アットホームな地域病院でありながら、
大学病院並みの先進治療を実践
迅速、かつ的確な治療が生命予後を左右する脳卒中。脳神経外科東横浜病院副院長の郭樟吾医師は、選りすぐりのメディカルチームを率い、24時間365日体制で救急搬送を受入れ、地域住民の「脳(=命)」を守っている。現場の詳細を取材した。
理事・副院長
郭 樟吾
かく・しょうご/2001年 東京慈恵会医科大学卒業。独立行政法人国立病院機構横浜医療センターなどを経て2018年より現職。東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座非常勤講師を兼任。医学博士。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。
脳卒中にハイブリッド治療で対処する
政令都市・横浜のちょうど中央に位置する脳神経外科東横浜病院。理事で副院長の郭樟吾氏は「地の利を生かし、市内の脳卒中撲滅を目指します」と抱負を語る。医療法人社団名は「のう救会」。昭和61年の開院以来“患者さんの脳(=命)を救う”ことが医療スタッフ全員の願いだ。
「当院の一番の特徴は、開頭による外科手術と、脳血管内治療を使い分ける二刀流=ハイブリッド治療を提供できることです。まず脳外科医として臨床と解剖学的知識を身に付けた上で、新しい血管内治療の研鑽を積んだ医師が揃っています」
郭医師自身も母校の東京慈恵会医科大学脳神経外科で非常勤講師を兼任しており、外科的治療と血管内治療を指導する立場にある脳卒中治療オールマイティ。先進的な治療の師事を願い病院に入職する若手医師も少なくない。
「ハイブリッド治療適応の筆頭は、くも膜下出血の原因となる未破裂動脈瘤の予防的手術でしょう。開頭のクリッピング術か、血管内治療のコイル塞栓術か。一長一短ありますが、私はコブの状態を見極めた上、長年の経験から患者さんにとってベストと思う選択肢を示し、家族も含め納得いくまで説明します。その方の10年20年後の人生を見据え、治療に責任を持つ。それが医師の仕事であり誇りです」
一方、脳動脈に血栓が詰まり、神経細胞が壊死する脳梗塞の治療では、カテーテルを用いる「血栓回収術」に力を入れている。
「吸引ポンプ式のペナンプラ、ステントでからめとるソリティアやトレボ、両タイプを併用するコンバイン式などデバイスが進化してきました。血栓のタイプに合わせて治療計画を立て、使い分けることが肝要です」
血管の再開確率は90%以上。決して妥協を許さない、患者第一の姿勢が生んだ成果であろう。
医師、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床工学技士、理学療法士、管理栄養士、社会福祉士、医療事務職による一糸乱れぬチーム医療を実践。 |
当院の特長はCTファースト。画像診断はMRIだけでなく、脳の血流をリアルタイムの3D画像で把握できる新型CTを積極的に活用。 |
医師、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床工学技士、理学療法士、管理栄養士、社会福祉士、医療事務職による一糸乱れぬチーム医療を実践。 |
当院の特長はCTファースト。画像診断はMRIだけでなく、脳の血流をリアルタイムの3D画像で把握できる新型CTを積極的に活用。 |
スタッフが一丸となり地域医療に貢献
それを支えるのは6名の脳神経外科医に、看護師、薬剤師、放射線技師、検査技師、臨床工学技士、理学療法士、管理栄養士、社会福祉士、医療事務職の一糸乱れぬチーム医療だ。
「当院は年間約3000台(2019年1月~12月)の救急車を、断ることなく24時間365日体制で受け入れています。脳卒中は時間との勝負。脳の血流をリアルタイムの3D画像で把握できる新型CTで診断。病院到着から最短で10分以内には、手術をスタートできます」 術後はSCU(脳卒中ケアユニット)へ。翌日から理学療法士による超早期リハビリが開始され、嚥下機能改善と口腔ケアのために、歯科医師と歯科衛生士、言語聴覚士も参画。患者の社会復帰への基礎固めが始まる。
「患者さんの生活拠点である地域の医療従事者との連携も欠かせません。救急隊との信頼関係構築のため、年数回の救急医療講座も開催しています」
脳卒中の予防・再発防止には、原因疾患となる糖尿病や脂質異常症、高血圧など生活習慣病の治療が必須。担い手となる地元の診療所とも密な交流を図り、切れ目のない医療を提供する。
「地域のニーズに対応して、脊髄脊椎疾患の治療も開始しました。脳の中枢神経は背骨の中の脊髄神経に繋がっており、首・腰・四肢の痛みやしびれ、麻痺に対処する両輪となります」
東京慈恵会医科大学で脊髄外科学を指導している医師を招聘し、高度な手術が可能となった。地域の期待は益々高まっている。
郭 水泳
■病院長
岩本 哲明
■診療受付時間
9:00-11:30/14:00-16:30 ■休診日
水・日・祝日
急患は24時間365日診療可能