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アジアの若者が食品ロスの解決策を提案 ―アジア ユースリーダーズ2021―

提供:イオン1%クラブ

 日本を含むアジアの高校生が、社会問題について考える「アジア ユースリーダーズ2021」(主催:公益財団法人イオンワンパーセントクラブ)が、12月20~22日に行われた。2010年に始まり、今年で12回目となるプログラムで、今回を含めた参加学生数は計1066人に及ぶ。各国の異なる価値観を持つ学生たちが、社会課題について英語で議論し、自分とは異なる考え方や意見に対する理解を深め、視野を広げ、次世代を担う若きリーダーを育成することを目的としている。
 今年から3年間は、「食」と温室効果ガスの関係を取り上げ、1年目となる今回のテーマは「食品ロスの削減」。プログラムはすべてオンライン(ZООM)を通じて行われ、インドネシア、カンボジア、タイ、中国、日本、ベトナム、マレーシア、ラオスの高校生72人が参加した。
 20・21日に識者が講演し、それを受けて、多国籍混合の学生7~8人が1チームの計10チームが、問題解決に向けたグループディスカッションを行った。最終日の22日には、各チームが議論の成果をプレゼンテーションした。

〈基調講演〉

グローバルな視点から見た食品ロス

食品ロス問題ジャーナリスト
井出 留美 氏

 世界の食品の約3分の1が廃棄されている一方、8億人が飢餓に苦しんでいます。日本のごみ処理費用、約2兆円のうち40~50%が食品ロスなど食品廃棄によるものです。食品ロスを処分するには多大なエネルギーとお金がかかるのです。
 世界の食品ロスで発生する温室効果ガスの量は4.4ギガトンにのぼり、国別の温室効果ガス排出量ランキングに例えると中国、米国に次ぎます。食品ロスが気候変動に影響していることを認識しなくてはいけません。
 デンマークでは賞味期限が過ぎても、食べられるかどうかを自分の鼻や舌で確かめることを推奨するキャンペーン等を展開し、食品ロスを5年間で25%削減しました。米国のアピール・サイエンス社は、野菜や果物が長持ちするコーティング剤を開発しました。韓国のソウルでは、家庭ごみの廃棄量が多いほどお金がかかるシステムを整備して、食品ロスを含む生ごみの削減につなげています。

日常生活のどこに問題があるのかを考えたい

ウィーン・ノイシュタット応用科学大学 サステナビリティー研究所 所長
カリン・ドーバーニグ 氏

 食品ロスを解決するには、廃棄物の回収、シェア、再利用といった方法がありますが、一番有効なのは防止することです。フランスはスーパーマーケットの食品ロスを禁止する法律を作り、成果をあげています。
 一度開封しても閉じられる包装を開発してソリューションにつなげている例があります。アプリを利用することも有効です。例えば、冷蔵庫の中の食品を管理するアプリなどが開発されています。
 食品ロスは個人だけでなく、社会や経済的な要素とも絡み合っています。情報発信は重要ですが、それだけでは十分ではありません。日常生活の中のどういったことが食品ロスに関わっているかをしっかり検証しなくてはいけません。

食品ロスの改善から脱炭素社会への実現について

キャンベラ大学 芸術デザイン学部 創造文化研究センター 准教授
ベタニー・ターナー 氏

 私の母国・オーストラリアでは毎年、600万トンの食品を廃棄していますが、その7割は食べられるにもかかわらず捨てられています。また、食品ロスは年間の温室効果ガス排出量の3~4%を占めています。食品が生産されるまでにいたる資源も、食品ロスによって無駄になっています。廃棄される食品のために使われる水は、毎年2600ギガリットルにのぼります。一方、日々の食事を十分にとれていない国民が500万人いるといわれます。
 こうした事態を改善するため、政府は2030年までに、すべての廃棄物からの回収率を平均80%とする目標を掲げています。また、食品ロスを改善する技術に投資しています。食品ロスをめぐる国民の意識を高めるキャンペーンも行っています。
 私たち一人ひとりが、お店に行く前に冷蔵庫の残りものを確認するなどして、必要な食品だけを買うように心がけることが大切です。自分たちの行動について、しっかり頭をめぐらせることが非常に重要になります。

〈高校生によるプレゼンテーション〉

消費者にもお店にもメリットがあるアプリ

 各チームとも、それぞれに特色のある提案を繰り広げました。あるチームは、レストランやスーパーマーケットといったお店を対象にしたアイデアを提案しました。消費者が食べられるだけの食品の量を知らせるアプリの開発と、政府による、食品廃棄の量に応じたお店の格付けがその骨子です。
 消費者はアプリで必要な食品の量を提示し、お店側は、その情報をもとに適切な量を提供します。一方、政府は食品の廃棄量に応じて、お店の格付けをA~Dの4段階で行います。
 消費者は格付け評価の高いお店を利用することでディスカウントを受けられたり政府発行のクーポンがもらえたりし、また適切な食事量に努めることは健康維持にもつながります。お店は集客とともに余分な経費を削減することができます。両者にとってメリットがあるアイデアといえるでしょう。
 提案者は、「こうした取り組みにより食品ロスの削減につなげられれば、これまでごみ処理にかかっていた費用を、インフラや教育に使ったり、飢餓に苦しむ人に寄付したりすることもできるでしょう」と語りました。

食品ロスの現状伝え、意識変革促す

 消費者向けのアプリ開発については、ほかにも様々なアイデアが出ました。「自宅の冷蔵庫に放置されている食品の賞味期限をアラート通知するアプリ」「家庭で余った食品や、お店で売れ残ったものを安い値段で売り買いできるアプリ」「食品を共有するコミュニティー作りをサポートするアプリ」などです。
 中には、食品を寄付できるアプリを実際に開発し、運用しているチームもありました。どのようにそれを広め、活用していくことができるかという視点や、アプリの強みと弱みについてなど、一歩踏み込んだ意見が交わされる場面も見られました。
 また、多くのグループが消費者への啓蒙活動を重視しました。「食品ロスをめぐる環境的、経済的な現状について」「食べきれる分を購入し、消費するという根本的な考え方」「形のいびつな野菜や果物を積極的に買うこと」などです。消費者一人ひとりの意識変革が、食品ロスの削減に向けた試みの土台となるのは確かでしょう。

具体的なアイデア、3か月間スクールキャンペーン

 教育をからめた提案も多く、中には「3か月間スクールキャンペーン」という、学生向けの具体的なプレゼンテーションをするチームもありました。最初の2週間、SNSなどを通じて食品ロスの問題を周知させ、その後専門家の講義を受けて知識を深め、そのうえで学校や家庭で出たごみを計測して現状を把握します。残りの2か月間で食品ロス削減に努め、その結果をコンペ形式で競い合うというものです。
 オンラインで食品ロス削減のためのプラットフォームを作ることや、ワークショップを開くことの重要性を説くチームもありました。各国の現地の人に食品ロスについてのインタビューを行い、その映像で発表するチームもありました。
 「農業」に着目したチーム、「税制度の導入」「AIの利用」を提案したチームのほか、フードロスの概念を得意の絵を使って表現する生徒も見られました。

〈総評〉

自分自身で管理できることに目を向けよう

ガルダパンガン創設者兼CEO
エヴァ・バチター 氏

 皆さんの提案はプロフェッショナルでした。私自身多くを学びました。今回発表したことをぜひ実行し、その効果を確かめてください。自分自身で管理できるものに目を向けてください。実現を楽しみにしています

3日間の友情を今後も大切に

総合地球環境学研究所FEASTプロジェクトリーダー、准教授
グリービー・スティーブン・ロバート 氏

 期待を大きく超えて、独創的で具体的な解決策がたくさん出ました。皆さんのような若いリーダーを求めています。この3日間で生まれた友情を、今後もずっと大切にして欲しいと思います。

〈あいさつ〉

持続可能な未来へ、次世代のリーダーに

イオンワンパーセントクラブ理事長
森 美樹 氏

 皆さんの語学力やプレゼンテーション能力は見事で、フードロス削減に向けた発表はチームごとに特色があり、素晴らしかったです。一番大切なことは3日間で学んだことや決めたことを今後どのように生かしていくかということです。次世代のリーダーである皆さんが、今後もチームメンバーと連絡を取り、持続可能な未来を目指していくことを期待しています。


一国だけでは解決できない問題

広島大学附属福山高等学校2年
上野 真奈 さん

 もともと「食」に興味があり、食品ロスというテーマにひかれて参加しました。参加者の英語力に圧倒されました。ディスカッションでとまどうこともありましたが、みんなフレンドリーで助けてくれました。
 議論する中で、食に関する問題は世界中にまたがることなので、1つの国だけでは解決できないということを痛感しました。なかなか海外の方と交流する機会はないので貴重な経験になりました。


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