先進の技術と細心のケア
愛あるがん診療に必要なもの

聖マリアンナ医科大学病院
新病院完成予定図。入院病棟は2023年、外来などを含め全体は24年完成する予定
聖マリアンナ医科大学病院
新病院完成予定図。
入院病棟は2023年、外来などを含め全体は24年完成する予定

“愛ある医療”の理念を掲げる聖マリアンナ医科大学病院。
真に患者に寄り添うがん診療の実践には何が必要か。
ゲノム医療と血液内科両部門の考え方を聞いてみました



新井 文子

血液内科部長

新井 文子


あらい・あやこ/1988年新潟大学医学部卒。東京医科歯科大学血液内科を経て2019年より現職。医学博士。血液専門医。造血細胞移植認定医


納得できる治療へ患者を導く

 血液内科では、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫など、一般に「血液のがん」ともよばれる血液腫瘍を主に取り扱っています。
 血液腫瘍は他の臓器のがんと違って、手術で治すことができませんが、その反面、化学療法などの内科的治療が高い効果を発揮します。例えば、白血病はかつては治療困難な病気というイメージが付きまとっていましたが、今日では内科的治療によって、平均7割程度の患者さんが「寛解」(造血能が回復し、白血病細胞が検出されなくなった状態)に達しています。
 一方、白血病は若い人がなりやすい病気という誤解が一部にあるようです。しかし実際には、血液腫瘍も、他のがんと同様に年齢が上がるほど発症率が高くなる傾向があり、従って社会全体として見れば、平均寿命の延長と人口の高齢化に伴って高齢の白血病の患者さんも増えているのが現状です。
 血液腫瘍はまた、疾患の成り立ちが遺伝子変異によるものである事が明らかになっていますが、それが分子レベルの微細な世界の出来事であることから、患者さんにご自分の体の中で起こっている病気についてのイメージを持っていただくことが困難です。しかし、患者さんに、長期にわたり、しかもつらい副作用を伴う治療に納得して取り組んでいただくためにも、この疾患の説明の過程がどうしても欠かせません。当科では血液腫瘍の治療を希望する患者さんに対し、十分な時間をかけてインフォームドコンセントを行っています。

基礎研究の成果を、患者さんの診断、治療に生かすことを目標にしています。
基礎研究の成果を、患者さんの診断、治療に生かすことを目標にしています。

 私は、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)という病気の研究と治療にも取り組んでいます。CAEBVは、EBウイルスが白血球の一種であるT細胞やNK細胞に感染し、活性化と増殖を認める疾患です。炎症症状が長期間続く場合は、一度はCAEBVを疑う必要があります。持続する炎症症状が特徴で、化学療法により症状は一時的に改善しますが、完治には造血幹細胞移植が必要です。現在、ルキソリチニブという薬の本症に対する有効性を検証する治験を実施中です。



砂川 優

ゲノム医療推進センター
副センター長

砂川 優


すなかわ・ゆう/2003年日本医科大学卒。日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医


短時間で丁寧な手術を行い感染症などのリスクを低減

 当院は昨年9月、厚生労働省より「がんゲノム医療拠点病院」に 指定されました。すでに一昨年から当院は、「がんゲノム医療中核拠点病院」である慶應義塾大学病院および国立がん研究センター東病院の支援のもと、本邦で始まったばかりのがんゲノム医療の一端を担ってきましたが、今回の指定を機に、川崎市北部地域におけるがんゲノム医療の拠点としての役割と責任を新たに自覚しています。がんゲノム医療とは、患者さんのがんの遺伝子(ゲノム)情報に基づき、そのがんに適した治療を検討し提案する「テーラーメード治療」の一つであり、そこでカギを握るのが、患者さんのがん組織からゲノム情報を読み取る「がん遺伝子パネル検査」です。この検査で、がんの発生や消長などに関与する遺伝子の異常が見つかり、その異常に対して効果を持つ薬があれば、その薬による治療を患者さんに提案することができます。
 当院ゲノム医療推進センターでは、「NCCオンコパネル検査」など2種類の保険承認された遺伝子検査を院内で行っているほか、自由診療の「プレシジョン検査」(2万種類の遺伝子を解析可能)が実施できる環境も整えています。

がん遺伝子パネル検査の結果について専門家が集まりディスカッション
がん遺伝子パネル検査の結果について専門家が集まりディスカッションする当院のエキスパートパネルの様子

 昨年7月の検査開始時から年末までの半年間に40件余りの遺伝子パネル検査を実施し、うち約半数の患者さんに、解析結果に基づく治療提案を行うことができました。
 当院のがんゲノム医療は、ゲノム医療推進センターが独力で行っているのではありません。例えば、遺伝子解析の結果が判明した患者さんに提案し得る新薬・治験などについては、この方面の最新事情に通じた当院腫瘍内科の専門医や薬剤部スタッフから情報を集め、解析の結果、提案できる治療がないと判明したケースについては、それまで患者さんを診てきた腫瘍内科や他の診療科が引き続き全力でフォローします。つまり、ゲノム医療という新しい要素が加わっても、各科の総力を挙げて患者さんを診るという当院のがん診療のスタイルは従来と変わりません。




聖マリアンナ医科大学病院

神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
TEL. 044-977-8111㈹
https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/
病院長 北川 博昭


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