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漢方のチカラvol.12 女性の肌の不調と漢方医療

広告 企画・制作 読売新聞社ビジネス局

漢方のチカラ vol.12 女性の肌の不調と漢方医療

 肌荒れや吹き出物、湿疹といった肌の不調は、女性にとっては特に気になるもの。これらの症状は女性ホルモンと関係している場合も多く、近年は漢方薬を使って心身のバランスを整えながら肌の不調にアプローチしていく治療も行われています。その具体例や意義について、漢方薬を取り入れた治療を行っている佐々木皮膚科(盛岡市)院長の佐々木豪先生に聞きました。

肌に体の不調や内臓の病気が表れることも

医療法人佐々木皮膚科(盛岡市)院長・理事長
東京医科歯科大学医学部皮膚科 臨床准教授
佐々木 豪 先生

 女性はもともと男性に比べてホルモンバランスが乱れやすく、それが肌の不調となって表れるケースも少なくありません。さらに、近年は女性の社会進出が進んでいることから、仕事によるストレスでホルモンバランスが乱れて皮膚症状につながり、それがまたストレスになるという悪循環に陥る人も増えています。
 ホルモンバランスの変化は多くの女性に起こるもの。ですから、女性の場合は変化を無理に抑え込むのではなく、上手にバランスをとりながら付き合っていくことが大事になると思います。多くの方は、ニキビや肌荒れといった肌の不調をきっかけに皮膚科に来られるのですが、女性の患者さんは、肌以外の面でも不調を感じていることがよくあります。代表的なのは、冷え性や胃腸症状、生理痛、肩こりなどです。皮膚症状に加えて体調面にも悩みを抱えていることが多いのは、女性に特徴的と言えるでしょう。
 さらに近年は、内臓の病気が皮膚症状となって表れるケースもあることがわかっています。こうしたケースを、医学用語では「デルマドローム」と言います。私たち皮膚科医は、患者さんの訴えが皮膚症状だけであっても、顔色や呼吸の状態など全体の印象を観察します。これによって内臓疾患などの疑いが出てくれば、内科や婦人科などでの検査・治療をお勧めしています。

漢方薬は心身のバランスを整える「バランサー」

 患者さんの訴えは吹き出物やかぶれでも、詳しく検査すると膠原病や様々な婦人科疾患などが見つかることもあります。皮膚の不調は「そんなにひどくないから」と我慢してしまう人も少なくないのですが、その裏には内臓の病気が隠れていることも。そして、その病気が皮膚科で見つかることもあるのです。肌に気がかりなことがあれば、我慢せずに皮膚科を受診してほしいと思います。
 一方、肌や体に不調があるけれど検査では異常がないという場合には、一般的には「体調を整えることで皮膚症状を改善していく」というアプローチをとります。ここでよく使われるのが漢方薬で、診察で心身の状態や不調の種類などを見極めながら、その人に最適な処方を考えていきます。
 西洋薬は不調をピンポイントで抑え込むことに優れていますが、漢方薬は体全体のバランスを緩やかに整えていく「バランサー」。自然治癒力を高めることを目的として生薬を組み合わせたもので、個々の体調や気質に合わせた処方が可能です。また、処方の際にはその人の生活習慣も聞き取り、過不足な要素があればその改善に向けた指導も行われます。

心、体、肌を整えて人生に好循環を

 経験から言えば、肌の不調を改善するキーワードは「整える」。漢方薬の服用や生活習慣の改善で心身のバランスを整えた結果、肌の調子が整い、それがストレスの減少や幸せにつながっていく──。皮膚科の受診を通して、多くの患者さんにそうした好循環や「セレンディピティ(=ふとした偶然をきっかけに幸運をつかみとること)」を体験してもらえたら、こんなにうれしいことはありません。
 実は私自身は、医師になりたての頃は漢方薬に関心がありませんでした。しかし、皮膚科医として経験を重ねるにつれ、抗生剤や塗り薬では治り切らないケースがあること、こうしたケースが特に女性の患者さんに多いことに気づいたのです。ほかに治療の選択肢がないものかと思って親戚の婦人科医に相談し、そこで初めて漢方薬の効果や意義を知ったのです。
 女性は月経の周期とともに、また年齢を重ねるとともに、ホルモンバランスや肌の調子が変化していきます。そんなときも、心、体、肌のバランスを上手にとることができれば、自分の本当の美しさを大切にしながら軽やかに生きていくことができるのではないでしょうか。

医療法人佐々木皮膚科(盛岡市)院長・理事長
東京医科歯科大学医学部皮膚科 臨床准教授

佐々木 豪 先生
東京医科歯科大学医学部 医歯学総合研究科皮膚科大学院にて医学博士号を取得。同大医学部附属病院皮膚科学助手、東京労災病院皮膚科科長などを経て、佐々木皮膚科の第6代院長に就任。国内外での講演、論文執筆、メディア出演など多数。

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