療法として血管にステントを入れ動脈瘤を血栓化するフローダイバーステント治療が注目されているが、留置に技術を要するため、治療する医師は限定されている。同院には、この治療が可能な医師が在籍している。もちろん、従来の開頭クリッピング手術の方が適している症例もあり、同院では医師団が合議で検討し、より安全で、治療効果を重視した治療法を選択する。
　手術部長の髙橋賢吉医師は、「開頭手術と血管内治療、すべての治療を高いレベルで行えるのが当院の強みです。動脈瘤治療では症例によってはカテーテルを2本使ってコイルを絡めながら塞栓する『ダブルカテーテルテクニック』を実施し、あえてステントを使用せず服薬を減らす治療を行うことも。最善の治療を選択するのが当院の理念です」と言う。

ARTIS icono D-Spin 2020年春に導入する新型の血管撮影装置。最大の特長は、診断と治療が同時進行できること。高度で複雑な救急医療の現場で必要とされる、動き、スピード、精度、画質、操作性を高次元で融合し、高い汎用性を提供することで、治療成績の向上が期待される。

予防からリハビリを経て再発防止まで包括的に見守る

　脳卒中は術後のリハビリも重要だ。同院では、2017年に手術後の回復をケアするため回復期31床を新設、早期リハビリからリハビリ期への橋渡しをして患者を見守る。退院後も定期検診を丁寧に行い、栄養指導、生活習慣指導などを合わせたアフターフォローをキメ細かく実施している。
　脳卒中は特に予防が重要な疾患だ。同院では市民講座を開催したり、地域の小学校で啓発授業をするなどして、脳卒中にならないための対策を訴える。
　院長の久我純弘医師は、「予防から救急搬送、早期治療、リハビリを経て患者さんが自宅に戻るまで、さらに外来で、再発や合併症の予防までも見守ります。当院は脳の疾患のすべてをフォローできる病院だと自負しています」と語る。