大学病院やがんセンターと協力して、
質の高い泌尿器科治療を推進
写真右から、山崎智也医師、堀俊介医師、大槻英男医師、藤尾圭医師、
三木淳医師、児島宏典医師、松井幸英医師。
腎臓や尿管、膀胱、前立腺など「尿路」の疾患を扱うのが泌尿器科だが、この分野で高い実績を挙げているのが我孫子東邦病院だ。千葉県の民間病院では最初に手術支援ロボット「ダビンチ」を導入し、前立腺がんに対する低侵襲手術を行っている。また、腎臓・尿管結石や前立腺肥大症には内視鏡レーザー手術を積極的に実施。2020年4月には手術室を増設し、地域の医療機関と連携しながら、患者の身体的負担が軽く、質の高い治療を推進していく。
理事長
藤尾 圭
ふじお・けい/2005年東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター大森病院、岡山大学病院、我孫子東邦病院、岡山大学病院泌尿器科助教などを経て、16年我孫子東邦病院副院長、18年8月から現職。医学博士(岡山大学博甲)。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。
東京慈恵会医科大学附属柏病院
泌尿器科診療部長・准教授
三木 淳
みき・じゅん/1998年東京慈恵会医科大学卒業。2004年米国メリーランド州CPDR(Center for Prostate Disease Research=前立腺疾患研究センター)にて博士研究員、07年東京慈恵会医科大学附属病院泌尿器科診療員、12年同大学附属柏病院泌尿器科診療員、同院同科講師・准教授をへて、18年4月から診療部長。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。
副院長・泌尿器科診療部長
大槻 英男
おおつき・ひでお/2001年防衛医科大学校卒業。防衛医科大学病院泌尿器科レジデント、陸上自衛隊衛生隊、長久保病院泌尿器科などを経て、14年8月から現職。医学博士。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。日本透析医学会認定透析専門医。
ロボット手術は年間144例 熟練したスタッフが担当
ロボット手術は2018年4月から肺がんや胃がんなども保険適用になったが、日本で最初に認められたのは前立腺がんであり、我孫子東邦病院では早期からこの手術を行なってきた。
「前立腺がん全摘術のロボット手術が保険適用になったのは2012年4月で、当院では同時期から実施。以来、年間50例ベースで推移してきましたが、昨年は年間144例(2019年1月~12月)を超えました。これも当院の『泌尿器科に強い病院』であることが認知されてきた証だと、光栄に感じています」と理事長であり泌尿器科専門医の藤尾圭医師は話す。
現在、同院の泌尿器科には6名という多数の常勤医が在籍しているが、医師だけでなくロボット手術の経験が豊富な看護師や臨床工学技士などのコメディカルスタッフが充実していることも強みといえる。
「ロボット手術にかかわるスタッフはベテランばかりなので、準備段階から万全を期しており、非常にスムーズに手術を進めることができるのです」(藤尾医師)
単にロボット手術を得意としているだけでなく、地域の病院や診療所と協力して、一人ひとりの患者に合った治療に取り組んでいることも特徴だ。中でも東京慈恵会医科大学附属柏病院(以下、慈恵医大柏病院)の泌尿器科とは密接に連携しており、同科診療部長で准教授の三木淳医師を中心に慈恵医大の医師が我孫子東邦病院でロボット手術を行うことも多い。
「ロボット手術は我孫子東邦病院で行いますが、手術前後に化学療法や放射線治療が必要な場合は、慈恵医大柏病院で行うこともあります。このように大学病院と専門領域に特化した地域の病院が連携して、患者さんにとって最も効果があり、身体的な負担が少ない治療を提供できるように尽力しています」(三木医師)
ちなみに、我孫子東邦病院と慈恵医大柏病院はクルマで15分の距離だ。このため、医師が頻繁に行き来しており、例えば、慈恵医大柏病院の患者が我孫子東邦病院で手術を受ける際は、2施設の医師が共にカンファレンスや病棟回診、外来診療を行うなど連携し、患者が安心できるように精神面も丁寧にフォローしている。
膀胱がん全摘手術など大学病院並みの治療も実施
三木医師はロボット手術以外にも、腹腔鏡手術を得意としており、特に泌尿器科領域のなかでも複雑とされる膀胱がん全摘出手術に実績がある。
「膀胱がんが進行すると、膀胱を切除しなくてはなりません。その場合、腸を使って代わりになる臓器を作るのですが、これが非常に緻密で難しいのです。私はこの手術を年間20例(2019年1月~12月)実施していますが、我孫子東邦病院でも行っており、多くの患者さんに満足していただいていると思います」(三木医師)
今春に手術室を増設して、骨盤臓器脱の治療をスタート
このように質の高い先進的な治療を行っている我孫子東邦病院泌尿器科だが、2020年4月には手術室を増やして「さらに充実した環境を整える」と藤尾理事長は言う。
「新手術室には『ダビンチ』を常設しますので、ロボット手術を1日2例以上行うことが容易になります。今後は、骨盤臓器脱にも対応していく方針です」
骨盤臓器脱とは女性特有の病気であり、骨盤内部の筋肉や支持組織が衰えることによって、子宮や膀胱、腸などが本来の位置から垂れてきて、膣から外に脱出する病気だ。命にかかわることはないが、尿漏れや排尿障害を引き起こすなどQOL (生活の質)を著しく低下させてしまうため専門的な治療が必要となる。
「骨盤臓器脱は出産経験のある高齢の方に多いのですが、そのままでも生活できるので、治せることを知らない方もまだまだ多いのが実状。ですから公開セミナーなどを通じて、啓蒙していくことから始めたいと考えています」(藤尾医師)
激痛を伴う結石には内視鏡レーザー手術で対応
泌尿器科の病気として多いのは、腎臓結石や尿管結石、前立腺肥大症などだ。同院では、いずれもメスを使わない患者にやさしい治療を行ってきた。
たとえば尿路結石には、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や尿道から細い内視鏡を挿入してレーザーを照射する「経尿道的結石破砕術」(TUL)を実施している。
「3㎝程度までの尿路結石ではTULを行います(入院は4日程度)。3㎝以上の大きな結石には、腰から腎臓に直接アプローチする方法とTULを併用する『ECIRS』も行い、一人一人の患者さんにベストな治療を提供します。」(副院長兼泌尿器科診療部長の大槻英男医師)
前立腺肥大症にも尿道から内視鏡を通してレーザーを照射する「ホルミウムレーザー前立腺核出術」(HoLEP)を行っている。レーザーで肥大した組織を核出して回収するもので、出血や痛みが少なく、入院期間も1週間程度で済む。
「高齢化が急速に進む中で、患者さんの身体的負担が少ない治療は泌尿器科に限らず、すべての診療科で重視されていますが、当院では積極的に実施しています。加えて、慈恵医大柏病院をはじめとして、国立がん研究センター東病院など地域の医療機関と密接に連携しながら、先進的な医療にも取り組んでいきたいと考えています」(藤尾医師)
■腎臓・尿管結石には「TUL」、前立腺肥大症には「HoLEP」。泌尿器内視鏡レーザー手術を積極的に実施。 |
■腎臓・尿管結石には「TUL」、前立腺肥大症には「HoLEP」。泌尿器内視鏡レーザー手術を積極的に実施。 |
院長・外科診療部長 大城 充おおしろ・みつる/1988年東邦大学医学部卒業。同大学医療センター佐倉病院外科などを経て、2017年から現職。 手術室の増設など、泌尿器科を中心に、さらなる進化を目指す 当院は、地域の皆様から「泌尿器に特化した病院」として知られるようになってきましたが、患者様の増加に伴い、新しい手術室を増設することになりました。 |
医療法人社団 太公会 我孫子東邦病院
〒270-1166千葉県我孫子市我孫子1851-1
TEL.04-7182-8166
FAX.04-7182-2905
https://www.abikotoho.org/
平日 9:00~12:00 / 14:00~17:00
土曜 9:00~12:00
■休診日
日曜・祝日・土曜午後
■診療科目
泌尿器科・泌尿器科(男性不妊治療)・腎臓内科・内科・外科・整形外科・形成外科・リハビリテーション科・麻酔科(菊地博達)・婦人科・循環器内科・消化器外科・消化器内科・脳神経外科・ペインクリニック外科