地域の病める人たちの声に応え、
世界的視野に立ったグローバルな医療を提供
1913年の開設以来107年の歴史を持つ社会医療法人厚生会木沢記念病院は、「病める人の立場に立った医療、地域から求められる新しい医療サービスの提供」との基本理念のもと、岐阜県下における医療の中核的役割を果たしてきた。2021年には「中部国際医療センター」への新築移転を控え、さらなる飛躍に向けた準備が着々と進められている。
社会医療法人厚生会
木沢記念病院 理事長
山田 實紘
やまだ・じつひろ/ 1968年日本大学医学部卒。社会医療法人厚生会木沢記念病院、多治見市民病院、特定医療法人清仁会のぞみの丘ホスピタル、社会福祉法人慈恵会理事長。日本脳神経外科学会評議員。日本病院会常任理事。
先進設備導入と人材育成に尽力「がんゲノム医療」の可能性を追求
木沢記念病院は地方にありながら大都市並みの医療を提供することを目指し、診断と治療のための先進医療設備の導入、施術者の人材育成とレベル向上に尽力。新たな医療ニーズに迅速に対応してきた。強度変調放射線治療装置「トモセラピー」、手術支援ロボット「ダビンチ」を同県下で最も早く導入。他にも診断機器のPET-CT、SPECT-CT、320列CTなど先進の高次医療設備を備えている。
社会奉仕団体・ライオンズクラブ国際協会で2015~16年に国際会長を務めた山田實紘理事長は、世界中の医療現場をめぐり、「日本がゲノム医療にもっと取り組まなければ世界の潮流から乗り遅れる」と感じ、17年、がん患者のゲノム(遺伝子情報)を調べて効果の高い個別化治療を提供するがんゲノム医療を開始。翌18年には厚生労働省が推進する「がんゲノム医療連携病院」に指定された。山田理事長は「次世代のがん治療の発展に貢献したい」と意気込む。
世界を視野に入れたグローバル医療の中核施設に
2021年、同院は「中部国際医療センター」(502床)と改称して生まれ変わる。
美濃加茂市は2000年代後半、日系ブラジル人などの外国人居住者が人口の1割を超えた。その頃から同院ではポルトガル語の医療通訳を採用しブラジル人患者に対応。その後、アジアからの外国人患者の増加に伴い、中国語、韓国語、タガログ語など6カ国語の通訳を常駐させた。
「地域の患者様に寄り添い、よい医療を提供しようと努めてきた結果、自然と国際色豊かになった」と山田理事長は振り返る。
また、フィリピンとの経済連携協定(EPA)に基づき、これまでにフィリピン人などの看護師候補16人を同院で積極的に受け入れ、5人が看護師国家試験に合格した実績も持つ。
17年には「外国人患者受け入れ医療機関認証制度」(JMIP)に認証され、ジャパンインターナショナルホスピタルズ(JIH)推奨病院の認定も受けた。
高度な日本の医療を求める渡航受診者は増加の一途だが、新病院では、陽子線治療やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を行う先進設備も導入予定だ。
「新病院は中部国際空港から車で僅か1時間余の距離。地の利を生かし、アジアのみならず特にアメリカ西海岸からの中流層のニーズを取り込みたい。今後も救急をはじめ地域に密着した医療サービスの充実に力を入れながら、同時に世界を視野に入れたグローバルな医療を提供する。質の向上をはかり、日本を代表するプライベートホスピタルにするのが私の使命」と山田理事長は力を込めた。
TOPICS
中部がんゲノム医療研究センター木沢記念病院は、「がんゲノム医療」の中核拠点病院でトップランナーの慶應義塾大学医学部腫瘍センターと連携の下、独自の研究施設を2018年10月に創設。木沢記念病院にてがんと診断確定・治療のために手術などで切除された検体のがん細胞から抽出したDNAを対象として、160の遺伝子を調べる「プレシジョン・ラピッド検査」を実施している。検査結果は、他の診療所見も参照しながら、慶應義塾大学の医師を含む多分野の医師・医療スタッフによる多角的なカンファレンスで導かれる。将来は、培養したがん細胞と遺伝子を生かした、各種抗がん剤の薬理効果検証も手掛ける計画だ。
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