先進的な医療に取り組みながら
次代の医療を担う人材を育成
総長
東上 震一
病院長
尾野 亘
海外から日本に渡航して高度な医療や検査を受ける「メディカルツーリズム」が注目されている。岸和田徳洲会病院では、2016年にJMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)を取得。さらに、2018年12月には国際的な医療機関認証であるJCIも獲得し、医療の質と安全について、グローバルに通用するお墨付きを得た。
「当院ではソフトとハードの両面で、質の高い医療を追求してきました。それが国際的に認められたのは光栄なこと。今後も病院運営の一つの指針にしたい」(東上総長)
「すでに日本の病院機能評価の認証も得ていますが、JCIのほうがチェック項目が1300もあるなど、詳細で厳しいのです。3年ごとに更新テストがあるのですが、徳洲会グループでは8施設がこの認証を得ているため、ノウハウを共有しながら、活用していく方針です」(尾野院長)
“365日24時間、患者を断らない病院”として、救急救命センターを開設。年間9400例の救急搬送を受け入れているほか、現場に直行する医師や看護師、救急救命士が常に待機している。2020年4月には新型のドクターカーを導入して、現場での迅速な治療が可能になる。また、同院の屋上にはヘリポートもあり、他県からの要請に対応。尾野院長は、「災害発生時を含めた救急医療は当院の主軸。これに離島・僻地医療、がんを含めた地域医療を3本柱にする」と抱負を語る。
また、医学部卒業後の臨床研修施設などでも、人材育成に力を注いでいる。
「心臓血管外科や消化器内科を中心に、当院を希望する研修医は多くいますが、技術だけでなく、医療人としての心構えを伝えていきたい」(尾野院長)
「患者さんのために、その能力を惜しみなく最大限に発揮できる、志を持った医師を育成していきたいですね」(東上総長)
ロボット手術やTAVIなど先進的な技術を積極的に導入している岸和田徳洲会病院だが、今後も患者にやさしい、高度な医療サービスを提供していく。
“断らない医療”を実践している救命救急センター。新型ドクターカーを今春に追加。 |
心臓血管外科では、累計9000例以上の手術を行ってきた。 |
大動脈弁狭窄症に対するTAVIなど、身体的負担の軽いカテーテル治療も実施。 |
ドクターヘリが発着するヘリポートを2015年に開設。 |
“断らない医療”を実践している救命救急センター。新型ドクターカーを今春に追加。 |
心臓血管外科では、累計9000例以上の手術を行ってきた。 |
大動脈弁狭窄症に対するTAVIなど、身体的負担の軽いカテーテル治療も実施。 |
ドクターヘリが発着するヘリポートを2015年に開設。 |
医療法人 徳洲会 岸和田徳洲会病院
〒596-8522大阪府岸和田市加守町4-27-1
TEL.072-445-9915(代表)
FAX.072-445-9791
https://kishiwada.tokushukai.or.jp/
●南海電鉄南海本線「春木駅」より徒歩8分
●阪神高速「岸和田北IC」より3.6㎞
●阪和自動車道「岸和田和泉IC」より8㎞
■診療科目
内科/消化器内科/循環器内科/神経内科/外科/整形外科/形成外科/脳神経外科/心臓血管外科/産婦人科/小児科/皮膚科/泌尿器科/耳鼻咽喉科/眼科/歯科口腔外科/放射線科/麻酔科(大前典昭・佐谷誠・高木治・武貞博治)/病理診断科/人工透析内科/リハビリテーション科/救急科
医療の質と安全性を認証するJCIを獲得。
“生命だけは平等だ”の理念を徹底的に実践。
徳洲会グループは1973年に開院した徳田病院から始まり、全国で102にも及ぶ病院やクリニックを設置している。このうち3番目の病院として77年に誕生したのが、岸和田徳洲会病院だ。昨年9月に院長が代わり、新院長に尾野亘医師が就任。前任の東上震一医師は総長となった。それぞれに現在取り組んでいる先進的な治療と抱負を聞いた。
総長
東上 震一
ひがしうえ・しんいち/1954年生まれ。80年和歌山県立医科大学卒業。和歌山県立医大附属病院臨床研修医を経て、82年同病院胸部外科入局。90年岸和田徳洲会病院心臓血管外科部長、2002年同副院長、06年から現職。2016年6月から徳洲会副理事長を兼任。
ステントグラフトで補強する大動脈の形成手術を開発中
東上震一医師は2006年から約13年間にわたって院長を務めてきたが、2019年9月1日、総長に就任。徳洲会グループの副理事長も兼任しているため、同グループと岸和田病院の連携も主要な仕事となる。また、担当する心臓血管外科では9000例もの手術数を積み重ねてきたが、この分野は後任の畔栁智司主任部長が引き継いでいる。
「これまでは心筋梗塞に対処したバイパス手術など、メスによる手術を主に行ってきましたが、今後は大動脈弁狭窄症に行うTAVIなどのカテーテルを使用する、いわゆる内科的な手術も積極的に行う予定です」(東上総長、以下同)
中でも、大動脈解離はサイレントキラーと呼ばれ、ある日突然大動脈が裂ける病気であり、死に至るケースも少なくない。緊急治療として、破れた血管の部位にステントグラフトを挿入する手術を行うのが一般的だが、そこに新しい技術を追加した。
「大動脈解離が起きた血管は発生した場所以外にも、血管の中に空洞ができていて破れやすくなっており、再発することが多い。このため、急性期の治療の後、病状が安定した頃に大動脈全体をステントグラフトで補強する『全大動脈形成術』を実施しています。いわば、究極の完治を目指す治療。薦岡成年医師が中心に取り組んでおり、学会発表も行っています」
がん治療など患者目線の医療を徹底
院長として、手術支援ロボット『ダビンチ』を導入するなど、院内の充実を図ってきたが、今後は、総長として、病院と社会の双方に目配りしながら、今日的な医療を実践していく。
「たとえば、がんは、昔は入院と手術が必要でしたが、現在では化学療法や放射線であれば、通院で済むようになった。こうした現状に対して専門外来を設けるなど、現代の進ん だ医療を患者さんの視点に立って、より便利に、快適に受けていただけるようにしたい。改革・改善がスピーディーに行えることも当院の際立った特長なのです」と力強く語った。
■外科手術と内科的治療が可能なハイブリッド手術室で行う「ステントグラフト挿入術」。 |
■手術支援ロボット「ダビンチ」による前立腺がん摘出手術を実施。今後はほかの外科手術にも使用するという。 |
■「ステントグラフト治療を用いた大動脈形成術」実施後の大動脈。 |
■外科手術と内科的治療が可能なハイブリッド手術室で行う「ステントグラフト挿入術」。 |
■手術支援ロボット「ダビンチ」による前立腺がん摘出手術を実施。今後はほかの外科手術にも使用するという。 |
■「ステントグラフト治療を用いた大動脈形成術」実施後の大動脈。 |
病院長
尾野 亘
おの・わたる/1971年生まれ。95年奈良県立医科大学卒業。2001年から岸和田徳洲会病院消化器内科勤務。2019年4月岸和田徳洲会病院消化器内科部長兼副院長。同年9月から現職。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定消化器病専門医。
奄美大島での経験から離島医療に取り組む
2019年9月に新院長に着任した尾野亘医師は、約18年前の2001年に岸和田徳洲会病院に赴任。奄美大島に派遣されて、1年間を過ごした。このときの経験から、離島医療の大切さを痛感して、医師を定期的に送り出す体制作りを行ってきた。
「“生命だけは平等だ”が徳洲会 グループの理念ですが、実際に奄美大島で働いてみると、人員が圧倒的に足りないという現状を目の当たりにして愕然としました。これを根本から解決するために、病院全体に定期的に医師を派遣する体制作りが必要だと考えました」(尾野院長、以下同)
現在では、尾野院長が所属する岸和田徳洲会病院消化器内科には27人の医師が所属しており、うち約10人が日本各地の離島や僻地に派遣されている。
「病気で困っている人が治療を受けるために都会に出てくるのではなく、医師が現地に行くというのがあるべき姿だと思うのです。当初は私が派遣する医師の人選やスケジュールなどを管理してきましたが、現在は内視鏡センター主任部長の井上太郎が担当しており、私も院長としてバックアップしております」
全国でも希な小腸内視鏡も実施
同院消化器内科では、胃がんや大腸がんを内視鏡で摘出するESDも年間424例行っているが、ほかにも先進の内視鏡治療を実施。その一つは潰瘍性大腸炎やクローン病の治療だ。
「どちらも治療の過程で小腸がふさがってしまうことがあります。そこで塞がった腸管を拡張させるバルーン(風船)を内視鏡操作によって挿入するのです。小腸内視鏡を実施している病院は希少ですから、当院には西日本全域から患者がいらっしゃっております」 膵臓や胆道など身体の奥にある臓器を診察する「超音波付き内視鏡検査」も導入。主にがんを対象としており、超音波エコーを備えた内視鏡を胃や十二指腸に挿入して壁越しにエコーで観察しながら、先端に針を備えた器具を挿入して組織を採取するという。
「膵臓がんは発見が非常に難しいだけでなく、わずか1センチの腫瘍でも肝臓に転移していることがあるのです。この超音波付き内視鏡であれば、ミリ単位の小さながんを見つけることができる。担当しているのは滝原浩守医師で、徳洲会グループの中では、最多の実績を持っています」
岸和田徳洲会病院は、このように心臓外科だけでなく、消化器内科でもハイレベルの治療を実施。さらに年180回もの公開医療講演を行い、予防医療への意識を高める啓蒙活動にも力を注いでいる。
「院長として、救急、離島・僻地医療、がんを含めた地域医療を3本柱に進めていく」と話す尾野院長。誰もが公平な医療を迅速に受けられるという理想に向かって、邁進していく。
救命救急センター
新ドクターカーが2020年4月から稼働。消防署と同時に現場へ向かい、迅速な治療を実施
365日24時間の医療サービスを提供するのが岸和田徳洲会病院の理念であり、それを象徴するのが救命救急センターといえます。救急搬送の受け入れは年間9400件ほどですが、2020年4月からは新しいドクターカーになり、より早い医療介入が可能になります。
たとえば、高齢者が自宅で倒れていたとします。発見した家族が消防署に通報して、消防署の局員が救急車を手配すると同時に当院にもドクターカーの要請が入り、医師と看護師、救急救命士が現場に向かい、患者に必要な医療を行うのです。従来のドクターカーは、搬送先の病院の要請を受けてから向かっていたので、今後は医療を行うタイミングが格段に早くなり、より多くの命の危機を救うことが可能になるのではないかと考えます。
実はこうした医療介入は外傷(ケガ)では始まっていたのですが、当院では心筋梗塞や脳卒中など病気が原因で倒れた方の治療を行います。これを内因性というのですが、この分野でのドクターカーは他院に先駆けるものだと思います。
また、一昨年(2018年)12月にJCIの認定を受けたことに関連して、院内の救命救急システムも見直しました。入院患者の呼吸数が急に増えたり、40度の高熱を発するなど容態が急変した場合、まず、救命救急センターに連絡が入り、私たちが適切な治療を行うことになりました。特に高齢の方は、治療中の病気以外の原因で、体調変化が起きることもありますから、患者さんとそのご家族にとって、さらに安心できる病院になったと言えるでしょう。
医療法人 徳洲会 岸和田徳洲会病院
〒596-8522大阪府岸和田市加守町4-27-1
TEL.072-445-9915(代表)
FAX.072-445-9791
https://www.kishiwada.tokushukai.or.jp
内科/消化器内科/循環器内科/神経内科/外科/整形外科/形成外科/脳神経外科/心臓血管外科/産婦人科/小児科/皮膚科/泌尿器科/耳鼻咽喉科/眼科/歯科口腔外科/放射線科/麻酔科(大前典昭・佐谷誠・高木治・武貞博治)/病理診断科/人工透析内科/リハビリテーション科/救急科
■2018年12月に医療機関の国際的な評価基準であるJCI認証を獲得。