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漢方のチカラvol.4 女性ならではの不調にも対応

広告 企画・制作 読売新聞社ビジネス局

漢方のチカラ vol.4 女性ならではの不調にも対応

 漢方は、月経前症候群、月経困難症、更年期症候群といった世代によって移り変わる女性特有の症状や、冷えや疲労感など、「未病」とよばれる病気と診断されるまでには至らない不調にも力を発揮するとして注目されています。また、幾度となく病院を受診し、さまざまな検査を受けても特に治療を必要とするような異常が見つからず、「我慢するしかない」とあきらめてしまいがちな症状も、漢方で改善の手立てが見つかることも。内科・漢方の女性専用外来で診療を行う玉田真由美先生に聞きました。

女性の不調をはじめ幅広い症状を改善

麻布ミューズクリニック 院長
玉田 真由美 先生

 私はもともと内科医で、胃腸などの消化器を中心とした診療と、がんの糖代謝を主とした基礎研究を行っていました。自身の体調不良が改善したのをきっかけに漢方を学び、現在は漢方医学も含めた内科学的視点で女性の不調改善をお手伝いしています。女性には特有の不調が少なくありません。月経前症候群とよばれる月経3日~10日前からおこる不快な症状(腹痛、むくみ、イライラ感、不安感、異常な眠気など)や、月経に伴っておこる下腹部痛や腰痛など月経随伴症状に悩む方だと、1か月のうち約3分の1程度は何らかの体調不良を感じています。また閉経前後5年の「更年期」とよばれる時期には、のぼせやほてりといった不快症状が出る方も多く、ひどい方だとほぼ毎日のように何らかの不調を感じる方もいます。
 例えば、ひどい月経痛に対し、西洋医学的な治療法としては、一般的に鎮痛剤の投与や低用量ピルの使用が選択されますが、低用量ピル開始後に吐き気などの不快な症状を感じることもあり、場合によっては使用をあきらめざるを得ない方もいらっしゃいます。鎮痛剤を内服してもなかなか痛みが治まらない状態が毎月のように続くと、月経痛に対する恐怖で強いストレスを感じてしまうことも。こういった強いストレスが新たな別の不調を引き起こし、悪循環に陥るケースもあります。こういう場合にも治療の選択肢のひとつとなり得るのが「漢方」です。
 近年、呼吸器科、消化器科など臓器別での診療が主流である西洋医学に対し、漢方では診療科や身体の部位を問わず全身を診ます。そのため、頭痛、神経痛などの神経系、腹痛、便通異常、胃もたれなどの消化器系、不安やイライラなどの精神系、ニキビや慢性じんましんなどの皮膚系、先にお話しした月経関連トラブル、更年期症候群といった女性特有の症状や不妊などの婦人科系、夜間頻尿や尿意切迫感など泌尿器系といったように、さまざまな症状で困っていても、臓器を問わず対応が可能です。症状が出ている部位だけでなく、全身を総合的に診て治療を行うため、身体全体のバランスを整えていくことが得意と言えるでしょう。

「未病」の状態こそ漢方の得意分野

 実は私も月経痛がひどく、七転八倒するような痛みに苦しみ、救急車で運ばれたこともありました。漢方専門の先生に診てもらい、治療を開始して初めて痛みの改善を実感した経験がきっかけとなり、漢方に興味を持ちました。まずは独学で勉強し、その後、慶應義塾大学医学部漢方医学センター、自治医科大学東洋医学部門、麻布ミューズクリニックで本格的に漢方を学ばせていただきました。西洋医学と漢方、両方を学んで思うのは、「双方のいい点を治療に活かしたい」ということです。
 診療では、まず患者さんのお話にじっくりと耳を傾け、「現在最も困っている症状」を和らげることに力を尽くすだけでなく、身体や心のバランスを整えながら、その症状が出ない体質に改善していくことも目指します。
 つらい冷えがある、なんとなく身体がだるいなど、発病には至っていないものの、不調がある状態を「未病」と言います。この状態こそ漢方の得意分野。また、西洋医学的な検査では異常が見つからないものの、なかなか改善しないつらい症状を抱えている患者さんに対しても、漢方ではさまざまな治療の選択肢があります。悩んでいる患者さんに不調の原因を説明し、その対策を提示してあげられるのは、医師としてとてもうれしいこと。私自身、漢方のスキルを身につけたことで治療の幅が広がったと実感しています。

あきらめる前に漢方という選択肢も

 最近では漢方薬に対する研究が進み、その作用機序も少しずつ解明されつつあります。また、抗がん剤の副作用軽減や認知症の周辺症状改善、術後合併症の改善など、漢方薬の効果も数多く報告されており、近年では診療科を問わず多くの医師が漢方薬を活用しています。
 当院でも西洋薬による治療、漢方薬による治療、双方のメリットを活かして、そのときその患者さんに最善の方法を提案するように心がけています。当院にいらっしゃる患者さんは漢方薬による治療を希望して来院される方がほとんどですが、西洋薬による治療を優先すべきときは西洋薬を処方しますし、西洋薬を既に内服している状況であっても、漢方薬による治療を開始することもあります。場合によっては薬を使わず、まずは症状悪化の原因となっている生活習慣の見直しから開始するという選択肢も。いずれの場合も、患者さんにしっかりと説明し、納得・安心してもらったうえで治療を進めることが大切だと考えています。
 なかなか口にしづらい不快な症状でお困りの方もいらっしゃると思います。「我慢するしかない」「病気じゃないのだから仕方ない」とあきらめている人も多いのではないでしょうか。けれど、漢方にはその不調を改善する手立てを見つけられる可能性があります。これぐらいの症状ならと我慢を続けないで、ぜひ医師に相談していただきたいと思います。

麻布ミューズクリニック 院長
玉田 真由美 先生
熊本大学医学部卒業、慶應義塾大学大学院医学研究科修了。内科診療に従事したのち、がんの糖代謝を中心に研究を行い学位取得。自身の体調不良が漢方治療で改善されたことをきっかけに漢方を学び、2016年より現職。自治医科大学地域医療学センター東洋医学部門非常勤講師。医学博士・日本内科学会総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 ・日本東洋医学会漢方専門医

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